概要
ERP研究推進フォーラム・情報サービスグループでは、日経BPコンサルティング社と共同で、アンケート方式による「2004企業アプリケーション・システムの導入状況に関する調査」を行い「2004ユーザーの賢いIT投資動向とERP市場の実態」というタイトルで2004年5月に発行いたしました。
今回の調査は、新たな観点を付け加えた下記5点の調査項目を重点的に取り上げています。
- 「IT投資効果評価」の実態
- ユーザー企業の主要IT投資分野への注力動向
- 業務分野ごとのERPパッケージ利用、現状と将来
- ERP導入ユーザーの「期待度、満足度」と満足度向上の決め手
- ERP導入や運用におけるパートナーのビジネスチャンス
本報告書は、同調査結果をもとに新しい視点でのさらなる分析を施すと同時に、経年変化など詳細な分析と解釈を行い、さらに関連する外部情報も付け加えた「分析編」としてまとめました。
これにより、我が国ユーザー企業のIT投資戦略や企業アプリケーションに対する取り組みについて、最新トレンドの把握を可能とするものです。
ユーザーのIT投資動向
セキュリティへの企業の関心は高い。個人情報漏洩の頻発やハッカーによる攻撃など は言うまでもなく、内部または関係者が関与するケースが多いという実態に対応して、内部セキュリティを確保する動きも目立つ。そのためには、ユーザー認証、アクセス制御、アクセスログの取得、暗号化技術の活用がキーになる。
これらのメカニズムの導入が今後進むと見られる。セキュリティの確保は技術の問題だけでなく、全社的な課題としてセキュリティ・ポリシーが求められるが、その結果としての対応策も明確になり、投資に結びつくものと考えられる。
インフラについては、ITインフラの再構築が盛んである。それは古いITインフラがIT活用の足かせになるとともに、高コスト体質を招く要因になるからだ。ネットワークのスピードやハードディスクの容量などが大きく向上した。
レガシーシステムを棚卸し、不良在庫を処分して身軽になることで、アプリケーションのメンテナンスのコスト、時間をセーブすることが必要だ。レガ シーシステムへの投資は減らして、新規投資に振り向ける傾向が顕著であるが、ITインフラへの投資と関連してIT活用の高度化に備える企業の姿勢が今後鮮 明になるだろうという調査結果である。
インフラには、運用管理ツールなどのミドルウェアへの投資やメンテナンスコストを減らすための投資なども含めて定義すると、その投資意欲は2004年以降も衰えないであろう。