Blend 4での特殊効果を使った選択画像の表示方法

2011年4月26日(火)
PROJECT KySS

まず初めに、このプログラムで実装する機能の動作を、下記に解説しておきます。Expression Blend 4(以下Blend 4)に実装されているTransitionEffectのSlideInを使って、画像を表示します。

画面上には画像と画像名の一覧が表示されたListBoxコントロールがあります。ListBoxコントロールから任意の画像を次々と選択していくと、左から右に向かって、選択された画像の拡大版がスライドして表示されていきます(図1)。

図1:選択された画像が左から右にスライドして表示される(クリックで拡大)

サンプル一式は、会員限定特典としてダウンロードできます。記事末尾をご確認ください。

新規プロジェクトの作成

早速サンプルを作っていきましょう。

VS 2010のメニューから「ファイル(F)/新規作成(N)/プロジェクト(P)」を選択します。本稿では開発言語にVisual Basicを用います。次に、「Silverlight アプリケーション」を選択して、「名前(N)」に任意のプロジェクト名を指定します。ここでは「SL4_TransitionEffect_ListBox」という名前を付けています。

次に、画像のファイル名を記録したXMLファイル(リスト1)を追加します。XMLデータはLINQ to XMLで処理するため、「プロジェクト(P)/参照の追加(F)」からSystem.Xml.Linqを追加しておきます。

ソリューションエクスプローラー内にImageというフォルダを作成して、画像も追加しておきます。

リスト1 画像名を記録したXMLファイル、ListBoxに使用(Photo.xml)

1<?xml version="1.0"?>
2<画像>
3    <情報>
4    <画像名>おしろい花.jpg</画像名>
5    <画像名>サルビア.jpg</画像名>
6    ~<画像名></画像名>繰り返し~
7  </情報>
8</画像>

ダウンロードされたサンプル・ファイルにはXMLファイルや画像は追加済みです。

Silverlightユーザーコントロール(TransitionEffectListBox.xaml)の作成

VS2010のメニューから「プロジェクト(P)/新しい項目の追加(W)」と選択し、「Silverlightユーザーコントロール」を作成します。「名前(N)」には「TransitionEffectListBox.xaml」と指定し、[追加(A)]ボタンをクリックします(図2)。

図2:「TransitionEffectListBox.xaml」という名前のSilverlightユーザーコントロールを作成する(クリックで拡大)

表示される、TransitionEffectListBox.xamlの要素のWidthに900、Heightに600を指定します。

ListBoxコントロールの設定

まずツールボックスから画像と画像名の一覧を表示する、ListBoxコントロールを配置します。x:Name はListBox1です(図3)。

図3:ListBoxコントロールを配置する(クリックで拡大)

ListBoxには画像と画像名の両方を表示しますので、書き出されるXAMLコードをリスト2のように編集します。

リスト2 編集されたXAMLコード(TransitionEffectListBox.xaml)

01(1)<ListBox>要素のテンプレートを定義します。<UserControl.Resources>プロパティ要素内に、
02    <UserControl.Resources>
03    <DataTemplate x:Key="ListBoxTemplate">
04        <Grid>
05            <Grid.RowDefinitions>
06                <RowDefinition/>
07                <RowDefinition/>
08            </Grid.RowDefinitions>
09            <StackPanel Orientation="Vertical">
10                <Image Width="160" Height="120" Source="{Binding 画像名}" Grid.Row="0"/>
11                <TextBlock Text="{Binding タイトル}" FontWeight="Bold" FontSize="14" Foreground="Navy"/>
12            </StackPanel>
13        </Grid>
14    </DataTemplate>
15  </UserControl.Resources>
16 
17と記述し、ListBoxTemplateというキーのテンプレートを定義します。<Grid.RowDefinitions> プロパティ要素内で、<RowDefinition/>要素を2個定義すると、<Grid>要素に適用する2行が定義されます。<StackPanel>要素を記述し、OrientationプロパティにVertical(規定値)を指定します。Verticalが規定値ですので、必ずしも記述する必要はありません。<StackPanel>要素内の要素が垂直方向に表示されます。<StackPanel>要素内に<Image>要素を記述します。Sourceプロパティに{Binding 画像名}と指定します。次に、<TextBlock>要素を記述し、Textプロパティに{Binding タイトル}と指定します。画像が表示された下にタイトルが表示されます。ここで指定した「画像名」や「タイトル」はプログラムコード内のクラスで定義するプロパティ名と同じである必要があります。<Image>要素の、Widthに160、Heightに120を設定します。
18 
19(2)これらの定義済みListBoxTemplateを、x:NameがListBox1である<ListBox>要素に、
20ItemTemplate="{StaticResource ListBoxTemplate}"
21のように指定します。StaticResourceは、定義済みのリソースを参照します。
22 
23<UserControl x:Class="SL4_TransitionEffect_ListBox.TransitionEffectListBox"
28  mc:Ignorable="d"
29  d:DesignHeight="300" d:DesignWidth="400" Width="900" Height="600">
30  <UserControl.Resources>■(1)
31    <DataTemplate x:Key="ListBoxTemplate">
32        <Grid>
33            <Grid.RowDefinitions>
34                <RowDefinition/>
35                <RowDefinition/>
36            </Grid.RowDefinitions>
37            <StackPanel Orientation="Vertical">
38                <Image Width="160" Height="120" Source="{Binding 画像名}" Grid.Row="0"/>
39                <TextBlock Text="{Binding タイトル}" FontWeight="Bold" FontSize="14" Foreground="Navy"/>
40            </StackPanel>
41        </Grid>
42    </DataTemplate>
43  </UserControl.Resources>
44  <Grid x:Name="LayoutRoot" Background="White">
45    <ListBox Height="568" HorizontalAlignment="Left" Margin="12,12,0,0" x:Name="ListBox1" VerticalAlignment="Top" Width="214" ItemTemplate="{StaticResource ListBoxTemplate}"/>■(2)
46  </Grid>
47</UserControl>

