現役ネットワークエンジニアが語る! エンジニアに必要なスキル「5選」
はじめに
みなさんは、新しいスキルを身につけたいときに、どのように学習計画を立てていますか。プライベートの時間やセミナー、コミュニティを活用し、スキルアップを目指す方が大半だと思います。
仕事以外の時間を活用し、スキルを身に着けることは非常に良いことですが、実務に活かされていないとモチベーションの低下につながり、継続して取り組むことが難しくなりがちです。
モチベーションを維持し、かつ実務に活かすためには「より実務に近い学習ポイント」を見定め、学習していく必要があります。そこで今回はネットワークエンジニアに焦点を当て、これまでの私自身の経験を踏まえ、重要なポイントを5点紹介していきます。
ネットワークエンジニア問わず、その他職種にも関連する箇所があります。これからIT業界での就職を目指す方の参考になればと思います。
1. 専門用語に慣れよう!
専門職として働く場合は多くの専門用語に遭遇します。専門用語を使用した会話を初めから全て理解することは難しいです。専門用語を理解し、キャリアに活かすには、どのような学習や意識付けを行えば良いのでしょうか。
私が実施した方法は大きく挙げると3つあります。「資格取得」「会話」「調査癖」です。
1つ目の「資格取得」は用語を学習するために非常に効率の良い方法です。ネットワークエンジニアの資格で初学者向けの代表的なものは「CCNA(シスコシステムズ社が実施する資格試験の1つ)」があります。資格取得を目指す過程で、その意味や使い方を学ぶことができます。また資格を取得した場合、客観的な評価が得られ、自身のキャリアアップにもつながります。
2つ目の「会話」は「資格取得」より実践的な方法になります。資格取得で得た知識をエンジニア間での会話で使用します。最初は認識が合わないことがありますが、会話する相手の技術レベルに合わせて専門用語の使い方や言い回しなどを自然に判断できるようになると、クライアントとストレスなくコミュニケーションが図れるため、スムーズに情報提供ができるようになります。
3つ目の「調査癖」は今後のスキルをさらに高めていくために必要なものです。クライアントとの会話中に新しい用語に遭遇することがよくあります。聞き覚えのない用語に遭遇した際に最も意識すべきことは、「すぐに調べる(調査)クセ」を身に付けることです。調査癖を身に付けることにより、新しい用語の意味をリアルタイムに学習することができます。
2. 構成図を描けるようになろう!
「なぜ、描くことが重要なのだろう?」と思われた方もいらっしゃる思います。前述したように専門用語を多用する専門職が多い業界では、様々なレベルのスキルを持った人たちとコミュニケーションを取ります。認識の不一致などが原因で、プロジェクトの進捗の遅れやトラブルになるケースもあります。
では、様々なスキルレベルを持った人と円滑にプロジェクトを進めるためには、どのようにコミュニケーションを図っていけは良いのでしょうか。「描く」ことは認識を合わせるためのコミュニケーション手法の1つです。描くことで様々なスキルセットを持った人と認識を合わせながら、プロジェクトの精度を高めることができます。
ネットワークエンジニアにもネットワーク構成図を描くことがあります。社内またはクライアントとの打ち合わせの中でネットワーク構成図を共有し、認識を合わせることで、未知のトラブルを発見および防止できます。
専門用語を覚え、理解することも重要ですが、「自分自身の考えを描く能力」もエンジニアには必要です。構成図を上手に描けるエンジニアほど周囲の評価は高く、信頼を獲得しやすい傾向があります。
