いまさら聞けないTomcat〜JSPサーバ構築のキソ 1

サーブレット

サーブレット

SunはこれらポストCGI技術の展開を踏まえつつ、Webサーバ上で動作するJavaプログラムであるサーブレットを開発しました。サーブレットを利用したWebアプリケーションの強みは、オブジェクト指向による効率的なシステム構築を行うことができることです。Javaの部品化技術や再利用性の高いプログラムは、大規模システムの開発や、修正を繰り返しながら長期間使い続けられるシステムの開発に特に効果を発揮します。もちろん、サーブレットでは先に述べたCGIの課題への対処もなされています。

スケーラビリティの改善

サーブレットでは、CGIの課題となっていたスケーラビリティが改善されています。起動負荷の大きいプロセスは1つだけ起動しておき、リクエストはプロセス内部のスレッドというプロセスよりも負荷の小さい単位で処理します。複数のリクエストには複数のスレッドを起動させて対処し、1つのプロセスのリ ソースをスレッド間で共有することで、パフォーマンスの改善がはかられています。

サーブレットはプロセスは常に1つでスレッドを複数起動する
図2:サーブレットはプロセスは常に1つでスレッドを複数起動する

 

セッション管理が可能

サーブレットはCookieを利用したセッション管理を行うことができます。さらに、Cookieが利用できない場合には、URLにセッションIDを埋め込むことによってよってセッション管理を行います。サーブレットは、通常のWebアプリケーションだけでなく、携帯電話向けのWebアプリケーショ ン開発でも威力を発揮します。

JSP

サーブレットは、処理のパフォーマンスではCGIより進歩していますが、Webページを実際に構築するHTMLの記述に不向きです。HTMLを出力するのにサーブレットでは次のように書かなければなりません。

サーブレットプログラム

String str = "Hello World"

out.println("<html>");
out.println("<head>");
out.println("<title>Hello World</title>");
out.println("</head>");
out.println("<body>");
out.println(str);
out.println("</body>");
out.println("</html>");

出力されるHTML

<html>
<head>
<title>Hello World</title>
</head>
<body>
Hello World
</body>
</html>

上に示したように、サーブレットでは単純なHTMLを書くにも冗長な記述となるうえ、ページのテキストを書き換える度に再コンパイルを必要とします。このため、本来ならWebブラウザで開けばすぐできたHTMLのビジュアル確認が煩瑣化してしまいました。この問題を解決するための技術がJSPで す。JSPではHTMLの中にJavaプログラムを埋め込むことができます。

   同じHTML出力結果を返すJSPを書くと以下のようになります。

<html>
<head>
<title>Hello World JSP</title>
</head>
<body>
<%
  String str= "Hello World";
  out.println(str);
%>
</body>
</html>

JSPは逐一コンパイルする必要がなく、開発者は自分が書いたコードを簡単にビジュアルとして確かめることができるようになりました。

この記事をシェアしてください

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る