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連載 [第2回] :
  Red Hat Summit 2018レポート

Red Hat Summit 2018、初日午後のハイライトはMSとIBMとの協業発表

2018年6月8日(金)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
Red Hat Summit 2018、初日午後のキーノートでは、Microsoft、IBM両社との協業が発表された。

オープンソースソフトウェアによるビジネスを展開するRed Hat。同社が開催する年次カンファレンスであるRed Hat Summit 2018の初日午後は、MicrosoftとIBMというビッグネームを揃えたキーノートが開催された。今回、MC役を務めたのは、Red HatのSoftware EngineeringのSVPであるMatt Hicks氏だ。

登壇したMatt Hicks氏

登壇したMatt Hicks氏

Hick氏とIBMのArvind Krishna氏

Hick氏とIBMのArvind Krishna氏

まずHicks氏は、長年のパートナーであるIBMを紹介。自身もエンジニアとしてIBMで働いたことがあると語り、パートナーとしてすでに20年以上も経過していると語った。しかし単にRHELのリセールパートナーということではなく、より深いレベルで協業を行うというのが今回のキーノートでのトピックだ。それはIBMが持つDB2やWebSphere、MQなどのミドルウェアを、OpenShift上で稼働させるというものだ。IBMは、顧客がOSとしてRHELを選んだとしてもミドルウェアの領域ではそのRed Hatが持つJBossと真っ向から競合となる製品群を持っている。それらをOpenShift上で稼働させ、サポートも提供するというのは、明らかにこれまでの方針を転換するものだ。

すでに米国では、OpenShiftがコンテナのプラットフォームとして認められており、その上でミドルウェアの部分にはIBMの製品を使いたいという顧客のニーズに応えたという形だ。全てのIBMミドルウェアはOpenShiftの認定を取り、OpenShiftとIBM Cloud Privateでも稼働することを保証するということになる。

IBM Cloud Privateは、IBMがCloud Foundryをカスタマイズしてオンプレミス用に提供するPaaSのことだ。デモではIBM Cloud Privateのコンソールからカタログで選択したMQとDB2がデプロイされた状態を、OpenShiftのコンソールから確認するようすが示された。これを見ると、IBMのミドルウェアがコンテナの形でOpenShiftにデプロイされているということだろう。

また興味深かったのは、顧客からのテキストによるフィードバックを、Watsonがポジティブかネガティブか判定するという機能がデモアプリケーションに実装されていたことだ。この辺は、IBMならではの訴求ポイントと言えるだろう。

NikeのMike Wittig氏

NikeのMike Wittig氏

次に登壇したのはNikeだ。ここでも「RHELとRHEVが重要な役割を果たしている」と語り、デジタルネイティブな企業としてのNikeを印象付ける形になった。そこから再びMatt Hicks氏が登壇し、デモチームを呼び込み、Kubernetes Operatorの紹介に移った。Kubernetes Operatorに関してはCoreOSのBrandon Philips氏が書いた記事を翻訳した、以下の記事を参考にすると良いだろう。

参考:【翻訳】Operator の紹介:運用の知見をソフトウェアに入れる

単にコンテナイメージとしてアプリケーションをコンテナ化するだけではなく、運用のための知識をKubernetesで使える形にしたものだ。いわゆるクラウドネイティブなアプリケーションであれば、Kubernetesで運用するのも難しくはないが、データベースにアクセスしたり、状態を保持したりといった機能が必要なステートフルなアプリケーションを運用するのは難しい。それをStatefulSetという形でKubernetesが追加したのは1.9なので、まだ新しい機能と言えるだろう。このデモではKubernetes OperatorとしてデプロイされたCouchbaseを意図的にコンソールから終了させて、それをKubernetesが自動的に復旧するようすを見せていた。

IntelのDoug Fisher氏

IntelのDoug Fisher氏

次に登壇したのは、Intelだ。プロセッサーの進化、3D XPointメモリーの紹介などに加えて、最近、OpenStack Foundationに寄贈されたKata Containerも紹介され、Intelとしての力の入れ方が分かる内容だった。またKubernetesで仮想マシンを動かすKubevirtも紹介され、ハードウェアだけではなくソフトウェアにもフォーカスするIntelを印象付けようとする意図が感じられた。

次に香港の航空会社、Cathay Pacificをユーザーとして紹介。ここでもレガシーなシステムを持つエンタープライズが、クラウドを使ってモダンなITインフラストラクチャーを構築したという話が紹介された。CloudForms、Ansible、OpenShiftなどが使われていることを解説し、ハイブリッドクラウドと両立している状況が紹介された。

Paul Cormier氏とMicrosoftのScott Guthire氏

Paul Cormier氏とMicrosoftのScott Guthire氏

最後にPaul Cormier氏が登場し、Microsoft Azureのトップ、Executive Vice PresidentであるScott Guthrie氏を紹介。これが初日午後のクライマックスということだろう。Guthrie氏は、OpenShiftをMicrosoft Azureのネイティブのサービスとして発表した。これは単にポーティングしただけではなく、Azureの他のサービス、例えばAzure ADやCosmosDBなどとも連携できることを解説した。

デモを行うBrendan Burns氏

デモを行うBrendan Burns氏

続くデモの場面では、Chris Morgan氏とKubernetesのTシャツを着たBrendan Burns氏が登壇し、実演してみせた。デモではAzureにOpenShiftをデプロイし、その上でCosmosDBを入れるというライブが行われた。Brendan Burns氏はGoogleのKelsey Hightower氏、Googleの後にHeptioを創業したJoe Beda氏と一緒に「Kubernetes Up and Running」を書いたエンジニアで、この週はシアトルでMicrosoftのイベントが行われているという時期に、このデモのためにサンフランシスコまでやってきたということで、力の入れ具合が感じられた。

ライブデモではOpenShiftをAzureに入れて、そのコンソールが現れるまでの時間が思ったよりも長かったようで、ヒヤヒヤしながら会場の参加者も見守るという場面もあった。

このキーノートはNike、Cathay Pacificというユーザーをはさみながら、IBMとMicrosoftというエンタープライズにとっては意味のあるベンダーが、揃ってOpenShiftに対するエンドースメントを行ったという部分に大きな意味があったと感じさせられた。Burns氏はこの後のプレス向けブリーフィングにも登場し、MSとRed Hatがエンジニアを出し合って同じオフィスで開発を行ったことを紹介した。

またこのデモではRed HatのChris Morgan氏が「これでOpenShiftはAzureの第一級市民として扱われるということだよね」とコメントしており、Azureネイティブなサービスとして提供されるということだろう。今後、AzureでどれくらいOpenShiftの利用が拡がるのか注目したい。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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