情報化による業務システム改善 4

3. コストを析出し問題点・課題を分析する

3. コストを析出し問題点・課題を分析する

選定した対象業務に対し、これらの作業・動作の基準となる1年間の活動日数、1日あたりの労働時間、年間労働時間、職員1人あたりの人件費、紙1枚あたりの費用などの原価や数量を把握して、事務手続や作業ごとにコストを積算する。

今回のケースでは、コストを積算することによって、次のような問題点が明らかになった。

  • 紙による事務処理が基本であるため、転記、コピー、入力、各種チェック作業、運搬・移動・待機などの非付加価値作業が多数存在すること
  • 各庶務事務の作業のうち、85%程度がIT化されておらず、庶務担当の手処理となっているために負荷が大きいこと
表5:庶務・総務事務における問題点の洗い出し


なお、ABC分析の結果から、高コストになっている事務手続には、「日常的に発生している事務」「頻度が高い事務」「頻度が低くとも複雑・時間を要 する事務」があり、頻度が低い各種取次ぎ事務などについては、相対的にコストも抑えられているという示唆が得られた。

4. BPR実施モデル、BPR方針を策定する

析出したコスト規模別に各事務手続をグループ化し、各事務の発生頻度、動作回数や所要時間といったコスト要因からIT導入の際のBPRポイントを抽出する。

 

  • 事務手続そのものの見直し(廃止、ルート見直し、権限委譲、簡素化、変更など)
  • IT活用による見直し(システム連携、データベース化、情報通信インフラの共用化など)
  • 事務の集中化(標準化、発生源入力など)
表6:庶務・総務事務におけるBPRのポイント

さらに、BPR実施の際の基本となる方針を策定するため、庶務事務の改善に必要なBPRのポイントを組み合わせて15〜20程度のBPR実施モデルを作成する(図4)。
 

BPR実施モデル
図4:BPR実施モデル

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