相手に伝える手法は言葉だけではありません。「相手に伝える」能力を高め、コミュニケーション能力の高いエンジニアを目指しましょう。
3. OSI参照モデルを知ろう!
シスコシステムズ社の認定資格やインフラ関連の教材で一度は目にしたことのある「OSI参照モデル」ですが、ネットワークエンジニアが業務をする上でとても重要です。
OSI参照モデルはIPアドレスが付与されたネットワーク通信を行う基本モデルを指します。世界各国が通信を実現できているのは、本モデルが世界共通のIP通信技術となっているためです。OSI参照モデルやプロトコルをベースに各ベンダーが製品を製造し、クライアントへ提供しています。
OSI参照モデルを理解する上で一番のメリットは「専門技術取得の精度の向上」と「迅速なトラブルシュート対応」にあります。IP通信技術の基本となるOSI階層モデルを理解することで、今後学ぶであろうプロトコルの理解が深まりやすくなり、「技術取得の精度の向上」が期待できます。また、プロトコルを理解することで、OSやアプリケーション等がどのように通信しているのかを同時に知る機会を得ることができます。
ネットワークエンジニアが誰しも遭遇するものとして、ネットワークの障害対応があります。ネットワーク障害が発生した際、クライアントは関連するシステムを利用できません。「迅速なトラブルシュート」とは取得した情報から障害の原因究明、解決へ導く、対応の早さを意味します。
OSI参照モデルとは「その障害がどのレイヤーで発生しているのか」を見定める1つの大きな指標となります。OSI参照モデルをより深く学ぶことで、トラブルの原因を究明できるようになります。
4. 実機操作による動作確認をしよう!
資格等の座学で得た知識だけでは、実際の業務に活かせるとは限りません。実際のネットワーク構築の業務では実機操作が必要不可欠となるからです。
ネットワークエンジニアは業務を遂行していく中で、実機操作をする機会が多くあります。CLIによるコマンドライン入力やLANケーブルなどの物理的な接続や、ネットワーク機器を操作するスキルが必要となります。
私は資格取得や実務に近い経験をするためにネットワーク機器を購入し、検証を実施しました。LANケーブル接続後のLEDの状態やCLIでの出力結果を確認することにより、「現在機器がどのような状態であるのか」を把握できます。座学ではイメージしにくい、各プロトコルの仕様やその確認方法を実機で確認できるのです。
様々なネットワーク機器を操作してベンダーの機器特有の動作や出力を確認することにより、実務で同様の状況が発生した際には適格にアプローチできるようになります。「現場でのトラブルシュートの対応力向上」にもつながります。
即戦力のネットワークエンジニアとして活躍し、評価を高めたいという方は座学と併せて実機を使用した学習もお勧めします。
5. ツールを使いこなそう!
ネットワークエンジニアの業務を問わず、業務を遂行していく中で様々なツールに出会います。弊社ではコミュニケーションツールとして「Slack」や「oVice(バーチャルオフィス)」を使用しています。
中でも「oVice」は、近年のコロナ渦においてテレワーク環境下での社員同士のコミュニケーションの場をバーチャルオフィスとして提供し、出社しているかのような感覚で会話できます。このように、業務を遂行していく中でエンジニアが使用するツールも時代に沿って変化しており、より使いやすいものになっています。
構築・検証を実施する際には、ツールをいかに使いこなすかが非常に重要です。技術が進歩していく中で、構築・検証も複雑になることが想定されます。アプリケーションツールの作成に対して、難易度が高いと感じる方は、まずはバッチファイルを作成することをお勧めします。自身でバッチファイルを作成するだけでも作業の工数を削減し、効率化が期待できます。
作業を効率化するアプリケーションツールは有志者によって無数に提供されています。非常に使いやすいアプリケーションツールが随時リリースされているので、状況に応じて自身の利用しやすいツールを選定しましょう。
おわりに
IT業界は専門職が多い業界です。エンジニアはトレンドを把握し、クライアントにより良いシステムを提供しなければなりません。専門職であるがゆえ、より高い専門性求め続け、またトレンドを察知する能力も必要となります。
今回はネットワークエンジニアに必要なスキルを5つ紹介しました。ネットワークエンジニア向けに記載したものですが、開発系やWeb系など、その他のエンジニアとして活躍したい方にも部分的に参考になるのではと思います。
学習の方向性を見定め、業務を効率化することでプライベートの時間も確保しやすくなります。ストレスレスな働き方をすることで新しい発想につながることもあるかもしれません。
本記事が、皆さん自身の学習の目的と方向性を改めて見直す1つのきっかけになれば幸いです。
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