情報化による業務システム改善 4

ABCで評価してみる

ABCで評価してみる

では実際にABCを活用して、BPRに取り組んだケースを見てみよう。以下で取り上げるのは、ある団体の「庶務・総務事務」を実際にABCで分析し、情報システムの導入効果、BPRの実施効果を具体的にコストで評価したものである。

ABCの実施手順
図2:ABCの実施手順

1. 具体的な目的を関係者で共有する

今回対象にした「庶務・総務事務」について、最初に「目的」を関係者間で共有する。その際に目的を形式的に設定してしまうことがあるが、問題意識を作り出すためにもきちんと議論をして目的を確認したほうがよい。

今回のような内部事務の場合は、情報システムを導入することで、直接的には「負担を軽減し作業時間を短縮する」という目的になる。

  • 処理の正確さを向上させること
  • 手続の一元管理・簡便化をはかること
  • 庶務事務にかかる時間的負担を軽減すること
  • ペーパーレス化を促進すること
表2:庶務・総務事務の関係者が共有すべき目的(例)

もう少し大局で捉えれば、ここで削減できた時間や人員を本業であるサービスや事業に再配分し、サービス品質や顧客満足の向上につなげることが究極の目的になるだろう。



  • 本業であるサービスや事業の品質や顧客満足を向上させること(本業の強化により収益をアップさせることなど)
表3:庶務・総務事務の究極の目的(例)

2. 現状を把握し、対象業務を選定する

次に現行の業務を分析して、BPRの対象として、どのような事務手続や作業を集中化すべきか、アウトソーシングすべきかを明らかにする。ここでは、活動基準原価によって分析するため、各事務手続を「手作業」「パソコン作業」「システム処理」「運搬」といった作業区分に大別し、さらに各々を動作に細分化して数量化しておく必要がある。
 

  • IT化されている作業工数は全体の約15%、手作業の割合は約60%
  • 手作業のうち、約30%を占める「確認作業」は集中処理、約15%を占める「記入・転記」は省略・廃止できる
  • 約25%を占める「文書作成・保管」はペーパーレス化できる
表4:庶務・総務事務を現状を定量的に把握

上記のように現状を定量的に把握することによって、手作業をIT化してBPRを行うことで生み出される効果を推計できる。



IT化による費用対効果
図3:IT化による費用対効果

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