STマイクロ、STM32マイコンを採用する製品開発を簡略化・迅速化し、より利用しやすくするソフトウェアを発表
STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は2月20日、32bitマイコン・ファミリ STM32向けに、強力な無償設計ツールならびにソフトウェアである「STM32Cube」を発表した。
新しい開発プラットフォームSTM32Cubeは、STM32CubeMXグラフィカル・コンフィギュレータと初期化Cコード・ジェネレータで構成されており、ユーザ向けの1ステップずつのガイダンスに加え、複数ソースからのソフトウェア統合を軽減する多彩な内蔵ソフトウェアを提供する。STM32Cubeには、STM32マイコン間でのポーティングを簡略化する新しいハードウェア抽象化レイヤ(HAL)が含まれている。このプラットフォームは、STM32マイコン上でアプリケーションを開発するために必要なあらゆる汎用ソフトウェアを1つのパッケージにまとめることで、個別ソフトウェア間の依存関係の評価という複雑なタスクを不要にする。また、STM32Cubeは、何百もの豊富な使用例を提供し、最新版ソフトウェアへのアクセスを迅速化・効率化する更新メカニズムも提供する。
STM32CubeMXグラフィカル構成ツールは、STM32初期化Cコードの構成および生成を簡略化・自動化し、複数の開発環境で使用できるようにする。STM32CubeMXは、Eclipseのプラグインとしても利用可能で、Eclipseベースの開発環境内で使用できる。このツールにより、最適なSTM32マイコンおよび設定を簡略化するグラフィカル・ウィザードの簡単な選択が可能になる。例えば、ピン配列ウィザードは、ピン割り当ての重複を避け、複雑な制約の中、簡単かつ最適にピンの配置を行う。クロックツリー・ウィザードはクロックを割り当て、動的検証を実行する。ペリフェラル・ミドルウェア・ウィザードは、設定を支援し、使用不可能な設定を回避する。また、消費電力ウィザードは、利用可能な電力要件に機器が対応しているかを確認する。
STM32CubeF4内蔵ソフトウェアの一部である新しいHALは、高い抽象化レベルを提供することで、STM32マイコン間でのアプリケーションのポーティングを簡略化する。その特徴には、RTOSとの組み合わせを実現する再入力可能APIへのサポート、特定のペリフェラル機能を対象としてSTM32の豊富な機能を活用するための追加的な関数呼び出し、ポーリング、割り込み、およびDMA(Direct Memory Access)プログラミング・モデルへのサポートなどが挙げられる。HALは、業界標準のCodeSonar統計解析ツールを採用している。顧客アプリケーションの安全かつ予測可能な挙動を確保するCodeSonarは、非制限BSD(Berkeley Software Distribution)オープン・ソース・ライセンスの下で配布される。
STM32 F4シリーズ向けに発表されたSTM32CubeF4内蔵ソフトウェアを構成するSTM32CubeF4ミドルウェアには、TCP/IPスタック、複数のクラスに対応する完全なUSBホストおよびデバイス・スタック、STがSEGGERを使用して開発したSTemWinプロフェッショナル・グラフィックス・スタック、FatFSオープン・ソース・ファイル・システム、FreeRTOSオープン・ソース・リアルタイム・オペレーティング・システムが含まれ、オプションとしてCMSIS-RTOSプログラミング・インタフェースも選択することができる。これらのミドルウェアは、オープン・ソース・ソフトウェア、または、STが提供・サポートするソフトウェアとして、使用しやすいライセンス条件を有している。
STM32CubeMXツールおよびSTM32CubeF4内蔵ソフトウェアは、以下URLより無償で入手することができる。IAR、KeilおよびGCCコンパイラを対象としたHALとミドルウェアの使用方法については、アプリケーション・レベルのデモが利用可能。これらのデモは、STが提供するさまざまなSTM32 F4プロトタイピング・ボード(評価ボード、開発キット、拡張可能な新しいNucleoボード)上で実行可能。Nucleoボードは、mbedおよびArduino接続に対応しており、現在、STM32ファミリ内の全製品をサポートしている。
STマイクロエレクトロニクス
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