DXの実現にはビジネスとITとの連動が必須 ― 日本マイクロソフトがBizDevOpsラウンドテーブルを開催

2020年3月10日(火)
高橋 正和

日本マイクロソフトは、ビジネスとITとを横断的に連携するBizDevOpsに関するイベント「BizDevOpsラウンドテーブル」を、2月21日に代官山の「Azure Daikanyama Base」にて開催した。

DXと、そこにおけるBizDevOpsの意義が語られたほか、BizDevOpsを取り入れるためのハッカソンなどMicrosoftの支援策が紹介された。

「ビジネスを速く回さなければ
アジャイルやDevOpsをやっても意味がない」

最初に、企業におけるBizDevOpsの意義とMicrosoftでの実践事例について、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント株式会社 代表取締役 社長の榊原 彰氏が解説した。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 最高技術責任者/
マイクロソフトディベロップメント株式会社 代表取締役社長 榊原 彰氏

しばしばデジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が使われるように、いまやすべての企業がビジネスをデジタル時代に合わせるようになってきた。

そのDXについて、Microsoftは「Optimize operations(顧客の業務を最適化)」「Empower Employees(働き方を変える)」「Transform products(製品を変える)」「Engage customers(顧客がその顧客とよりよくつながる、よりよく知る)」という4つの柱を掲げている。「この4つでデジタルフィードバックループを作り、常に変化していかなければならない」と榊原氏は言う。

デジタルフィードバックループ

デジタルフィードバックループからビジネスまで

榊原氏は、企業で技術が産まれビジネスにつながるまでのプロセスを「研究」「開発」「事業化」「市場投入」に分け、現在では市場投入までのプロセスを速くすることが求められていると説明した。

「ビジネスを速く回さなければアジャイル開発やDevOpsだけに血道をあげても意味がない。速いビジネススピードに同期するDevOps、そのためのアジャイル開発というように、ビジネスのスピードアップを支える開発・運用体制を作る必要がある」(榊原氏)。

リーンスタートアップのためにはDevOpsやアジャイル開発が求められる

ビジネスのスピードと一体化した新たな開発・運用への変換

ここで榊原氏は、Windowsの開発が、パッケージ開発から「Webサービスのように」リリースされる形態に変わった例を紹介した。

Windows 10の開発モデル

Windows 8の開発では「プランニング」「開発」「プレビュー」という工程を直列にして4年かかっていたところを、Windows 10の開発では「アジャイル開発」と「DevOps」を採用したことによって並行する形にしたことで2年に短縮できたという。「単にパラレルなだけでなく、フィードバックも反映されるようになった」と榊原氏は説明し、「いちばんのメリットは、ちょい出しが頻繁にできるようになったこと」と語った。

アジャイル開発とDevOpsの併用によるメリット

開発部門は、チーム改革前は、品質保証(Quality Assurance = QA)、開発(Dev)、運用(Ops)、ビジネス企画チームの4つに分かれていた。

開発部門における初期のチーム構成

最初の改革フェーズにおいて、DevとQAを合わせて「エンジニアリングチーム」とした。

エンジニアリングチーム

そして、さらに残りの2つも合わせて「サービスチーム」として、1つに構成した。

残りの2つのチームも合わせてサービスチームを構成

「この構成にして良かったことは、顧客の声を聞くところと、QA、開発が有機的につながるようになったこと。これにより、顧客の声を即時に反映できるようになった」と榊原氏は述べた。

QA、Dev、Ops、ビジネス企画が1つになったサービスチーム

そのほか、榊原氏からはDevOpsハックフェストを開催していることなども紹介された。DevOpsハックフェストは、Microsoftと顧客企業が短期間で開発する一種のハッカソンだ。「我々は、こうした取り組みを通じて、引き続き安心して使っていただけるテクノロジーにより日本の社会変革に貢献していきたいと考えている。また、ハッカソンでアプリを作っても誰も使わないで終わり、ではなく、お客様といっしょに開発してビジネスにつなげることを支援していきたい」と榊原氏は説明した。

DevOpsハックフェスト

榊原氏の講演を拝聴できる機会は少ないとのことで、参加者は真剣に聞き入っていた

プラント操業のデータプラットフォームを
ハッカソンで課題対応

続いて、メインセッションである「3日のハッカソンで何ができる? 何が変わる? 体験者と提供者の率直トーク」のラウンドテーブルが開かれた。榊原氏の話にもあった、企業の課題を解決するDevOpsハッカソンの体験について、ハッカソンを体験した側と実施した側が語る形式だ。

実施した側は、株式会社ゼンアーキテクツの三宅和之氏(CTO)。体験した側は、JFEエンジニアリング株式会社の小林 義孝氏(技術本部 ICT センター AI・ビッグデータ活用推進部 グループマネージャー)。モデレータは、日本マイクロソフト株式会社の横井 羽衣子氏(Azure ビジネスグループ シニアプロダクトマネージャー)が務めた。

