サーバ運用のコストを考えよう
PCの低価格化・高性能化にともない、中小企業でもファイルサーバやデータベースサーバなどの導入が行われています。またADSLや光回線が普及し たことで、高速なインターネット回線も手軽に利用できるようになったため、自社内でWebサーバやメールサーバ、グループウェアなどを運用することも簡単 にできるようになりました。
しかしサーバの運用や保守を専任で行うスタッフを用意できない中小企業では「興味のある人、好きな人」に任せたままの運用になっていることも多いのではないでしょうか。
低価格なPCや回線を使うことでコストを抑えたサーバ運用ができているようにみえても、その実態がどうなっているか、もし問題があるのならばどのようにすれば改善できるのかを考えてみましょう。
サーバ運用のコストとは
サーバの運用コストは、大きく分けて「人」に関するものと「物」に関するものとに分けて考えることができます。それぞれに含まれる要素としては表1のようなものが考えられます。
| 「人」に関するコスト | 「物」に関するコスト |
| 人件費 | サーバ・設備(保守費用・減価償却など) |
| 専門知識の習得と技術力の確保 | ライセンス |
| 人材育成 | 回線費用 |
| … | 電気料金(光熱費なども含む) |
| … | |
| トラブル・障害時のためのコスト | |
| 業務への影響の見積り | 代替機器の用意 |
| 復旧手順の用意 | 監視、バックアップ体制の整備 |
| 複数の技術者の確保 | 保守サービスの利用 |
| … | … |
また問題なく動いているときはいいのですが、なんらかのトラブル・障害が発生したときには、復旧のための費用はもちろんのこと、障害の影響によって通常業務ができなくなるなどの損失も発生することでしょう。
トラブル・障害時のコストは、正常運用時には必要性を感じにくく優先順位も低くなりがちです。実はこのようなリスクに対応できるための環境作りについても、本来は運用コストに含めて考えなければなりません。
トラブル・障害時のコストを考えるには、障害発生時の業務への影響の見積りが不可欠です。例えば、「メールが1日使えないとどうなるか」や、「顧客 情報の入ったデータベースが動かなかったりデータが消失したりしたら…」など、様々なケースでの影響を考える必要があります。
その対策としては、大きく「起こらないようにするためのもの」と「復旧のためのもの」とに分けて考えることができると思います。
いずれにしても常日頃からの準備が必要となります。また、特定の人物でしか対応できないような状況も当然回避するべきです。
「人」に対するコストの重要性
このようにサーバ運用のコストとは「物」に対するものが中心ではなく、「人」に関するものが中心となっていることがわかると思います。
例えば、このようなケースではどうでしょうか。
| イントラネット用サーバ | グループウェア(Windows) |
| ファイルサーバ(Windows) | |
| データベースサーバ(Linux) | |
| インターネット用サーバ | ウェブサーバ(Linux) |
| メールサーバ(Linux) | |
| サーバ管理者 | 専任が1人(経験10年弱) |
必要となる「専門知識」について考えてみると、表3にあげるような幅広い知識・技術力が必要になります。
- ハードウェア、ネットワークに対する知識
- WindowsとLinuxが使われているため、複数のOSに対する知識
- Webサーバ、メールサーバ、データベース、グループウェアといったアプリケーションに対する知識
- 監視やバックアップなどの運用に関する知識
- トラブル・障害時の原因究明〜復旧などの障害時対応に関する知識