人に頼らない運用を
人に頼らない運用を
このケースのように1人だけでサーバ運用を行っていると、管理者が出張や病欠などで不在の時に障害が発生したらだれも対応できない(しかもそういう ときに限って障害が起こる)…ということになってしまいます。トラブル・障害対応を考えた場合には複数の技術者の確保が不可欠になります。
そのためには、常時ではないにしても非常時に協力してもらえるような技術者の育成や、場合によっては複数の後任の育成も必要となるでしょう。
いずれにしても短期間に解決できるものではなく、また障害時対応においては、ある程度の経験・技術力が必要なものもあります。もちろん勘・経験・度胸に頼らない運用体制や運用マニュアルも必要となるでしょう。
このように「人」に関する運用コストは一朝一夕に解決できるものではなく、長期的な計画のもとで人材育成、専門知識の習得、技術力の確保を考えなけ ればなりません。しかし、すべてを自社内に抱え込んでいるため、対応しなければならない範囲も広くなってしまい、どれもこれも課題が山積みで改善が進まな い…という事態になる可能性もあります。
アウトソースの有効活用
では、即効性のある対策としてはどのような方法があるでしょうか。その解の1つが、「サーバのアウトソース化」です。
たとえば、Webサーバやメールサーバに関しては、レンタルサーバを利用することで専門的な知識がなくても簡単に運用することができます。また規模 の大きなCGI/スクリプトやJava/Tomcatなどを利用したWebページを利用している場合、これまで利用していたレンタルサーバではスペック不 足になるといった場合には、VPSや専用サーバといったサービスの選択も視野に入るでしょう。
VPSや専用サーバのサービスの多くはOSやWebサーバやメールサーバの設定もユーザ自らが行わなければならないことが多いものです。しかし最近 では「マネージドサーバ」と呼ばれるサーバの保守・運用がセットになったサービスも増えてきています。そのようなサービスを利用することで、これまでのレ ンタルサーバと同じような感覚でVPS/専用サーバを利用できるうえ、必要に応じたカスタマイズも可能になるのです。
こういったレンタルサーバやマネージドサーバを利用してサーバをアウトソースすることで、ハードウェアやネットワークはもちろん、OSに関する大部 分を考えなくてよくなります。また、マネージドサーバではサーバの監視サービスやバックアップサービスもオプションとして用意していることも多いので、こ のようなサービスを利用することで監視・バックアップ体制も確保することができます。
またグループウェアに関してもアウトソースすることが可能です。もっとも手軽なのがASPサービスを利用することですが、VPSや専用サーバにグループウェアをインストールして利用してもいいでしょう。
外部のサーバを利用するときに気を付けること
しかしグループウェアなどをアウトソースする場合に気を付けなければいけないことがあります。それはセキュリティで、外部(インターネット)からの 攻撃に注意することです。対策としてファイアウォールサービスやVPN(仮想専用線)サービスなどを利用することがあげられます。これなら安全に利用する ことができますし、また出張先からもアクセスができるようになるといったメリットもあります。
セキュリティの設定など、自社内だけでは技術的に難しかったことも、アウトソースすることで実現可能になるよい例ではないでしょうか。
もちろん、ファイルサーバや社内のみで利用するデータベースなど、アウトソースが難しい用途もあります。それでも必要な知識も少なくてすむので、こ れらのサーバをアウトソースすることで生まれたサーバの余力を他の業務に活かすことで、運用コストを下げて(あるいは変えずに)より安定した運用が可能に なるでしょう。
例えばファイルサーバをLinux(Samba)にする、あるいはデータベースをWindows上で稼動させる(利用しているデータベースの Windows版があればそれを利用する)といった方法でOSを統一し、メンテナンス性を上げることも効果的だと思います。