第6回:新たなIT部門のあり方 (1/4)

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第6回:新たなIT部門のあり方
監修者:野村総合研究所  淀川 高喜   2005/12/15
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ユーザ企業に必要なIT部門の機能

   今日、ITはビジネスに不可欠なツールとして広く浸透している。そして、ITが業務の革新/効率化/コスト削減に有効な手段であるという認識が持たれているために、経営者や事業部門はIT部門に対して様々な期待を寄せている。その期待の内容は広範におよんでいるが、代表的なものは以下のような事項であろう。
1. 経営者からの期待
  • 部門横断的な業務改革の支援
  • IT投資配分の実態と全体効果の可視化
  • システム対応のスピードアップ
2. 事業部門からの期待
  • IT活用による内部・外部環境変化への柔軟な対応
  • 本質的なビジネスニーズの把握
  • IT投資やITコストに関する経営への説明の支援

表1:IT部門に対しての期待

   こうした経営者や事業部門の期待にIT部門が応えていくには、技術的な視点だけでなく、経営やビジネスの現場の視点に立った「目利き力」が求められる。その「目利き力」の内容は、以下の3つに整理することができる。

1. 経営視点の「目利き力」
  • 経営戦略の方向性に沿った、中長期のITの俯瞰(ふかん)図が描ける
  • 経営戦略の実現に必要なシステムを、必要な時期に最適な形態で整備できる
  • IT投資の効果をわかりやすく説明できる      など
2. 現場視点の「目利き力」
  • 現場で何が起きているか深く理解している
  • ITを活用した業務横断的なビジネスモデルを提案できる
  • 現場業務を「そのままIT化」しない      など
3. ITの「目利き力」
  • 変化に対して、柔軟で素早く対応可能な仕組みを提供できる
  • 継続的にコスト構造改革を進めることが可能な技術やシステム構成を選択できる      など

表2:「目利き力」の内容

IT部門が持つべき機能をモデル化したもの
図1:IT部門が持つべき機能をモデル化したもの
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   図1は今後IT部門が持つべき機能をモデル化したものであり、それぞれの機能について、詳細にみていくことにする。

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株式会社野村総合研究所 淀川 高喜
監修者プロフィール
株式会社野村総合研究所  淀川 高喜
プロセス・ITマネジメント研究室長 兼 金融ITマネジメントコンサルティング部長。国家試験 情報処理技術者試験 試験委員会 委員。1979年野村総合研究所入社。生損保、銀行、公共、運輸、流通、製造業などあらゆる分野における幅広いシステムコンサルティングに携わる。専門は情報技術による企業革新コンサルテーション、情報システム部門運営革新コンサルテーションなど。


INDEX
第6回:新たなIT部門のあり方
ユーザ企業に必要なIT人材
  機能A:IT戦略・計画
  ユーザ企業本体に持つIT運営機能の範囲
  情報子会社の基本戦略

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