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クラウドはコスト削減だけでなくビジネスのパワーになる―AWS SUMMIT TOKYO 2012レポート

2012年9月28日(金)
インプレスジャパン コンピューターテクノロジー編集部

国内初となるAWSの公式イベント「AWS SUMMIT TOKYO 2012」が9月13日と14日、ホテル日航東京で開催された。アマゾンクラウドに関するカンファレンスであるAWS SUMMITは、すでに世界主要都市で開催されているが、今回初めて東京での開催となった。主催はAmazon Web Servicesの日本法人であるアマゾン データ サービス ジャパン株式会社。同社による公式発表では、来場者は2日間でのべ2,000名を超えた。初日と2日目の基調講演の模様をお伝えする。

AWS史上最速の成長を誇る東京リージョン

基調講演に先立ち、アマゾン データ サービス ジャパン株式会社、代表取締役社長の長崎忠雄氏が開会の挨拶を行い、日本におけるAWSとクラウドビジネスの現状を説明した。2011年3月に「リージョン」と呼ばれるデータセンター群を東京に開設してからおよそ1年半が経つ。特筆すべきは、現在世界8個所*1に展開するリージョンのうち、初年度(開設から1年間)の成長は東京リージョンが最も速いという点だ。また、同日付けで東京リージョン内3つ目となる「アベイラビリティゾーン*2」の開設を発表し、今もなおニーズが増え続けていることを示した。

  • *1 そのうち1つは米国政府機関専用リージョンのため実質的には7つとも言える
  • *2 同一リージョン内に設けられた独立したデータセンター。物理的に分散した場所にあり高可用性を実現している

これは日本でのクラウドの採用が加速していることを意味している。「我々にとって日本市場は重要な位置付けになっている、この勢いを今後も持続したい」と、長崎氏は熱く語った。

図1:長崎忠雄氏 (アマゾン データ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長)

この急成長の要因となるのが、エンタープライズ分野での躍進である。同氏はいくつかの事例をあげた。花王はWebサイトすべてをAWSに完全移行し、そのプロジェクトをわずか4ヶ月で達成したという。これにより調達・運用コストを大きく削減することに成功している。また、電通はグループ70社、2万人が使用するファイル共有インフラにAWSを活用している。

金融業界に向けた安全基準であるセキュリティリファレンスを発表したことも、エンタープライズ用途を見据えるうえでは大きな進展と言える。イベント開催直前の9月10日に、SCSK、電通国際情報サービス(ISID)、野村総合研究所(NRI)の3社による共同リリース*3が発表されているので詳しくはそちらを参照されたい。セキュリティに対する懸念を払拭し、セキュリティ基準の厳しいシステムにもAWSを対応させていく考えだ。

こうした急激な成長のカギは、同社がこれまで培ってきたエコシステムにある。AWSのパートナー企業はこの1年で30社から77社に増え、草の根的に活動を支援するJAWS-UGコミュニティも全国12支部から24支部に倍増した。また、スタートアップ向けのコミュニティ「Startup Hub」を立ち上げるなど、支援の幅を広げている。

流通販売業ならではのアマゾンクラウドの戦略

近況を報告し終えた長崎氏は、メインプレゼンターであるアダム・セリプスキー氏を壇上に招き入れ「Go Global!」と題した基調講演がスタートした。同氏はAWSのバイスプレジデントとして営業や顧客サポートを統括している。

図2:アダム・セリプスキー氏 (Amazon Web Services LLC / Vice President)

もともとAWSは、Amazon.comのバックエンドで余剰となったリソースを貸し出すサービスとして始まったものだ。それが今ではAmazon.comのキャパシティをはるかに超える規模になり、同社の代表的なサービスの1つとして位置付けられている。現在、2000年当時にAmazon.comのサービスで使用されていたサーバーと同等のリソースを、毎日のように追加している状態だという。AWSの成長スピードを示す有名な例だ。

また、流通販売を生業とするAmazon.comが母体ということもあり、薄利多売の精神が根付いている点も同社の大きな特徴だろう。2006年のサービス開始から6年間で、実に20回以上のディスカウントを行っている。これは他社との価格競争の結果だけではなく、効率化によって自主的に還元できた部分も少なくないという。今後も値下げを続け、より多くの顧客に利用してもらいシェアを伸ばしていく方針だ。

こうして成長を続けてきたAWSは、現在、世界8つの地域でデータセンター群を運用しており、直近では2011年末にブラジルにリージョンを開設した。また、この他に「エッジロケーション」と呼ばれるコンテンツの配信拠点を世界30個所以上の地域で提供している。

世界各地でインフラを調達しようとすると、莫大な時間と費用がかかることは想像に難くない。その点、AWSはすでに全世界規模でサービスを提供しており、ブラウザ上のコンソール越しにボタンをクリックするだけで即座にサーバーを起動できる。リージョンで構築された環境は、変更する手間なくそのまま世界中の拠点にも横展開が可能だ。このスピード感はビジネスに大きなインパクトをもたらすだろう。

最後に同氏は「専門性の高い一部の機能を除き、今後ほとんどの企業は自社でデータセンターを持たなくなるのではないか」と述べて、講演を締めくくった。

著者
インプレスジャパン コンピューターテクノロジー編集部

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