仮想マシンによるセキュリティ強化と新たな側面
仮想マシンによるセキュリティ強化と新たな側面
仮想マシンを利用し、OSごとに環境を分けることで、それぞれを独立した実行環境で運用できる。それぞれが別であるため、例えば1つ実行環境が ウイルスに感染しても、容易に隔離できる。物理的にサーバを複数台用意することも可能だが、数が増えるとその管理は非常にコストがかかる。
また、実行環境を仮想マシンによって管理しているため、OSを含めた全体の状態をバックアップでき、OS自体に障害が発生しても対応できる。

ゲストOSの1つに障害があっても影響は低い
この考え方を発展し、筑波大学が中心となり、インテル社の協力を得て研究が進められているのがセキュアVMプロジェクトである。セキュアVMプ ロジェクトでは、仮想マシンによって利用者のOSに依存しないセキュリティ環境の構築の研究が進められている。詳しくはセキュアVMプロジェクトの概要(http://www.osss.cs.tsukuba.ac.jp/kato/files-svm/02-2007-03-20-
Kato.pdf)を参照いただきたい。
セキュアVMはこれから進歩していく技術であり、またその活用「仮想マシンによるセキュアな環境の実現」は応用の範囲が広い。そのためその土台 となる前者の「仮想マシンのセキュリティ強化」は注目していく必要がある。今回Think ITでセキュアVMを取り上げたのも、そのような理由からである。
次回予告
そこで本連載では、東京工業大学大学院 情報理工学研究科 助教 光来 健一氏に登場いただき、セキュアVMの最前線について解説していく。
第2回では、前者「仮想マシンのセキュリティ強化」に注目し、Xenに採用されたセキュリティ強化の技術を踏まえつつ、セキュアVMの現在の実 例を紹介していく。第3回では、現在研究段階である後者の「仮想マシンによるセキュアな環境の実現」について焦点をあてる。最終回の第4回では、セキュア VMの実現に必要となるハードウェアの技術とセキュアVMの今後について解説していく。
次回、1月16日(水)を楽しみにしていただきたい!
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この記事の筆者
“オープンソース技術の実践活用メディア” をスローガンに、インプレスグループが運営するエンジニアのための技術解説サイト。開発の現場で役立つノウハウ記事を毎日公開しています。
2004年の開設当初からOSS(オープンソースソフトウェア)に着目、近年は特にクラウドを取り巻く技術動向に注力し、ビジネスシーンでOSSを有効活用するための情報発信を続けています。クラウドネイティブ技術に特化したビジネスセミナー「CloudNative Days」や、Think ITと読者、著者の3者をつなぐコミュニティづくりのための勉強会「Think IT+α勉強会」、Web連載記事の書籍化など、Webサイトにとどまらない統合的なメディア展開に挑戦しています。
また、エンジニアの独立・起業、移住など多様化する「働き方」「学び方」「生き方」や「ITで社会課題を解決する」等をテーマに、世の中のさまざまな取り組みにも注目し、解説記事や取材記事も積極的に公開しています。
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