エンジニアたちの楽園!第6回OSS開発合宿 レポート

2009年から開催されている、オープンソースエンジニア向けハッカソン!
OSS開発合宿は、普段業務で忙しいエンジニアたちが、純粋に自分たちの「やりたいこと」に没頭する場所。野村総合研究所のOpenStandiaチームが中心となって、2009年から毎年開催されているハッカソンです。
OSS開発合宿の特長はそのルールで、「オープンソースを使えば何を作ってもOK!」というもの。何らかのテーマが設定されている他のハッカソンや普段の業務と異なり、本当に作りたいものを自由に作るイベントです。それゆえ、ほとんどのチームが徹夜で開発するというのも頷けます。
昨年度の「OSS開発合宿2013」のドキュメンタリー映像をYouTubeで公開しています。
6回目であるOSS開発合宿2014は、6月20日(金)夜〜6月22日(日)昼にかけて、マホロバ・マインズ三浦で開催されました。三浦半島から太平洋を望む非日常的な雰囲気の中、今回は9チーム、総勢42名が参加しました。
本記事では、当日の様子や成果物などをレポートとしてお伝えします!
1日目 23:00 ガイダンス
最初に運営よりスケジュールやルール、評価項目などの諸説明がありました。開発期間は翌日18:00までで、評価項目は以下の通りです。
- きちんと動くかどうか
- 楽しくてワクワクするものかどうか
- 便利かどうか
- 継続利用できるかどうか
- 新規性があるかどうか
- 心技体
「心技体」が評価項目に含まれているのが特徴的です。どれだけの熱意をもって開発や成果発表会に臨むかが問われます。
1日目 23:30 つくるもの発表会
チーム毎に、今回の開発合宿中に作るものの概要を発表します。開発予定のアプリの宣伝文句まで既に固まっているチームがいたり、毎年参加しているチームは前年度からの継続開発を宣言したりするなど、早速盛り上がっていました。


今年は果たしてどんなサービスが登場するのか、参加者たちも興味津々でした。
2日目 0:00〜2日目 18:00 開発!
既に深夜ですが、いよいよ開発開始です。寝る間も惜しんで黙々と開発します。

参加者全員がエンジニアなだけあって、やはり夜の時間帯には強いようです。特有のテンションでガンガン開発が進んでいきました。


やがて空も白み始めます。流石にこの時間帯になると疲労の色も出てきましたね。


中には力尽きる人の姿も。


2日目正午を過ぎたら、いよいよラストスパートです!各チーム、全力で作りきりました。


2日目 19:00 成果発表会
まずは前回優勝者からの優勝カップ返還です。今回は果たしてどのチームに渡るのでしょうか。

いよいよ、宴会も兼ねた成果発表会のはじまりです。
個性的なプレゼンと高い技術レベルに対する歓声と拍手、そして爆笑の渦!
やり遂げた充実感と解放感にあふれ、お酒も入って大いに盛り上がっていました。





全てのチームの発表が終わり、審査員からの総評として「どのチームもハイレベルだった」と語るのはOpenStandiaを束ねる八木晃二審査員長。OSS開発合宿に集う若手エンジニアたちの情熱がとても印象的だったようです。
大変盛り上がった成果発表会もこれにて閉幕。金曜日の業務終了後から寝ずに開発を続けていた参加者も多く、全員へとへとです。きっとぐっすり眠ったことでしょう。
一方、審査員たちは会議室に集まり、各賞の受賞チームの決定が行われました。審査結果は翌朝に発表されます。
次のページでは、入賞チームの成果物をご紹介します。
OSS開発合宿2014入賞チーム
優勝:6年目チーム「インターネットカラオケシステム」


ブラウザ上でカラオケ動画を自動再生でき、またWebAudio APIを利用して音楽とミックスした音声をブラウザ上で録音できるサービスです。
【使用技術】
- Rails 4.2.0.alpha
- elasticsearch
- redis
技術レベルの高さだけでなく、成果発表会にて1曲歌い切った精神力(しかも上手かった!)が「心技体」の高評価にもつながったようです。おめでとうございます。
八木審査員賞1:麻雀アルゴリズム研究会「麻雀を最適化するMJ Optimizer」


