JBoss Enterprise Application Platformの全貌 1

Red Hatが提供するJBoss Enterprise Middlewareとは

「JBoss, a division of Red Hat」の意味するもの現在JBossはレッドハットの一部署としてJavaによるオープンソースミドルウェアソフトウェアの開発とサポートの活動を続けています。JBossはオープンソースミドルウェアソフトウェアのグローバルリーディング企業であり、企業レ

田澤 孝之

2007年8月24日 20:00

「JBoss, a division of Red Hat」の意味するもの

現在JBossはレッドハットの一部署としてJavaによるオープンソースミドルウェアソフトウェアの開発とサポートの活動を続けています。JBossはオープンソースミドルウェアソフトウェアのグローバルリーディング企業であり、企業レベルで利用できるオープンソースソフトウェア、JBoss Enterprise Middlewareを提供します。

これはJBoss Enterprise Middlewareが現在マーケットに存在する他社商用サーバと比較し同等かそれ以上の性能、拡張性そして品質をサブスクリプションという形で提供し、レッドハットが保証することにより企業レベルのシステムでもJBoss Enterprise Middlewareを安心して利用できるということを意味しています。

これまでもJBoss Application Serverはオープンソースかつライセンスフリーであるということで、企業内でも利用されてきました。しかし一般的な認識は有償の商用製品ではなく、ベンダーのサポートがない、という理由からミッションクリティカル分野での採用が見送られてきた過去があったということは否めません。


JBoss Enterprise Middlewareの特長
図1:JBoss Enterprise Middlewareの特長
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

しかし現在は違います。JBoss Enterprise Middlewareはオープンソースコミュニティのメリットを享受して、JBoss.orgで進化し続けるJBossプロジェクト群をレッドハットがパッケージ化しています。その上でエンタープライズレベルの統合品質テストを行い「製品」として提供するソフトウェアに生まれ変わったのです。




以下の表にJBoss.orgでのコミュニティベースのソフトウェア、JBoss Enterprise Middleware、そして商用ベンダー製品の違いを以下の一覧表に示します。


  JBoss.org Jboss
Enterprise
Middleware
商用ベンダー
製品
中心となる組織 コミュニティ レッドハット ベンダー
提供される製品 コミュニティ製品 商用製品 商用製品
ソースコードの開示 公開 公開 非公開
製品のライセンス費用 無償 無償 有償
製品保守およびサポートのコスト × 有償サポート
かつ
低コスト
有償サポート
製品の品質保証 ×
24時間×365対応 ×
HotFixパッチの提供 ×
エンタープライズ向け用途 ×
オープン技術/先進技術の提供
ベンダーロックインからの回避 ×
ミドルウェアのTCOの削減 ×
対象になるシステム 小規模・無保証 小規模〜
大規模
中規模〜
大規模
ミッション
クリティカル
ミッション
クリティカル
表1:JBoss.orgでのコミュニティベースのソフトウェア、
JBoss Enterprise Middlewareそして商用ベンダー製品の違い

ソースコードはオープンソースコミュニティで進化させることには変わりありませんが、企業レベルで利用するためにレッドハットが保証を行う、それが「JBoss Enterprise Middleware」なのです。

もうひとつのSOA

JBoss Enterprise Middlewareは企業システムを構築、配備、統合、オーケストレーションすることが可能な企業レベルのオープンソースソフトウェアであり、Webアプリケーションまたはサービス指向アーキテクチャ(Service Oriented Architecture)に基づいたビジネスサービスの実現を可能とします。さらにレッドハットではSOAを、以下のように再定義しています。



Simple(シンプル)、Open(オープン)、Affordable(値ごろ感)

レッドハットではレガシーアプリケーションをシンプルに、オープンに、かつ値ごろ感を持って最新技術を利用したシステム作りの最良な方法を企業に提案することができます。

レッドハットにはオープンソースを理解し、熟知した技術者が多く在籍しています。その技術者たちがオープンソースコミュニティをリードしつつ、製品のサポートも行います。オープンソースであるため当然ながら製品のソースコードは公開されており、また開発者が製品をサポートするという非常にシンプルな構図を持っています。

またJBoss Enterprise Middlewareで提供するソフトウェアは業界標準仕様に準拠し、SOAレディでありながらも、シンプルなアーキテクチャを持ち、開発の敷居を下げ、容易なシステム構築を実現します。コストという点でも、JBoss Enterprise MiddlewareはLesser Gnu Public License(LGPL)に基づいているためライセンス料はかかりません。

レッドハットはJBoss Enterprise Middlewareのサブスクリプションというサポートサービスを購入いただく場合に限ってのみ費用が発生します。サブスクリプションの詳細については以下サイトを併せてご確認ください。



サブスクリプションの詳細
http://www.jp.redhat.com/jboss/

JBoss Enterprise Middleware

ここまでの説明でJBoss Enterprise Middlewareの定義を理解していただけたと思いますが、JBoss Enterprise Middlewareはレッドハットが提供するJBossソフトウェア群の総称です。JBoss Enterprise Middlewareはそれぞれの用途別にJBoss Enterprise Platformsとして3つのプラットフォームを用意しています。


JBoss Enterprise Platformsの3つのプラットフォーム
図2:JBoss Enterprise Platformsの3つのプラットフォーム

JBoss Enterprise Platforms 用途
JBoss Enterprise Application Platform アプリケーション
サービスのホスティングとデータレプレゼンテーション
JBoss Enterprise Portal Platform コンテンツアグリゲーション
プレゼンテーションとパーソナライゼーション
JBoss Enterprise SOA Platform サービス統合
ビジネスプロセスオートメーションとルール定義
表2:3つのプラットフォームの概要と用途

JBoss Enterprise Application Platform(以下、JBoss EAP)はベースとなるプラットフォームであり、JBoss Enterprise Portal PlatformとJBoss Enterprise SOA Platformに含まれます。

これらのプラットフォームは単一のインストーラで提供され、パッチやアップデートもプラットフォームに対して提供されることになります。利用者はバージョンやパッチの不整合に苦労したり、セキュリティに問題があった場合に個々のモジュールに対してセキュリティパッチを探し出し、適用しなければなら ないといった手間から開放されます。

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