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  インタビュー

Elastic大谷氏とマイクロソフト川崎氏が語る Elastic+Azureですべてが可視化される世界

2018年4月27日(金)
高橋 正和

検索エンジンElasticsearchを中心に、Elastic Stackによるシステム可視化なども提供するElastic社は、2〜3月に開催されたカンファレンス「Elastic{ON} 2018」において、さまざまな新発表をした。これについては本誌でもレポートを掲載した。

5月22〜23日に開催される日本マイクロソフトの技術カンファレンス「de:code 2018」では、Elasticの大谷純氏と日本マイクロソフトの川崎庸市氏の登壇するセッション「ここまでできる!Elastic Stackによる運用状況の可視化 - Azureサービス~ Kubernetesまで」が開かれる。ここでは、Elastic StackとMicrosoft AzureやKubernetesを組み合わせた可視化が解説される予定だ。

Elasticの最近の動向から、AzureやKubernetesとの組み合わせまで、大谷氏と川崎氏に話を聞いた。

「Elastic{ON}」では統合的にシステムを見る仕組みが拡充

―― Elasticの事業内容を改めてご紹介ください

Elastic大谷:Elasticも最近はいろいろなプロダクトがありますが、もともとはElasticsearchという検索エンジンのソフトウェアの会社です。ElasticsearchはWikipediaやGitHubなどでも使われています。創業者兼CEOのShay Banonが、もともと奥さんのレシピを検索するソフトウェアのために開発したのが始まりで、そちらは完成していないんですが(笑)、Elasticsearchで会社(現Elastic社)を立ち上げて開発しています。

Elasticの大谷 純氏

現在は全文検索だけでなく、ログ収集のLogstashや可視化ツールのKibanaなどもあり、Elasticsearchと組み合わせてログを可視化する用途でもよく使われています。

最近ではそれにプラスして、いろいろなデータを取得する軽量なエージェントのBeatsというオープンソースプロダクトもあります。これにより、CPU使用率などのメトリックスも取得してElasticsearchに入れてKibanaで可視化する、というElastic Stackのソリューションが主流になってきています。

―― 2〜3月に開催されたカンファレンス「Elastic{ON} 2018」ではどんな発表が

Elastic大谷:さきほどお話したように、Elasticでは全文検索からログ可視化に進み、さらに数値データを集めて可視化するという仕組みができてきました。

今回のElastic{ON} 2018ではさらに、個々のメトリックスを可視化するだけではなく、アプリケーションパフォーマンスを可視化するツール「APM(Application Performance Monitoring)」が登場しました。今後はおそらく、さまざまなものをKibanaで一元化して見られるところがElasticの強みになってくるのではないかと思っています。CPUの使用率を見ながら、ログを見ながら、アプリケーションのパフォーマンスがおかしいのかどうか調査する、といったように。

それに加えて、機械学習による異常検知も登場しました。これまでも機械学習のモジュールが、X-Packとして有償で提供されていました。今回は、それがモニタリングの裏側で動いて異常検知する仕組みとなっています。

このように、統合的にシステムをモニタリングしたり、監視したり、ヘルスチェックをしたりと、今回のキーノートでは統合的に見るためのものが大きかったと思います。

X-Packのソース公開はオープンソースにあらず

―― X-Packのソースコードを公開するという発表も、大きな話題になりましたね

Elastic大谷:次のバージョン6.3からソースコードを公開するというものです。今回の発表について「オープンソースになるんですか」とよく聞かれるのですが、ライセンスはいままでと変わらず、サブスクリプションを購入している人が使えるものです。ただし、コードが読めるようになるので、問題があったときに調べるといったことができます。

もう一つ効果があります。いままでクローズドとオープンが別のリポジトリだったので、プロダクトに問題が見つかったときに、クローズドな部分の問題だとチケットや議論がユーザーに見えませんでした。それが一緒になって見えるようになるというのが、インパクトのある点だと思います。

―― 外部からのコントリビューションも受け付けるのでしょうか

Elastic大谷:確かなところはまだわかりませんが、受け付ける形になると思います。パッケージングして配布する権利はわれわれElastic社が持ちつつ、パッチを送っていただいて、サインしていただければ取り込むという。Elasticsearchもそうなので、そこは変わらないと思います。

―― 性善説にもとづいているように感じます。チェックする仕組みはないのでしょうか

Elastic大谷:チェックは無理で、そこは皆さんを信じて公開します。オープンソースでビジネスをしている会社が、傾いてプロダクトがすたれては皆が不利益を被るので、そういう意思表示だと私は思っています。もともと、クローズドであることより、サブスクリプションとサポートがElasticのビジネスなので。

MS川崎:Swiftype App Searchも発表されましたね。

日本マイクロソフトの川崎 庸市氏

Elastic大谷:Swiftypeはもともと、サイト内検索のSaaSの会社で、2017年11月にElasticにジョインしました。Google Site Searchが終了を発表したので、いまサイト内検索でSwiftypeがいちばんメジャーになりつつあると思います。

私ももともと全文検索をやっていた人間なので、さっそく自分のブログ内検索を試してみました。URLを指定すればクロールしてインデックスしてくれて、すぐ検索できるようになって、簡単にできました。若干お金がかかりますが、企業導入なら十分ありだと思います。

MS川崎:Swiftypeのように、検索エンジンからクローラーまで全部揃っているのは、なかなかないですよね。

Elastic大谷:それに対して、サイト内のページをクロールするのはなくて、ECサイトの商品検索など検索データを別途用意する用途には、いままでElasticsearchの環境を自分で構築して管理しなくてはならなかった。そこで今回発表されたのが、Swiftype App Searchのベータ版です。これは、クローラーはなくて、自分でクラウドにAPIで検索するデータをアップして簡単に使えるものです。

特徴は、GUIがわかりやすいところです。たとえば、本の検索であれば、タイトルにヒットしたものを紹介文にヒットしたものより上に出してほしい、といった要件がありますが、そうしたカスタマイズをGUIで設定できるのが楽だと思います。

MS川崎:AzureにもAzure Searchがありますが、このサービスを使う層はランキング調整などの知識がない方が多いと思うので、そこをGUIで簡単にできるのは需要あると思います。

次ページでは……
  • Beatsの影響でプロダクトの統合が進んだ
  • KubernetesのPodをまとめて表示
  • Azure上のモニタリングからAzureサービスとの連携まで

フリーランスのライター&編集者。IT系の書籍編集、雑誌編集、Web媒体記者などを経てフリーに。現在、「クラウドWatch」などのWeb媒体や雑誌などに幅広く執筆している。なお、同姓同名の方も多いのでご注意。

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