コマツ教習所株式会社のUX採用事例 〜操作性の向上と業務のシステム化範囲の拡大〜

2013年9月5日(木)
田中 俊明

導入時の取り組み

選定にかかった時間はごく短いものでしたが、基本設計の段階以降は、基幹システムの再構築だったことから、多くの留意点や苦労があったといいます。

例えば、顧客マスターを見直したこともその一つです。コマツ教習所では、受講者情報と修了者情報が一本化されており、受講者の氏名を変更すると修了証の氏名も変わる仕組みになっていました。しかしこの仕組みでは、受講者の姓が変わった場合、過去に取得した修了証の氏名と一致しないという不具合が生じる可能性があったのです。そういったことがないよう、顧客マスターの見直しに基づいて修了証発行時のデータとシステムのデータとを一致させることも、今回のプロジェクトでは重要な改善要素となりました。

さらに、開発にあたっては、入力漏れや重複チェックがしにくいなどの旧システムの機能改善を図りました。

こうして開発が進む一方、コマツ教習所社内では、システムの再構築という絶好のタイミングを機に、開講番号や講習区分などといった従来のコード体系の見直しに着手。旧システム以前からあったデータをどのように整理して、管理しやすいコード体系にするかといったことも重要な課題となりました。そのほか、講師の条件を追加して新しいコードを付与したり、Excelで管理、手運用となっていたのを新システムで管理するように改めたりしました。

3層クライアントサーバシステムの構築(クリックで拡大)

導入後の効果

2012年1月より新システムが本格稼働し、およそ1年が経過した時点でのお客様のコメントを紹介します。

「まず、開発工程が考えていたよりかなり短く、システムの移行もスムーズだったことに驚きました。稼働後は、メンテナンスコストの低減のほか、細々としたシステム改修も短納期になり、スクラッチならではのメリットを実感しています。もちろん、当初の狙いであった操作性の向上、新機能による業務のシステム化範囲の拡大も達成され、非常に満足しています」(コマツ教習所 川崎氏のコメント)

今回のプロジェクトはコマツ教習所にとってオフショア委託の初めてのケースでした。当初は製品の品質に関してやや不安を抱いていたものの、実際にできあがった段階では、品質保持の点も含めて日立ソリューションズの対応力のよさをあらためて感じたといいます。

具体的な効果としては、Excel出力が実装できる「XPLATFORM」の機能を活かし、データを簡単に出力し活用できるようになったほか、予約状況の棒グラフ化や、講習ごとの進捗状況(ステータス)の見える化などビジュアル面での要求も満たすことで、業務効率の改善にもつながりました。

また、旧システムと比較して新システムが大きく変わったところとしては、BIの機能が充実したことです。条件を入力して分析することはもちろん、手間のかかるプログラムの配布も指定したURLから容易にダウンロードさせることができるようになりました。さらにオペレーターが作業中に別の作業に取りかかっても元の作業がセッションタイムアウトにならないといった、「XPLARFORM」ゆえに実現したことも少なくありません。

評価・今後の展望

新システムに切り替わり、BI機能が充実したことが社内的にも評価された結果、さまざまな分析資料を今以上に簡単に出したいというニーズも高まっています。今後は、BI機能をさらに充実させながら、業務のシステム化範囲をいっそう拡大する取り組みが続けられる予定です。

また今後の展望は、システムの周辺の仕組みやWebなどとの連携も視野に入れています。例えば前者では、現在活用している講習の日程をシミュレーションする仕組みとの連携が考えられています。後者では、電話やファクシミリで行っている受講の申し込み受付をWeb上からも可能にするプロジェクトがまさにスタートを切りました。

コマツ教習所のUX採用事例をご紹介してきましたが、いかがでしょうか?最後に今後の展開についてもコメントを頂いていますので、ご紹介します。

「『XPLATFORM』はマルチプラットフォームなので、将来的には講習の現場で講師がタブレットに入力して採点するなどの活用も考えています。当社の業務は複雑な部分が多いので、『XPLATFORM』のメリットを活かして単純化し、システム適用化の範囲をもっと広げていきたいですね」(コマツ教習所 川崎氏のコメント)
株式会社 日立ソリューションズ

営業統括本部 プロダクトソリューション第2営業本部 第3部 主任

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