写真右から3名が「麻雀アルゴリズム研究会」チームのメンバー。
iPhoneのカメラで手牌を映し出すと、次に切るべき牌をリアルタイムで教えてくれるアプリです。各牌を切った際の受け入れ牌の枚数とシャンテン数も教えてくれます。
【使用技術】
- Swift
- OpenCV
ロジック部分はリリースされたばかりの開発言語「Swift」を用いて開発しており、「新規性」の高評価につながりました。また、電波が通らない地下にある雀荘でも利用できるように、全てスタンドアローンで処理しているなど、利用シーンまで考慮した作になっています。
八木審査員賞2:ふぇ?「キャラクター・ヴォイス・レコメンダーOuvertCV」


アニメキャラクター(の声)をおすすめするサービス。好きなアニメを再生すると、キャラクターが喋っているシーン毎に、声質が似たおすすめのキャラクターをリアルタイムにランキング形式で表示してくれます。
【使用技術】
- python2.7
- Flask
声の類似判定はvoiceidというライブラリを使用してGMMとk'-クラスタリングによって行っているなど、技術力が光っていました。
南審査員賞:チームPRO「FlashMob型SNS 列's Enjoy!」


「袖振り合うも多生の縁。人の行き交う街角で、同じ行列に連なりながら、スマホのブラウザ開いてみれば、これも何かの運命(さだめ)じゃないか…」
「行列を楽しもう!」がコンセプトの、一瞬の出逢いを大切にできる超短命クローズドSNS。同じ目的のために並ぶ、ワクワクやドキドキをリアルタイムで共有できるサービスです。
【使用技術】
- WebRTC
- LocalStorage
WebRTCとLocalStorageを使用し、ブラウザ間の通信のみでSNSサービスを構築しています。
特長は、圧倒的な作り込み!事前に入念な準備をしていたこともあり、難易度の高い実装ながらも、「きちんと動く」ところが高評価でした。
佐藤審査員賞:障害対応チーム「現実逃避用モザイクアート作成ツールMosaIKU」


『世界はミクでできている!』
世の中の光景を、初音ミクを通して見る現実逃避用モザイクアート作成ツール「MosaIKU」。大量の画像から1枚の画像を作るのはもちろん、動画、Webカメラの映像をリアルタイムでモザイクアートに変換します。
【使用技術】
- C++
- OpenCV
- Ruby
Webカメラ画像をリアルタイムに変換できるほど軽量に動作する点に歓声が上がっていました。
成果発表会では初音ミクの画像を使用していましたが、ディレクトリ内の画像を差し替えることでどんな画像にも対応できるなど、拡張性にも優れているそうです。
努力賞:Levelop「Levelop」


練習メニューを共有するWebサービス。Jointjsを使った練習メニュー作成用の簡易ツールも揃っており、容易にメニューを作成することもできます。
【使用技術】
- Django(Python)
- SQLite
- Nginx
- Jointjs
今後の展開として、スポーツ全般だけでなく、音楽・美術・勉強等の幅広い分野を対象にしていきたいとのこと。「継続性」が高評価でした。
イグノーペル賞:チームMongoDBer「人付き合い運用・監視システム 十手


SNS上の人付き合いをAmazon Cloud Watchを使ってモニタリングし、必要に応じてアラート通知するサービス。アラートには複数の種類があり、例えばある人との関係性が悪化している場合、その共通の友達に「仲を取り持ってあげて」といった内容のメッセージが自動で送られるなど、自動復旧まで行ってくれます。
【使用技術】
- MongoDB
- Node.js
- Java
- Amazon Cloud Watch
- Facebook API
人間関係を本番システムと同じように運用監視ツールで監視するというアイデアが、最も馬鹿げたことに情熱をささげたチームに贈られる「イグノーペル賞」獲得につながりました。
3日目 11:00 砂浜でのバーベキュー
最終日は三浦海岸に移動して、バーベキューで打ち上げです!あいにくの天気でしたが、新しいサービスの構想や最近ホットな技術の話など、エンジニアトークで大盛り上がりでした。




参加者の皆さん、お疲れさまでした!
エンジニアが本気で好きなことに取り組めるOSS開発合宿。一見和やかなようでいて、「誰にも負けたくない!」という気迫が伝わってくる刺激的なイベントでした。
さて、OSS開発合宿は来年も開催予定です。ご興味のある方は運営までご連絡ください。
皆様のご応募をお待ちしております!
【関連リンク】
(リンク先最終アクセス:2014.07)
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