ERPの導入状況:市場をリードするのは中堅・中小企業と製造業
ERPの導入状況:市場をリードするのは中堅・中小企業と製造業
今回の調査結果によりERP導入状況を概括する。ERP導入企業は、「導入済みで現在利用している」(15.3%)と「利用範囲を拡大しようとしている」(4.5%)とを合わせて19.8%だった。「導入決定し導入の作業中」の7.7%を加えた27.5%が実質的にユーザーということで、リアルユー ザー(「導入済みで現在利用している」+「利用範囲を拡大しようとしている」+「導入決定し導入の作業中」)と呼ぶことにする。
「導入の方向で検討・準備中」(12.1%)は、そのかなりの部分がユーザーになる可能性が高い導入予備軍とみなせる。この比率が今後の動向を占う重要な指標として例年注目している。一方、「過去に調査検討し導入しないと決定」(12.2%)は、その理由(別途設問)とともにERP導入の課題提起と して受け止める部分であり、別の意味で注目される。また、わずかではあるが「過去に導入したが利用を中止」(0.5%)の企業が見られる(図2)。

図2:ERPに対する認知度/導入状況(業種別、売上高別)
売上高別で見ると、中堅企業と小規模企業での導入比率が軒並み高まっている。300億円以上1000億円未満では昨年の19.1%から21.0%と1.9ポイント増に、また昨年調査でサンプルの関係でゼロだった100億円未満でも13.0%が導入済みという結果だった。中堅・中小規模企業への導入が 確実に進展していることが伺える。
一方、3000億円以上の大企業で「関心なし」の比率が中堅企業を上回っている点が気になる。すでにERP導入は終わったとして、その他の領域に関心が移ったとも見られる。また一巡して飽和状態に達したとの解釈も可能だろう。確かに、リアルユーザーでは35.5%と他の規模よりは高いが、この程度の数値ですでに大企業のERP導入は終わったと見るのは早計だろう。また、企業数が増えなくとも、内部で業務範囲を拡張したり、他のアプリケーションとの連 携を図るなどの投資を行っている状況がこの設問ではわからない。もう少し多面的に検討していくべきであろう。
業種別では、製造・建設(大部分が製造と解釈してよい)の導入率が24.8%、リアルユーザーが34.2%で前年比でも伸びた。他の業種に比較して導入が進んでいる。非製造のERP導入は全体としてあまり進んでいない(導入率13%、リアルユーザー18.8%)。特に金融は導入率が7.3%、流通は 7.2%といずれも低い。ただし、流通は導入中が6.0%あるので、今後は増えてくる。サービス業その他が導入率21.5%、リアルユーザー29.5%と製造に迫る勢いであることが注目される。