Nutanixが新プラットフォームNutanix Enterprise Cloud OSを発表
新プラットフォームを国内に紹介
コモディティハードウェアに仮想化基盤、ストレージ、ネットワークなどを搭載し、オンプレミスでクラウドコンピューティング環境を実現する「ハイパーコンバージドインフラストラクチャー」のリーダーであるNutanixの日本法人、ニュータニックス・ジャパン合同会社は都内にて記者発表会を開催。6月にワシントンDCで開催されたNutanixのプライベートカンファレンス「.NEXT」にて発表された新しいプラットフォームを、日本市場に向けて発表するためのイベントだ。
新プラットフォームは「Nutanix Enterprise Cloud OS」と称されるもので、2つの要素からなるソフトウェアスタックだ。一つ目の要素はAWS、GCP、Microsoft Azureなどのパブリッククラウドとの連携を実現するマルチクラウド連携のためのNutanix Calm、そしてもう一つはNutanixが初めて提供するパブリッククラウドサービスで、オンプレミスのNutanixアプライアンスからのディザスターリカバリー機能を提供するNutanix Xi Cloud Servicesである。
Nutanix Enterprise Cloud OSはNutanixのアプライアンス、Dell EMC、LenovoのOEM製品、IBM PowerシステムさらにHPE、Ciscoが出荷するサーバーに対してソフトウェアとして提供されるという。2017年7月の時点ではHPE、Ciscoのサーバー向けにベータ版として提供を開始されたところで、今後対象は拡大していく計画だ。
Nutanix Enterprise Cloud OSの中核は、Nutanixが2016年8月に買収を発表したCalm.ioのソリューションをNutanixのアプライアンスに適応させたものと言えるだろう。プレスリリースには「基本のインフラストラクチャーからアプリケーション環境を抽象化し、適切なワークロードに適切なクラウドを推奨しつつ、クラウド運用を調整する」と説明されている。ポイントとしてはアプリケーションの実行環境としてオンプレミスだけではなく、AWS、GCP、Microsoft Azureなどのパブリッククラウドへの実行環境の移行を容易にするためのプラットフォームということだろう。
NutanixはPrismというインフラストラクチャーの運用管理ツールを持っているが、Nutanix Calmはそれをアプリケーション運用にまで拡大したという意味を持っている。すなわち、現実のエンタープライズITにおいては、オンプレミスだけではなくAWSやMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドを必要に応じて柔軟に使いこなしているという状況に対しての、Nutanixとしての回答であると思われる。つまりNutanixのアプライアンスの使い勝手のまま、パブリッククラウドにおいてもアプリケーションをオフロードしたり、パブリッククラウド側で実行時のメモリサイズやコア数を変えたりという作業をPrismを通じて行いたいという需要に対して、その第一歩がCalmという形で実現したとみるべきだろう。ニュータニックス・ジャパンのエンジニアとの会話でも「新たにDevOpsを開発から実施したいというお客様向けというよりは、すでにNutanixを使っているお客様に向けたソリューション」であるという。
また「他に比較対象となるソリューションは?」と言う質問に対してNutanixのプレジデントであるスディーシュ・ネア氏は「比較するならVMwareのvRealize」と答えた。確かにNutanix Calmの機能は、vSphere環境からパブリッククラウドを活用する際の自動化ツールであるvRealize Automationのそれとマッチアップするもののように思える。つまりあくまでもNutanixアプライアンスの「運用の自動化、最適化」の一環として、パブリッククラウドサービスを運用する際のツールという位置付けだろう。
もうひとつのNutanix Xi Cloud Servicesは、オンプレミスのアプライアンスを開発販売してきたNutanixが初めて提供するパブリッククラウドサービスであるという。もっとも、現状ではオンプレミスのNutanixアプライアンスからのディザスターリカバリー機能だけがまず提供され、その後の機能拡張の計画に関しては、時期尚早ということで詳細は公開されていない。このパブリッククラウドサービスも提供の形態は「パートナーのデータセンターの上でデータの退避を行う」というもので、今回発表されたGoogle Cloud Platformとの連携において「データの退避先にGCPを選択できる」と言う説明の通り、あくまでも実体としてはソフトウェアとして提供され、実際のストレージはパートナーのデータセンターを使うということらしい。また日本においてのパートナー、つまり日本のベンダーがこのサービスの提供元として参加する予定については、まだ話せる内容ではないということで、こちらも情報を提供するには時期尚早ということのようだ。
今回の発表は、これまでオンプレミスのアプライアンスメーカーと見なされてきたハイパーコンバージドインフラストラクチャーのNutanixが、顧客のニーズに応える形でパブリッククラウドとの連携を進めてきたということだろう。提供される機能についてはディザスターリカバリーという部分が先行しているが、この後、どのような機能が提供されることになるのか、もしくは現実的な解としてディザスターリカバリーに限定するのかについては、Nutanixの次の一手を注視したいと思う。
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