株式会社ゼンアーキテクツ CTO/Founder 三宅 和之氏

JFEエンジニアリング株式会社 技術本部 ICT センター AI・ビッグデータ活用推進部 グループマネージャー 小林 義孝氏

日本マイクロソフト株式会社 Azure ビジネスグループ シニアプロダクトマネージャー 横井 羽衣子氏

“3 日ハッカソン” への “期待” と “実際に成し遂げたもの”

1つめの話題は「なぜハッカソンみたいなことをしてみようと思ったのでしょうか? また、どんな期待をお持ちでしたか?」。

対象となったのは、JFEエンジニアリングによる、プラントの設計・操業のためのAI・ビッグデータの解析ツール「Pla'cello」。小林氏はPla'celloの機能強化開発に関して、以前より三宅氏にコンサルティングを委託していた。その過程で「バッチレイヤーについては、ハッカソンで一気に開発しませんか」と誘われたという。また、部下が関わっていくものについては管理上自分自身もある程度深い理解が必要であると確信していたため、迷わず自分自身も参加することにしたという。

初日はアーキテクチャを整理し、データ変換とAPIの開発をスタートしたが、一方でユーザーインターフェースとなる画面の開発についてはスタートできなかった。「(ハッカソンに参加したメンバーには)データ変換とAPIは開発する人がいたが、フロント(Web画面) をやる人がいなかった。そこで私が急遽、未経験だったVue.jsの本を買って、2日目から開発メンバーとして自ら加入した」と小林氏。これについて三宅氏は、「ハッカソンでは最終日に成果物をマネージャーなど、上層部にに見せることが多い。クラウドなどのテクノロジの専門ではない方々にも世界観や効果を直感的に理解してもらう際、画面など動きを体感してもらうものがあるかないかではインパクトと社内理解レベルが断然異なってくる」と補足した。

3つの部分をマイクロサービス方式とし、1箇所に集まって並行して開発したことで、すばやく開発できた。三宅氏は「普通だと1~3か月ぐらい、クラシックなSI 手法をとった場合1年ぐらいかかるものを3日で開発した」と胸を張る。

ハッカソンは “システム構築” だけでない、エンジニアの成長の場でもある

2つめのお題は「実際、ハッカソンの現場でどんなことを感じましたか?」。会場にいた小林氏の部下に、横井氏が尋ねると「楽しかった。ああいう場所でないと出てこないものが出せた」とのこと。では、何が楽しかったのか。 それは、まず「いまだ聞いたことも見たこともなかった “圧倒的なスピード”、そして日本で最もAzureというクラウドを知り尽くしたエンジニアと、技術コミュニティの『ロックスター』レベルのエンジニアとともに開発することで知った『未知の問題にどう対応していくか』『実装力』『全員で一気に仕上げていくことが出来るという手ごたえ』だ」という。

エンジニアとして3 日間で得られたことは、システムの構築だけでなく、自分自身のスキルが目に見えて上がっていき、そしてスキルを上げながらリアルタイムでこれまでの自分たちでは決してできなかったものを、目の前で、同じくスキルを爆上げしている仲間たちと作り上げていく「体験」。ハッカソンは、システムのモックアップを作る場にあらず。エンジニアを最高の技術力を持つ ”師範” が鍛え上げる人材育成の場でもあったのだ。

3日ハッカソンの効果を最大化する「事前の現場からの課題ヒアリング」

ITは経営戦略における武器だ。先の榊原氏の講演にもあったように、”ビジネスを速く回さなければアジャイル開発やDevOpsをやってもしかたない“ のだ。これは同時に、ビジネス側の要求に IT 側が応えられる必要があることを意味する。

小林氏は事前に社内の利用部門、つまりビジネス側にヒアリングを行い、要望を集めていた。誰が、どんな時に、どのように、どんな頻度で使うのか。様々な意見が集まり、一連を俯瞰してみた結果、ユーザーは「データサイエンティスト」。データサイエンティストは、このシステムからとってきたデータを基に分析を行う。もちろん、分析の精度のためにはデータはたくさんあった方がいい。しかも分析にはリアルタイムに行いたいものもある。つまり、「ざっくり言うと、面倒な手続きがなく簡単に、一度に制限なく、欲しいだけの量のデータを速攻得られて、さらに加工しやすければよい」ということがわかったという。

ユーザーヒアリング

地道だが、こうした事前の下調べに少しでも労力を割くか、割かないかはそのあとのハッカソンの効果カーブに効いてくる。事前に課題を把握しておけば、やみくもな “大規模エンハンス” を行うのではなく、対象のシステムのどこに今切り口を持っていくべきかを決めることができるのだ。また、課題の把握を行おうとすれば、必ずビジネス側も関わることになる。その過程で、ビジネス側との合意形成の基礎をつくることも期待できるのだ。これについて、三宅氏は「事前にここまで課題を整理しているチームはなかなかない」と褒め称えた。

なお、3日間のハッカソンは、三宅氏の方針により、初日と2日目の間に1日空けた。これは、初日に手を動かして初めて課題を集めた結果、データが足りない、開発環境のインストールが必要といったことがよく起こるからだ。この方針について、三宅氏は「戻ってからのスピードが違う」と説明した。JFE エンジニアリング社のハッカソンにおいては、初日の課題を再度見直し、2日目の力の入れどころをコントロールしたという。

