組み込み製品の品質を高めるシステム設計 3

DSMを用いた、システム構造における品質の確認

DSMを用いた、システム構造における品質の確認

システムの構造をブロック図として模式的に表現すると、図3の通りになる。各モジュールは信号線で接続されており、片方向または双方向の信号により、結合している。

この図において(①)で示しているように、モジュールWで発生した変更はモジュールYに影響(②)し、モジュールYの変更はモジュールXとモジュールZに影響(③、④)している。このように、一部の変更に伴って別の部分に変更が発生する状態は、システムの構造とモジュール間インタフェースの一貫性を破壊する。この繰り返しが、アーキテクチャを維持できなくなる原因となる。

図3: システムの構造を示したブロック図(クリックで拡大)

 

DSMでは、こうしたモジュールの関係を依存関係表として表現し、管理する。モジュールA~Dの関係図(図4の左)を、DSM(図4の右)で示している。

図4: モジュールの関係を依存関係表として表現するDSM

 

モジュール関連図において、モジュールAからBへの矢印は、AがBを利用するという関係を示している。すなわち、AはBに処理(制御)を依頼している。

DSMの表は、縦のA~Dが"使われる側"であり、横のA~Dが"使う側"を示している。従って、AがBを利用している部分は、DSM上のA列B行を"x"印で表記する(A→C、C→B、C→Dを、左図では赤矢印とし、DSMでは赤"x"としている)。

これらの図は双方向で変換可能であり、UMLやSysMLによるモジュール構造に関する図があれば、ほぼ自動的に生成できる。また、ソフトウエアの分析に用いる際は、UML図面がなくても、ソース・コードさえあれば、依存関係をより正確に抽出できる。開発現場で作成した設計文書をSysMLを用いて記述することで、DSMによる設計品質の確認が容易かつ正確にできるようになる。

図5: UML/SysMLとDSMは双方向に自動生成可能

 

次ページでは、どのように品質を確認していくのか、その方法を、より具体的に示す。

この記事をシェアしてください

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る