Linux OSのシェア
Linux OSのシェア
Linux OSを販売する国内のディストリビューションベンダーは、4社で市場のほとんどが占められている。レッドハットは世界で最も普及していると言っても過言で はなく、日本でもトップシェアである。それに対する国産ベンダーとしてターボリナックスとミラクル・リナックスがあり、レッドハットの牙城を崩すべく拡販 に努めている。また、ヨーロッパで人気が高いSUSE LINUXを買収したノベルは2004年から本格的に市場参入し、他社を脅かす存在になっている。
レッドハットがシェア50%以上を獲得しトップに
2004年のLinux OSの出荷本数、売上金額のベンダー別シェアをそれぞれ図2、図3に示す。

図2:サーバ用Linux OS出荷本数のベンダー別シェア(2004年)

図3:サーバ用Linux OS売上金額のベンダー別シェア(2004年)
2004年のLinux OSの出荷本数と売上金額は、ともにレッドハットがそれぞれ52.8%と58.4%のシェアを獲得し、市場の半分以上のシェアを占めてトップになった。 レッドハットは主要サーバベンダー6社に対してパートナー関係を強め、OEMで出荷を順調に伸ばしている。サーバベンダーもRed Hat Enterprise Linuxのプレインストールモデルの出荷やサポートを強化しており、世界No.1のLinuxディストリビューションベンダーであるレッドハットは、日 本でもその地位をゆるぎないものにしている。
2番手にはミラクル・リナックスが着け、2003年で24.6%のシェアを獲得している。日本オラクルが筆頭株主であるミラクル・リナックスはこれ まで日本オラクル絡みの案件で出荷を伸ばしてきたが、サポートサービス面での充実を図ったことでユーザからの認知度を高め、単独で大きな案件を獲得してい くことができるようになってきた。中国のRed Flagとアジア標準Linuxを目指した共同開発を積極的に進めるなど、市場に積極的なアピールを仕掛けたのも功を奏している。
2004年から市場に参入したノベルに高い成長の可能性
デスクトップ向けOSで強いターボリナックスは、2004年のサーバOS市場では 出荷本数13.1%、売上金額10.8%となっている。ターボリナックスが参加していたUnited Linuxプロジェクトが事実上消滅し、サーバベンダーやISVからの信頼が薄れてきたことも少なからず影響しているようである。2004年10月に発表 されたTurbolinux 10 Serverも、サーバベンダーやISVでは正式サポートを見合わせているという意見も聞かれ、サーバ市場では苦しい戦いになりそうである。
2004年1月に、欧州で最も普及していたドイツのLinuxディストリビューションであるSUSE LINUXを買収し、Linux OS市場に本格参入したノベルは今後の成長が期待される。国内ではノベルの製品としてSUSE LINUX Enterprise Serverを2004年6月から出荷を開始している。SUSE LINUX時代からIBMやSAPなどと共同研究を行うなど大手ベンダーとのパートナー関係が強く、国内参入後は各サーバベンダーや大手ISVも正式対応 を表明するなど信頼は高い。
特にzSeriesやpSeriesなどIBMのハイエンドサーバではほとんどがSUSE LINUXを採用している。現在はハイエンドサーバ向けがメインであるが、2005年はボリューム領域での販売も強化していく方針である。2005年には ハイエンド向け製品を中心に売上金額でシェア10%以上を獲得することが予想される。

図4:サーバ用Linux OS売上金額のベンダー別シェア(2005年予測)