ビジネスプロセスの可視化を実践するBPMS 3

業務プロセスのシミュレーション

業務プロセスのシミュレーション

モデリングの次はシミュレーションです。ProcessModelerでは以下のことを視覚的かつ数値的に検証することができます。

表現した業務プロセスに矛盾が存在するか(開始から終了まで流れるかどうか)を検出できます。
  • 机上で表現した業務プロセス図が正常に流れることは、ディスカッションする上で重要なポイントです。
業務プロセスのパフォーマンスに対してのボトルネック(要改善箇所)が特定できます。
  • ボトルネックの検出により、余計なコストを掛けずに業務改善によるROIを予測できます。

ここで注意しておかなければならないのは、ボトルネックは「人」であるとは限らないことです。システム応答時間かもしれませんし、業務フローに含ま れる関連業務(サブプロセス)かもしれません(注2)。業務改善するにしても、ボトルネックの発生箇所に応じて対策も異なります。業務改善箇所を特定する 上で、また効果的な改善成果をあげるためにも、シミュレーション機能は非常に有効です。

※注2: ProcessModelerでは、シミュレーションを実行する際、業務フローに含まれるサブプロセスも含まれます。

 

シミュレーションデータ設定画面
図8:シミュレーションデータ設定画面
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

シミュレーション設定項目

シミュレーションを実行するために以下の項目を設定します。

業務担当者数
ワークステップ毎の作業実施者数になります。作業実施者が人、またはグループ(部署)の場合、人数を設定します。
 
業務処理時間
ワークステップ毎の作業に費やされる処理時間を指します。
 
業務担当者コスト
単位時間当たりのコストを指します。業務担当が人であれば1人当りのコストを、業務担当がコンピュータであれば1台当りのコストになります。
 
リソースコスト
ステップ毎に消費されるリソースおよびコストを指します。ここには紙代や電話代、交通費、サポート費用など、時間コスト以外の項目になります。
 
シミュレーション実行頻度
一回のシミュレーション実行で、業務プロセスを仮想的に何回実施させるかを設定します。実際は日毎あるいは月毎のような一定期間で処理する業務件数となります。
表5:シミュレーションを実行するために設定する項目

ProcessModelerでは、これらの設定を1つの「シナリオ」として位置付けています。また「シナリオ」を複数設定すること(注3)ができ、かつそれらを組み合わせてシミュレーションを実行することが可能です。

※注3: 例えば「月初、月末において発生件数や担当者数が変るような場合で、それぞれをシミュレーションしたい」といった際にシナリオを複数設定することで検証効果が期待できます。

シミュレーション結果表示画面
図9:シミュレーション結果表示画面
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

上の図9はシミュレーション結果の自動作成レポートです。図を見ればわかるように、業務上でのリソース・時間などの設定閾値を超えた結果は赤字で表 示されます。例えば「業務停滞時間」が赤字で表示されている場合は該当するワークステップにボトルネックが発生していることを示しています。

また「消費ユニット数」が赤字で表示されている場合は、該当するリソースの消費可能量「許容ユニット数」を超えていることを示しています。

ここから導き出される代表的なボトルネック要因は、以下となります。

業務担当者による問題
担当者の能力不足や、担当者の処理限界(人数不足)が考えられます。
 
非効率な業務プロセス
既存の業務に対してプロセス図を記述してみると、かならずしも効率的なフローになっていないことに気付くことがあります。
表6:代表的なボトルネック要因


ボトルネックの原因は様々です。もし、ある業務プロセスに対して業務改善する必要が生じた場合、まず原因が何であるかを特定し、手作業に起因するのであれば支援システムの導入を検討し、また、業務自体をアウトソーシングすることも検討する場合もあるでしょう。

このように、これらを想定したシミュレーションを実施していくことは、最適な業務プロセスへの改善変更(PDCA)を実践する際に効果を発揮するのです。

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