開発ライフサイクルとVisual Studio 2005という選択肢 2

アプリケーションデザイナ:Application Connection Designer

アプリケーションデザイナ:Application Connection Designer

アプリケーションデザイナは、分散システムがどのようなサービスやアプリケーションで構成されているのかについて、アプリケーションアーキテクトが運用・配置を考慮しながら設計を行える機能です。

図2のようにアプリケーションデザイナのツールボックスには、ASP .NET Webサービス、ASP .NET Webアプリケーション、Windowsアプリケーションなど8種類のアプリケーション構成要素が用意されています。
 

アプリケーションデザイナのツールボックス
図2:アプリケーションデザイナのツールボックス

これらをツールボックスからシート上にドラッグ&ドロップすることによって配置し、構成要素間をドラッグ&ドロップで結ぶことによって各構成要素間の接続を定義していきます(図3)。
 

アプリケーションデザイナ
図3:アプリケーションデザイナ

さらにIIS(Internet Information Server)の設定検証も可能です。例えば「ASP .NET webサービス」でいえば、ディレクトリに対するアクセス権限、認証設定、暗号化方式、OS、サービスパックのバージョンなどの実行環境を細かく設定することができます。またこれら構成情報やプロパティに矛盾が生じていないかをアプリケーションデザイナでの設定後に検証する機能もあります。

検証を通過すると図4のように各構成情報がソリューションのプロジェクトとして生成されて、スケルトンができあがるというわけです。
 

スケルトンの自動作成
図4:スケルトンの自動作成
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

また生成される構成ファイルは、プロパティで設定したRDBMSの接続設定や認証方式やセッションの保持方法などを反映したものになっています。スケルトンとアプリケーションデザイナは常に同期がなされており(すべてのデザイナで同期されている)、生成された構成ファイルを変更するとアプリケーションデザイナのプロパティも変更されます。

 

システムデザイナ:System Designer

システムデザイナはアプリケーションが複雑になる場合に、ある粒度でシステムデザイナとしてアプリケーションデザイナから外に出して定義することが可能です。

システムデザイナの定義は任意ですので、単純なアプリケーションの場合は省略可能です。システムデザイナへのサブシステムの切り出しは、アプリケーションデザイナで定義した構成をシステムデザイナのシート内にドラッグ&ドロップして1つのシステム範囲を定めていく形になります。
 

システムデザイナ
図5:システムデザイナ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


論理データセンターデザイナ:Logical Datacenter Designer

論理データセンターデザイナは、実際にアプリケーションを稼動させるサーバの配置・設定を定義するための機能です。

先ほど解説したアプリケーションデザイナやシステムデザイナは論理的なアプリケーションの構成やシステムの構成を定義するものでした。

システム基盤チームを用意しているような案件では、サーバの配置・設定を行うシステム基盤アーキテクトが使用することになります。この論理データセンターデザイナを使用すると、運用管理者は物理的配置場所、サーバの種類、許可される通信の種類および使用可能なサービスの種類を設定することが可能となり、運用を考慮したハードウェアの設計が行えます(図6)。
 

論理データセンターデザイナ
図6:論理データセンターデザイナ


配置デザイナ:Deployment Designer

配置デザイナは先にあげた3つの作業の仕上げです。

アプリケーションデザイナで定義したアプリケーションの構成要素と論理データセンターデザイナで定義したサーバ構成のマッピングを行います(図7)。
 

配置デザイナ
図7:配置デザイナ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

ここでアプリケーションの構成とデータセンターの構成の矛盾点を検証することができます。検証では必要な通信経路が存在することを確認し、正しい通信プロトコルが存在し、アプリケーションがホストとサーバ間で互換性があるかどうかなどを判断します。

データベースサーバにWebアプリケーションを配置することはできません。Webサーバ上のIISの認証方式をWindows認証として、そこにForms認証のWebアプリケーションを配置しようとすると一応許されます(配置できます)。しかし認証方式が違うということがWarningとして指摘されます。

この配置デザイナでは、実際にデプロイメントが行われるわけではなく検証のみを行いレポートを生成します。これで分散システムデザイナの一連の動作は終了となります。

分散システムデザイナの4つの機能の関連は図8のようになります。
 

分散システムデザイナ関連図
図8:分散システムデザイナ関連図

 

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