Tomcatクラスタリングのアーキテクチャ
Tomcatクラスタリングのアーキテクチャ
Tomcatクラスタリングの各機能であるロードバランス、フェイルオーバー、ファーミングを実現するためのアーキテクチャについて説明します。
ロードバランス
Tomcatでロードバランスを行うには、表1のようなロードバランサを使うことになります。
- 1.JKコネクタ
- 実績や対応するWebサーバが多い。
- 2.Apacheのモジュールであるmod_proxy/mod_rewrite
- Apacheとの親和性に優れている。
- 3.Tomcat5に付属するbalancerアプリケーション
- Tomcat単体で実現できるという手軽さ。
それぞれに特徴がありますが、本連載ではApache+mod_jkをTomcatクラスタのロードバランサとする1を用います。一般的にTomcatでロードバランス機能を有効にするには、Apacheのプラグインとしてmod_jkを使用することが多いです。
ここではApacheを用いますが、そもそもJKコネクタはTomcatとWebサーバの連携のために、Tomcatとともに開発されているプロ ジェクトであり、Apache以外の様々なWebサーバ用のモジュールがあります。それらはJakartaのWebサイトからダウンロードできます。
JKコネクタのApache用モジュールであるmod_jkをApacheに組み込むことによって、クライアントからのリクエストを設定ファイル(workers.properties)に基づいて適切なTomcatへ転送できるようになります。
mod_jkはHTTPよりパフォーマンスを向上させることを狙ってAJP1.3というプロトコルを用いています。AJPプロトコルはバイナリフォーマットでデータ転送を行い、WebサーバはサーブレットコンテナとTCP接続で通信を行います。
TCPソケットを作成することはコストが高くつき、パフォーマンスが低下してしまうため、複数のリクエスト・レスポンスで使用する永続的な接続をキープできるようになっています。詳細な説明はJakartaのサイトにありますので、そちらを参照してください。
http://jakarta.apache.org/tomcat/connectors-doc/common/ajpv13a.html
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Tomcatのデフォルトの"server.xml"でもAJPプロトコルを受けつけることができるようになっており、「Connector」要素にその設定が記述されています。デフォルトの設定ではポート8080でHTTPを、ポート8009でAJPを受けつける設定になっています。
ロードバランスでは、すべてのサーバに対して順番に1回ずつリクエストを割り振る方法であるラウンドロビンというロジックが基本的に用いられますが、"workers.properties"の"lbfactor"というパラメータでサーバごとに割り振られるリクエストの割り合いを設定することが 可能です。
クライアントからのリクエストを受けつけたサーバに、以降も同じクライアントからのリクエストを処理させたい場合がでてくることがあります。このような場合はスティッキーセッションを使うことができます。
スティッキーセッションとは「同一のセッションを保っているあいだは同じサーバにリクエストを割り当て続ける」という方法です。HTTPリクエスト/HTTPレスポンスが保持するセッションID(CookieあるいはURLに記述されています)の最後尾に使用するTomcatサーバ固有の文字列を付 加することで、mod_jkがリクエストを振るべきTomcatサーバの決定を可能にします。
スティッキーセッションを有効にするには"workers.properties"の"sticky_session"をtrueに設定しておく必要があります。
