ウイルス対策ソフトの実力調査 2

テスト結果ではSophosが一番

テスト結果ではSophosが一番

表3は、ウイルス対策ソフトの検知力ランキングである。テスト期間中にアークンに送信されてきた41種類のウイルスを、各社のウイルス対策ソフトで検知できたかどうかをまとめている。

表3: 検知力ランキング

ソフト名 有効検体数 有効検知数 非検知数 誤検知数 検出率
Sophos 41 36 5 0 87.8%
GData 41 33 8 1 78.6%
Ikarus 41 32 9 0 78.0%
NOD32 41 31 10 0 75.6%
BitDefender 41 30 11 0 73.2%
nProtect 41 30 11 0 73.2%
F-Secure 41 30 11 1 71.4%
Emsisoft 41 29 12 0 70.7%
Microsoft 41 29 12 0 70.7%
Sunbelt 41 29 12 0 70.7%
Panda 41 27 14 0 65.9%
Comodo 41 26 15 1 61.9%
eTrust-Vet 41 25 16 0 61.0%
TrendMicro 41 25 16 0 61.0%
K7AntiVirus 41 24 17 0 58.5%
McAfee 41 34 7 20 55.7%
Authentium 41 22 19 0 53.7%
Fortinet 41 22 19 0 53.7%
F-Prot 41 22 19 0 53.7%
TrendMicro-HouseCall 41 17 16 0 51.5%
Avast5 41 21 20 0 51.2%
McAfee-GW-Edition 41 21 20 0 51.2%
Kaspersky 41 21 20 0 51.2%
ClamAV 41 21 20 1 50.0%
DrWeb 41 20 21 0 48.8%
Avast 41 20 21 0 48.8%
VirusBuster 41 16 17 0 48.5%
AVG 41 21 20 3 47.7%
TheHacker 41 20 21 2 46.5%
VBA32 41 15 18 0 45.5%
ViRobot 41 15 18 0 45.5%
AntiVir 41 17 24 0 41.5%
Antiy-AVL 41 17 24 0 41.5%
Norman 41 17 24 0 41.5%
AhnLab-V3 41 16 25 0 39.0%
PCTools 41 16 25 0 39.0%
Symantec 41 16 25 0 39.0%
Jiangmin 41 13 28 0 31.7%
Prevx 41 13 28 0 31.7%
CAT-QuickHeal 41 12 29 0 29.3%
Rising 41 11 30 0 26.8%
eSafe 41 10 31 1 23.8%
SUPERAntiSpyware 41 9 32 0 22.0%

表の中で「有効検体数」とは、重複していないユニークなMD5値を持つ、ウイルス感染ファイルの数である。すなわち、今回検知対象となった41種類の異なる新種ウイルスのことである。「有効検知数」とは、そのベンダーのウイルス対策ソフトが「有効検体」に対してウイルス名を表示して検知した数である。一方、「非検知数」とは、有効検体に対してウイルスを検知しなかった数である。すなわち、「有効検体数」= 41 =「有効検知数」+「非検知数」となる。「誤検知数」とは、未感染ファイルに対して、誤って何らかのウイルス名を表示した数である。

「検出率」とは、単なる「有効検知数」を「有効検体数」で割った数ではない。「誤検知」を犯したペナルティとして「有効検知数」から「誤検知数」を引いたものを「有効検体数」で割った数である。特に、McAfeeは「誤検知数」が20と多かった。「有効検知数」は34とSophosに次ぐ第2位であるにも関わらず検知力ランキングの順位を大きく下げた理由である。

未知ウイルスと誤検知との関係

今回のテストで分かるように、新種ウイルスは日々生まれており、ウイルス対策ソフトを最新版にバージョンアップしていても、リアルタイムでは検知できないこともしばしばある。つまり、新種ウイルスの出現に各社のバージョンアップが間に合っていないのである。そこで、各社は未知ウイルスであっても検知できるように、さまざまな新技術を開発し、製品に実装している。しかし、この設定を高くしすぎると、かえって誤検知が多くなるというジレンマを抱えている。

その例が、McAfeeである。McAfeeとMcAfee-GW-Editionでは、検知数や誤検知数が異なる。McAfeeでは、検知数が多い一方で誤検知も多い。これは、未知のUSB感染型ウイルスを検知する機能が動作しているためでである。このチューニングが高すぎることが原因であると思われる。一方、McAfee-GW-Editionは、ゲートウエイ型であるため、パフォーマンスを劣化させる可能性のある、未知ウイルスを検知するための動的解析や静的解析の機能を利用することは難しい。このため、既知ウイルスを検知するだけの従来の技術しか利用できず、結果として、誤検知が出ない一方で検知数は少なくなったと思われる。

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