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「打倒Nvidia」に燃えるインテル、買収されたAIスタートアップNervanaの意気込みを見よ

2016年8月31日(水)
ReadWrite Japan

Intelは、社内AIソリューション強化のためにNervana Systems(ナバーナ・システムズ)を買収する意向を表明している。Nvidiaへの対抗策として、ここ最近の彼らは買収ラッシュだ。ここで買収されるNervanaチームも含めて、あらためて彼らの意気込みを表したい。

Nervanaは、2年前に誕生したAIスタートアップ企業であり、『Nervana Cloud』と呼ばれるクラウドベースのフルスタック機械学習プラットフォームを提供している。また、Pythonを使いNeonと呼ばれるAIのためのフレームワークを構築し、AI開発者のためのライブラリセットを提供している。

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彼らプロジェクトチームは、2017年までに現在作製中の特定用途向け集積回路(ASIC)、『Nervana Engine』を発売する予定だという。

Intelのデータセンターグループに加わる先鋭たち

Intelは、Nervanaがその実力を発揮できるように多くの余地を与えている。Nervana共同創設者 兼 CEO ナヴィーン・ラオ氏によると、「我々はこれからも有している才能とブランドもち続け、拠点のサンディエゴを離れても活動を続ける」とのことだ。

「我々は常に信念をもって動く会社だ」とラオ氏は言った。「我々はスタートアップ企業ではなくなるものの、取り組むべきミッションは変わらない。我々は世界のコンピュテーションに変革を起こすためにここにいるのだ。今回のプロジェクトはその時が来たことを示している。いまこそ我々は古いパラダイムを壊し、新たなコンピューティングの世界を構築するのだ。」

そして、「我々は10年後にふり返り気づくだろう。この時がまさに、これまでのコンピューティング・アーキテクチャがニューラルになる変革の時だったことを」と、彼は付け加えた。

Nervanaは、創立してからこれまで2年間でPierre Omidyar’s groupやスティーブ・ジャーベソン氏などから2,400万ドルを調達している。

IntelのEVP 兼 データセンターグループGMのダイアン・ブライアント氏は次のように言った。「Nervanaの持つソフトウェアの専門知識を活用することで、IntelのAI戦略は強化され、ディープラーニングの性能や、Intel Xeon および Intel Xeon PhiプロセッサのTCO(総保有コスト)は改善されるだろう。」

「そして、才能あるNervanaの開発チームとIntel XeonとIntel Xeon Phiプロセッサを作っているIntelのエンジニアたちを結集することで、これまでにないレベルのスピード感で産業を成長させることができるようになると信じている」と、彼女は付け加えた。

Intelにとって、より多くの才能をすくい取ったこの動きはとても賢明なものだろう。というのも、これはIntelにおいてもっとも競争力のある産業の一つとなり得るからだ。Intelは、Nervana Systemsの持つフルスタックプラットフォームソリューションと同社プロセッサとを合わせることで、AI市場におけるその地位をNvidiaやAMD、ほか競争相手となる企業よりもずっと良いパフォーマンスを発揮することができるだろう。

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インテルとNervanaのビジネス上の目的は一致していない気もするが、技術的に高め合いたいという思いは共通のようである。買収により市場が大きく動くのを見ることも楽しいが、その裏側の両者の思惑を想像するのもなかなか面白いものだ。買収する側にスポットがあたりがちだが、買収された側に注目するのもありだろう。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]

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