Cloudforce Japan 2012 徹底特集
株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は12月6日、同社のプライベートイベント「Cloudforce Japan」を、東京・有明の東京ビッグサイトで開催しました。
同社では、国内最大規模のクラウド関連イベントと位置づけており、約12,000人が事前に登録し、9,000人ほどの来場者があったとのことです。
マーク・ベニオフCEOによる基調講演の解説については、他記事を参照ください。
「企業はCUSTOMER COMPANYを目指さなくてはならない」
~米salesforce.comベニオフCEO(ImpressWatchより)
http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/event/20121206_577567.html
同イベントでは、110社以上の企業ブースが出展し、30以上のセッションが行われました。本記事では、その中からいくつかをピックアップして紹介します。
Web系SIerからの参入
Cloudforce Japanには数多くのSIerが出展しましたが、その中でもWeb系SIerとして出発し、セールスフォースのSI市場にも参入しているプレイヤーの話を聞きました。
株式会社スカイアーク
株式会社スカイアークは、北海道帯広市に本拠地を構え、元々はWeb関連のCMSを中心とした受託開発を強みとしていました。今年10月からはクラウドインテグレーション事業の開始を発表し、Salesforce分野でのSI事業に力を入れ始めています。
スカイアークのブースでは、新製品であるBtoB向けコミュニティ構築システム「Solanowa Community」を展示していました。これは、Salesforceと連携したMovable Typeベースのユーザコミュニティ構築ツールです。
元々、Salesforceには、「カスタマーポータル」というコミュニティサイト構築機能があり、今後はChatter Communitiesという名称になって、Chatter機能との連携が発表されています。ただし、サイトの管理や開発を行う「カスタマーポータル」を使おうとすると、標準カスタマイズ機能やApex / Visualforceを駆使する必要があり、今まで培ってきたWeb開発資産を有効活用することが難しいという課題がありました。また、価格面でも、ユーザライセンス単位の課金となっており、規模が拡大した時のコスト対策も課題の一つでした。
スカイアークの発表したSolanowa Communityは、Movable Typeベースで開発されており、月額52,500円もしくは105,000円固定で、ユーザ数は無制限という構成になっています。これによりSalesforceの通常のカスタマーポータル機能では手が届かない領域を補完することができるようになります。
株式会社セラク
株式会社セラクは、ITトータルソリューション企業として、Webサイト運営全般を行っています。元々、自社利用用途としてSalesforce上でWeb運営プロジェクトのマネジメントを行っており、その自社開発機能を外部向けに調整した「SUCCESS LEADER」を開発・販売しています。
また12月1日から、新サービス「クラウドサポート」を開始しました。Salesforceを導入した企業では、せっかく導入したのに操作が覚えられなかったり、現場のユーザが入力を怠ったりして、有効活用されない場合が多々あります。セラクのクラウドサポートを利用すると、顧客企業に常駐する形で、Salesforceを活用したレポート作成や入力事務などの一般事務業務を代行してもらうことができます。これまでも、各社のコンサルティングや導入支援のサービスメニューの中に定着化支援というものは多くありました。しかし、顧客企業に実際に人が常駐して、入力代行やレポート作成といったレイヤーの業務をサポートする、という点で同サービスは非常にユニークです。
上記2社をはじめとして、筆者の感覚としてもWeb系SIerからSalesforce界隈に参入するプレイヤーは増加しています。Salesforce自体がWebに近いテクノロジーを多く利用しているため、Web業界からの参入は比較的敷居が低く、また市場としての成長余地も見込めるため、今後もこの傾向は続くものと思われます。