米国の認定試験別平均給与ランキング 〜仮想化系と通信系、監査系資格がランクイン〜
一方で、トップ15に最多でランクインしている通信系と仮想化系の資格ですが、ともにインフラ系の資格として、合計で6資格がランキングインしています。米国でも日本でも常に上位にランキングされているのが、インフラ系の資格です。導入するシステムのパフォーマンスや構築に技術力が必要なものには古くから認定資格が存在しています。
肌感覚になりますが、以前は通信系のハードウェアの資格が大勢を占めていましたが、ここ最近では、仮想化系の資格が台頭してきており、有資格者の年収が上昇してきているように思えます。これは仮想化テクノロジーの普及が一番の要因でもありますが、一言で仮想化といっても、ネットワークからOSやストレージなどの管理も含めてかなり広範囲にわたった技量が必要なため、仮想化ソリューションの部分がボトルネックになり、高負荷がシステムにかかった場合にパフォーマンスが出なくなるなどの恐れがあることから、高額年収の代名詞的な存在になりつつあるのではないかと考えています。このことについては、日本でもその傾向が強まってきていると皆さんも感じるのではないでしょうか?
日本での仮想化の求人案件は、求人サイトのIndeedで「仮想化」というキーワードで検索、集計したところによると、全仮想化求人の12.9%は年収800万円以上となっており、全ITエンジニアにおける年収800万円以上が3.7%という内容を考えるとかなり高額な分野になっています(参考:ITエンジニアの仕事とお金1000人調査!2012)。
一方で注目するべきは全米の資格別平均年収ランキングトップ15で、最多ランクインを達成したのがCitrix Systems, Inc.(以下、Citrix)社です。今回15位の中で以下の4資格がランクインしています。
- 7位. Citrix Certified Enterprise Engineer (CCEE) - $104,240
- 8位. Citrix Certified Administrator (CCA) for Citrix NetScaler - $103,904
- 11位. Citrix Certified Administrator (CCA) for Citrix XenServer - $97,578
- 15位.Citrix Certified Administrator (CCA) for Citrix XenDesktop - $95,094
トップ15にランクインしているCitrixの上記資格ですが、本調査の直後に新資格体系に移行しています。新資格体系の詳細はCitrix社のCitrix認定資格マップを、既にCitrixの資格を保有されている方は、既存資格の新資格へのアップデートパスをご覧ください。
さて、それでは何故、トップ15にCitrixの主要な資格のほぼすべてがランクインしているかということを説明します。
米国では企業の予算が縮小傾向にあり、IT部門は、業務上重要なプロジェクトを、毎年のPC更新のようなルーチン的なプロジェクトと同等に扱うことを余儀なくされています。古いPCをシンクライアントで置き換えることは、コスト削減のための実証済みのアプローチですが、デスクトップ仮想化およびSystem-on-a-Chip(SoC)テクノロジー搭載の新クライアントと組み合わせると、コスト削減効果とユーザーの利便性向上がより魅力的なものとなります。
多くの企業が、シンクライアントを利用することでデスクトップ仮想化のトレンドが再活性化していることが認知されており、デスクトップの仮想化の代表格であるCitrix製品の売り上げが伸びています。そして、その技術を有していることが認定された有資格者のニーズが高まっているようです。この状況が引き起こされた背景は以下であるとされています(参考:SoC搭載シンクライアントにより低コストでPC更新を実現)。
- PC更新周期の延長がコスト削減にあまりならないことが認知された:
- 以前、古いPCの寿命を延長することは短期的には節約になると考えられていましたが、長期的にはハードウェアのサポートおよび管理コストが、節約分を上回ることになったため、市場全体でデスクトップの仮想化が進んでいます。
- SoCテクノロジーがもたらす低コストの設計が可能になったため:
- PCの価格は大幅に低下していますが、SoC搭載シンクライアントは、PCに含まれるあらゆるコンピューティングコンポーネントを1つのチップに統合しているため、どのようなPCよりも価格が大幅に安くなることが認知されてきているためです。
- デスクトップ仮想化テクノロジーの進歩:
- デスクトップ仮想化テクノロジーの劇的な進歩により、仮想デスクトップの配備や管理が容易になっており、仮想デスクトップは分散型のPCよりも高いコストパフォーマンスを発揮するようになっています。
- 高品位のユーザーエクスペリエンス:
- この進歩の一部として、低コストのSoC搭載シンクライアントがもたらす仮想デスクトップのユーザーエクスペリエンスは、ハイエンドPCのユーザーエクスペリエンスと同等の性能を実現しています。
デスクトップ仮想化の普及において、SoC端末は必須ではないですが、今後の期待感が高く、注目するべき技術だと思います。日本市場ではどのような展開になるか、米国の資格別平均給与ランキングを見ると、いろいろなことが推測できます。興味がある方は是非原文もご覧になってみてはいかがでしょうか。
最後に、以前Think ITに寄稿したコラム「プロジェクト予算の6%を教育に投資すると、プロジェクトの成功率は限りなく高くなる ~IDC調査結果より~」をご紹介します。
このコラムでは、資格を取得することはエンジニアの給与を上げるためや、学習の成果確認のため、雇用者がビジネスの差別化を行うためだけではないことを述べています。ここで紹介したデータは、教育への投資額とインテグレーターのトラブル発生率の相関をまとめたものです。
コラムではプロジェクトの予算の6%以上を教育に投資するかどうかで、トラブル発生率に差が出ることや、教育を怠った場合、時間経過とともにトラブル率が向上することをまとめています。教育した、というだけでは効果があるとはいえず、習得レベルと苦手分野を確認するうえで、認定試験もセットで考えるべきということを最後にお伝えしたいと思います。
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