これからの組み込み機器とWindows Embedded
CEを受け継いだWindows Embedded Compact 7の特徴
Windows Embedded は20年以上にわたってマイクロソフトが提供していたPC向けのOSアーキテクチャをベースとした製品群です。Windowsが主流となる前は、組み込み機器用にMS-DOSを提供していました。
事実、いまから20年ほど前の産業用装置などではMS-DOSをデータ処理や制御用に使用したものが少なくありませんでした。私自身も、8年ほどMS-DOSも使って制御装置やシステムの開発を行っていました。
その多くのケースで、ファイル、表示、ネットワークなどの機能を自ら実装するよりも、安価に、短い期間でアプリケーションを完成させることができ、後々の保守も容易だったことが採用の大きな動機になっていました。
そして現在ではWindows 7とそのテクノロジーを用いた、組み込み機器向けのOS製品の提供が行われています。Windows Embedded Standard 7はWindows 7の組み込み機器用のOSです。
また、1996年から提供してきたWindows CE ファミリーの最新版、Windows Embedded CEは6.0 バージョンを最後に14年間使い続けてきたCEのブランドからCompactという新しいブランドに移行します。この6月から機能評価をしていただくためのCommunity Technology Preview(CTP)版として、Windows Embedded Compact 7 CTPを提供しており、製品の出荷は2010年の秋の予定です。
同時にカーナビ向けにWindows Automotiveのブランドで提供している製品も同じカーネルを採用し、同時期にリリースを予定しています。
図1:Windows Embeddedシリーズの製品ロードマップ (将来変更される場合があるためあらかじめご了承ください)(クリックで拡大) |
では、この新しく登場するWindows Embedded Compact 7の大きな特徴をいくつかご紹介しましょう。
- SMP対応(マルチコア対応)
- 開発環境のVisual Studio 2010およびExpression Blend 3への移行
- Flash 10対応
- Silverlight for Windows Embedded の拡張
- Open GL 2.0 ES対応
- IE 7
これらが、 Windows Embedded Compact 7 の大きな特徴だといえるでしょう。特にカーナビなどで要求の高いSMPへの対応はハイエンドシステムの構築を検討している開発者にとって選択肢が増えることになります。実はSMPへの対応は開発環境にも大きな影響があり、マルチコアでの開発とデバッグを行うための仕組みを今回からPlatform Builderに取り込んでいます。
また、より高度で柔軟なユーザーエクスペリエンス(UX)を実現するために、Flash 10や自社の技術であるSilverlight for Windows EmbeddedによるUIレイヤーの実装が可能となっており、3Dを使いたい開発者のためにOpen GL 2.0 ESのサポートも提供する予定です。
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