ユーザーのためのWebデザイン
まずはユーザーを知る
前回(http://www.thinkit.co.jp/article/111/1/)は、iKnow!(http://www.iknow.co.jp/)サイト作成のためのツールや、プロセスについて紹介をしました。今回は、Webサイトのビジュアル・スタイルをデザインするための手ほどきとして、iKnow!サイトのクリエイティブの開発の中で、キーとなるデザインプロセスのより詳細な内容と、デザイン決定の理由づけについて紹介します。
Webサイトの新しいビジュアル・アイデンティティーをデザインするというチャレンジに直面した時に、良い選択をするための戦略があります。Webデザインは本質的にWebサイトとユーザー、そしてインターネットテクノロジーの間で、いかにフィットしたものを作るかというための意思決定のプロセスです。可能な限り、より多くの情報をプロセスの最初の段階から知っておくことは、無数の選択肢がある中で絞り込みが容易になります。いくつかの初期のデザイン選択肢では、どのカラーパレットを使うか、色のバランス、どんなフェースを使うかなどの選択をします。
どんな人がWebサイトを使うかを、つまり、ユーザーについてリサーチをすることは、選択の幅を狭めるために役立ちます。どんな人たちがWebサイトに来て、どんな活動をするのかを考えてください。年齢、性別、社会的属性についても考慮が必要です。ユーザー層を理解したら、フィットするデザインが見えてきます。どういうサイトが存在し、どんなサイトデザインがユーザーにアピールするかをリサーチするためのリファレンスポイントになります。
次は環境を知る
次のステップでは、インターネットで似たようなサービスを提供しているサイトを見て回ります。おそらく、ポテンシャルユーザーの中には、そういったWebサイトになじみがあるケースもあります。意識すべきことは、おそらく自分がそれに挑戦し、Webデザインの問題を解決する第一人者ではないということと、求める答えは、すでにうまくやっているほかのWebサイトを探すことで解決できるということです。
そして、うまく作りこまれて評価されているWebサイトの例をWebデザイン年鑑から得ることができるし、アイデアも得られるでしょう。新しいビジュアル・アイデンティティーを作り出す時に、良い参照サイトの枠組みがあることは重要なことです。
iKnow!サイトのビジュアルスタイルを決定する上で、基準になるポイントがマッチするWebサイトのリストを作りました。私たちが選んだのは、私たちが導入しようとしている機能と似たようなセットが存在しているWebサイトです。また、ユーザーに対して、常に魅力的なツールを提供するといった同じようなビジョンを持っていると判断できるWebサイトもそうです。代表的なソーシャルサイトであるFacebookやMixiは、last.fm、youtube.com、traineo.comやilike.comなどと同様に、比較の対象としてきました。flickr.comやzorg.comなどの写真共有サイトも参考にしていました。
また、さほど好ましくないWebサイトについてもリストアップして、その理由を考えることは役立ちます。どこか完全ではないと思うWebサイトにおける、カラースキーム、レイアウトや、フォントの組み合わせがうまくフィットしていない場合を考えることは、それらのコンビネーションが効果を上げていてバランスが取れている場合を考えるより簡単でしょう。
このようなWebサイトをリストアップしておくと、どのような色使い、どのようなアイコンやグラフィックの素材、どのようなタイポグラフィを使っているかについて考えることができます。ほとんどのサイトをこのような観点で分析をすれば、それをサイトのデザイン選択の手ほどきとなった潜在的ルールが見えてきます。