1. Walled Gardenからの脱却
筆者は2010年以降、シリコンバレーに数ヶ月単位で滞在しながらスマートフォン周りの最新動向を追いかけているのですが、2011年あたりからモバイルデベロッパーによる「Walled Gardenから自由になろう」という動きが強まってきたように思います。
Walled Gardenというのは直訳すると「塀で囲われた庭」ですが、ここではサービス事業者によるクローズドなアプリケーション開発・提供環境のことを指しています。具体的には、例えばiPhone/iPad向けアプリケーションを開発・提供する場合、デベロッパーはApple社独自の開発言語「Objective-C」を習得してアプリを開発し、App Storeの審査に通って初めてリリースとなりますが、販売は同社のApp Store上で行うことが義務づけられています。また、App Storeでの販売額のうち30%はAppleに支払われ、デベロッパーの手元に振り込まれるのは70%のみとなります。
今、このような環境からの脱却を模索するデベロッパーが大きな期待を寄せているのが、HTML5やJavaScriptなどのオープンなWebの技術を使ったアプリケーション開発・提供環境です。例えば昨年9月にサンフランシスコで開催されたカンファレンス「HTML5 Developer Conference」には、1,200人のデベロッパーが参加しました。HTML5やJavaScriptが大きく注目されていることがわかります。
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| 図1:HTML5 Developer ConferenceのWebサイト (http://html5devconf.com/)。今年は5月21日に開催。 |