TOPプロジェクト管理> 開発形態

だからあなたの会社のシステムは動かない
〜システム発注担当者の悩みを解決します〜

第3回:開発形態と開発会社の規模による違い

著者:システムクリエイト  田中 徹   2004/12/3
1   2  次のページ
開発形態

  システム開発における形態には請負と派遣があります。どちらも言葉は聞いたことがあるでしょう。では、違いはなんでしょう。「技術者が来て開発するのが派遣、持ち帰り、開発会社内で行うのが請負」と、ほとんどの方が答えるのではないでしょうか。確かに間違いではありませんが、実はそういう分け方ではありません。技術者が発注側の会社に常駐していなければ、請負開発ということに間違いはありません。しかし、常駐していても請負開発ということもあります。こういう場合を「請負常駐」と呼んで区別します。請負常駐は非常に多く、一般的な開発形態です。

  では、どこで派遣と請負を分けるかというと、技術者の管理、指示が誰に監督されているか、ということになります。開発会社や派遣会社からSEやプログラマを何人か派遣してもらいシステムを開発するということは、業務の指示、勤怠を含めた管理、進捗などを、発注側で行うということになります。請負常駐の場合は、プロジェクトマネージャーをおき、すべてを管理します。発注担当者もこの管理者にすべての指示を出すことが基本になります。

  発注担当者が元SEや、ある程度のシステム設計能力、プロジェクト管理能力があるなら、必要な人材を必要な期間だけ派遣してもらい、システムを開発するのもいいかもしれません。発注側でスケジュールを立て、どの程度のSEがどれくらいの期間、どんなスキルを持ったプログラマがどれくらいの期間、何名くらい必要と算出できるなら、開発会社にすべてを任せるより安くシステムを開発することができます。システムの規模が比較的小さい場合や、現在稼動中のシステムにサブシステムを追加するため、プログラムを数本作成する程度なら、開発工数(スケジュール)の見積もそんなにむずかしくないでしょう。それに応じて必要な技術者を派遣会社に打診して、何人か面接をして迎え入れます。当然、業務経歴書だけでは判断できませんから、面接を行いたくさんの話をして、技術的なことからビジネスマンとしての能力などを総合的に判断して、誰と契約するか決定しなければなりません。もし、契約した技術者が作業に入った後でスキル不足を感じたら、派遣元に代替要員をお願いすることも可能です。

  こういう小規模開発を派遣で行う場合には、システムコンサルタントと呼ばれる人を活用するのもひとつの手です。あなたの会社の人として常駐してもらい、スケジュールの作成、必要な人材の判断、面接の立会いなどを、あなたの優秀なブレーンとして側に置いておくわけです。進歩を続ける稼働環境や開発ツール、言語なども発注担当者が常に最新の情報を仕入れることは難しいです。やはり専門家ですから、どれが本当に安定稼動するのか、言語とデータベースの相性や比較検討など、普通では得られない情報も持っています。

発注担当者

  請負で開発をお願いする場合でも、発注担当者が開発会社にすべてを丸投げすればいいというものでもありません。たとえば、候補に挙がっているデータベースが2つあって、どちらかに決めればいいだけの問題なら簡単ですが、やはり決めるに当たってのそれなりの理由が欲しいところです。開発言語に関しても、開発会社任せでもいいかも知れませんが、なぜその言語を選択するのかの説明ができない開発会社だと不安を感じます。

  仮に発注担当者が「オープンソースの導入を検討したい」と言ったとして、それについて何も意見がなく、得意分野ではないからといって他の手法を進めたりされては困ります。逆に発注側のリクエストだからといって、メリット、デメリットの説明もないまま導入決定されてもやはり不安です。データベース、言語、ツール、環境など、すべてをSEと対等に話せるまでの知識を学ぶのは難しいですが、相手を見極めることが出来る程度の知識ならそんなに難しくはないでしょう。

1   2  次のページ



著者プロフィール
システムクリエイト有限会社  田中 徹
代表取締役。1963年生まれ。MS-DOS時代から、汎用機−PCでのデータ送受信を行ってのチャート(金融業)、表・グラフ描画(財務系)などのシステム開発を行う。 社内人事管理(勤怠・人材活用)、流通業、制御系の分野や集計業務なども手掛ける。ソフトウェアハウスや大手開発会社まで多数の現場で開発を経験し、33歳で独立。現在は各業種・分野でSEとして、またシステムコンサルタントとして活動中


INDEX
第3回:開発形態と開発会社の規模による違い
開発形態
  開発会社の規模による違い