ソリューションエクスプローラー内から、TransitionEffectListBox.xamlを展開して表示される、 TransitionEffectListBox.xaml.vbをダブルクリックして、リスト3のようにロジックコードを記述します。

ロジックコードを記述する

リスト3 (TransitionEffectListBox.xaml.vb)

1Option Strict On
01XMLをLINQで処理するためのクラスの含まれる、System.Xml.Linq名前空間をインポートします。
02Imports System.Xml.Linq
03 
04ImageInfoというクラス内に「画像名」と「タイトル」という文字列型のプロパティを定義します。
05  Public Class ImageInfo
06    Public Property 画像名 As String
07    Public Property タイトル As String
08  End Class
09 
10~コード略~
11 
12XElementクラス用オブジェクト変数xmldocをメンバ変数として宣言します。メンバ変数として宣言しておくのは、後ほど、ListBoxがSelectionChangedされた時にもこの変数を使用するからです。
13  Dim xmldoc As XElement
14 
15■TransitionEffectListBoxユーザーコントロールが読み込まれた時の処理
16XElement.LoadメソッドでXML文書ファイル(Photo.xml)を読み込みます。
17読み込んだXML文書から<画像名>要素を選択するクエリを定義します。
18ImageInfoクラスの新しいリストとして作成するmyImageInfoを宣言します。
19クエリ(query)を実行します。クエリコレクション内を変数resultで反復処理しながら、以下の処理を実行します。
20取得した画像名(result.Value)から、.jpgの拡張子を除いたタイトルとなる部分を取り出し、変数myTitleに格納しておきます。
21ImageInfoクラスのプロパティ(「画像名」と「タイトル」)に、XMLの要素 (<画像名>)と変数myTitleの値を指定し、AddメソッドでmyImageInfoオブジェクトに追加していきます。このプロパティの値が、XAML内の<Image>要素のSourceプロパティやTextBlockのTextプロパティにバインドされます。
22ListBoxコントロールのItemSourceプロパティに、myImageInfoオブジェクトを指定します。
23これで、ListBoxに、画像とタイトル名の追加された画像の一覧が表示されます。
24  Private Sub TransitionEffectListBox_Loaded(ByVal sender As Object, ByVal e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles Me.Loaded
25    xmldoc = XElement.Load("Photo.xml")
26    Dim query = From c In xmldoc.Descendants("画像名") Select c
27    Dim myImageInfo As New List(Of ImageInfo)
28        For Each result In query
29        Dim titleLen As Integer = Len(result.Value) - 4
30        Dim myTitle = Microsoft.VisualBasic.Left(result.Value, titleLen)
31        With myImageInfo
32            .Add(New ImageInfo With {.画像名 = "Image/" & result.Value, .タイトル = myTitle})
33        End With
34        ListBox1.ItemsSource = myImageInfo
35    Next
36  End Sub
37~コード略~
  • 「Blend 4での特殊効果を使った選択画像の表示方法」サンプルプログラム

四国のSOHO。薬師寺国安(VBプログラマ)と、薬師寺聖(デザイナ、エンジニア)によるコラボレーション・ユニット。1997年6月、Dynamic HTMLとDirectAnimationの普及を目的として結成。共同開発やユニット名義での執筆活動を行う。XMLおよび.NETに関する著書や連載多数。最新刊は「Silverlight実践プログラミング」両名とも、Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。http://www.PROJECTKySS.NET/

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています