エンジニアとデザイナの架け橋となるMicrosoft Expression(エンジニア視点)

2006年2月28日(火)

デザイナとのコンセンサスをはかる

リッチなアプリケーションを開発するためには、デザイナはユーザビリティが優れたインターフェースを制作し、エンジニアがロジックを実装する必要がある。例えば、アプリケーションのメニューを制作する場合、デザイナが「並列の関係で並んでいるリストボックス」としてJPEGの画像データをエンジニアに渡したとしよう。

   長い協力関係にある間柄ならば、エンジニアは画像からデザイナの意図を察することができるが、何の説明もない画像への解釈はエンジニアによって変化する。これでは、エンジニアが画像を解釈する時間がかかってしまった上、デザイナの意図とかけ離れたメニューとなってしまう可能性が高い。

 

セマンティックスを持たせるXAML

このようなエンジニアとデザイナとのコンセンサスはアプリケーション開発においての大きな問題となっている。しかし、XAMLは画像データにセマンティックスを残すことができる。デザイナが制作したメニューの意味をセマンティクスとしてXAMLに持たせるのであれば、エンジニアはVisual StudioでXAMLファイルへ機能を追加していくだけでデザイナの意図を完全に反映させたインターフェースを持つアプリケーションが開発できる。
 

XAMLを利用したアプリケーション開発
図2:XAMLを利用したアプリケーション開発

アプリケーション開発のプロセス自体は変わらないが、「デザイナの意図を解釈する」といった1ステップを自動化すれば、どんなエンジニアでもデザインにロジックを統合することができ、アプリケーションの開発生産性および品質を大きくあげることができるのではないだろうか。

 

ターゲットが違う3製品

Expressionは次の3製品が存在し、それぞれの役割は異なる。
 

製品名 ターゲット
Expression Graphic Designer グラフィックデザイナ
Expression Interactive Designer Webデザイナ
Expression Web Designer Webデザイナ

表3:Expression製品紹介

これらの価格はまだ決まっていない。また、エンタープライズ向けの製品なので、既存のFrontPageなどと競合する/替わる製品ではないという。
 



真のWebアプリケーション

リッチな環境はなにもむりやりWebブラウザで実現する必要はない。Webに繋がっていて情報を利用できるのであればクライアントはWebブラウザにこだわらないというのがマイクロソフトのWebアプリケーションに対する考えだという。Webブラウザが前提となっているリッチクライアントという言葉と区別するため、マイクロソフトではスマートクライアントという言葉で真のWebクライアントの実現を提唱している。

サンプルとして、病院での電子カルテや有名アウトドアメーカの製品紹介アプリケーションを見せてもらった。

ただし、従来通りWebブラウザを利用したWebサイト構築を切り捨てるという選択は現実的ではない。そのため、HTMLファイルベースのWebサイトを構築するためにExpression Web Designerがラインナップされている。また、Expression Interactive Designerで開発したWPF対応のアプリケーションをWebブラウザでホストすることも可能だ。

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