「自分たちの方向性を自分自身で自信をもって決めることができるようになった」

3つめのお題は「ハッカソンを受けてみた後どんな変化がありましたか?」。小林氏は「自分たちの方向性を自分たちで決められたことが大きい」と回答。アーキテクチャが決まり、また PaaSにしたことで運用の手間を軽減し、”属人的な特定のスキルや知見を持つ誰か、あるいはチームに負担が偏りがちなシステムのお守り” ではなく、対応できる人の幅が広がったことで、担当を増やした際のOJT負担も減った。それにより、よりフレキシブルな雇用スタイルも可能になったという。また、クラウドベースのシステムによる特定の要件に依存しない汎用的なデザインパターンにより、応用力も増したという。「たとえば、気象情報をAPIで取得してVue.jsで表示できるとか、ほかのアプリケーションで同じような方式でできるなど。やれることの選択肢が一気に広がった」(小林氏)。

組織構造の変革なくして、Biz x Dev の融合はありえない
– 会社の運命を左右しうる “新しい取り組みへのトップの理解の4パターン” とは

すべてのお題が消化された後に、別の講演で小林氏が語った組織構造の解説もあった。「コスト・品質・機能・スピードのうち、どれを重視するか」「スピードを重視するならクラウド」「作ったあとの運用と普及は、軽視するところも多いが、開発当初に想定していたよりも5倍くらい大事だった」「新しい取り組みへのトップの理解の4パターン」「PDCAにおいて、日本の企業では『PdCa』(PlanとCheckが大きい)なことが多いが、それよりも『pDcA』(DoとActionが大きい)のほうが良い」などの話が紹介された。

ラウンドテーブルは笑いあり、真面目な話ありで盛り上がっていた

最後に、こうした4日間をかけて行った価値があったかについての質問について、小林氏は「驚異的なスピードで課題が解決され、システムが生まれ変わっていく実感を得られただけではない。上司は部下の言ったことをすぐに判断できなくてはならないが、現場を見て、自分でも手を動かして、自分のチームで内製できると手ごたえと確信を持てたことに満足している。本当に目に見えた効果だけでなく、部下と自分自身の成長も含め、実施してよかったと思っている。(最後にまたハッカソンをやりたいかという質問に対して)4月以降になりますが、ぜひやりたいです」と締めくくった。

BizOps x DevOpsの実現を阻む
組織の “課題” 打破の鍵
“Cloud Center of Excellence”

最後のセッションでは横井氏が、DXとCloud Center of Excellence(CoE)戦略について語った。

時価総額10億ドルまでに要する時間は
ここ10年で10 分の1にまで短かくなっている

米フォーチュン500の企業が時価総額10億ドルレベルの評価に達するまで、平均20年かかっていたのが、ここ10年で年々短くなっていき、Xiaomiに至っては、わずか2年で達成してしまったということをご存知だろうか。ここまでくるともはや、リードタイムなどあってないもの。ビジネス変化に合わせてリアルタイムに自社製品やサービスを改革し続けなくてはならない時代だからこそ「永遠にビジネスを改革し続けるサイクルを構成するのはビジネスとIT。両者の融合なくして、市場で勝ち抜くことは極めて困難」(横井氏)。

時価総額10億ドルレベルの評価に達するまでにかかる時間は年々短縮化傾向に

さらに、激変する時代において勝ち続けている企業の視点は、「いかにして迅速に自社のサービスや製品を投入するか、また顧客からの要望を可能な限り直ちに取り入れ、改善したものを即時リリースしていけるか」であるという。

「勝ち続ける」企業の視点

「これまでは企画(マーケティング部門が担当)、分析(IT部門の担当エリア)、実行(マーケティングが担当)、効果測定(IT部門の担当エリア)がシーケンシャルになっていたが、BizDevOpS企業は「ビジネス側とIT担当がシームレスに1つの目標に向かって動いている」(横井氏)。先の榊原氏の講演で、マイクロソフト自身が Windows 10の開発の過程の組織改革の結果得た「ビジネスと IT の融合」- “顧客の声を聞くところと、QA、開発が有機的につながるようになったこと。これにより、顧客の声を即時反映できるようになった (榊原氏)” 、これがまさに “BizDevOps” なのである。

従来企業と急成長企業の違いはBizDevOps

また、MITスローンマネジメントスクールの論文から「デジタルマスター」の考えを紹介した。縦軸は “デジタル能力” 、すなわちデジタル技術を使って顧客体験(カスタマーエクスペリエンス : CX)や業務プロセス、ビジネスモデルなどを改善する能力とし、横軸を変革を導くビジョン、従業員の巻き込み、ガバナンス、ITとビジネスの連携などを行う能力、“リーダーシップ能力” とする考えだ。この2軸の両方に優れた企業は、デジタル変革を遂げた企業「デジタルマスター」である。デジタルマスターは、初期投資こそ大きいものの、結果的に競合他社と比較して従業員1人あたりの売上も収益性も高くなるという。

デジタルマスター

ビギナー

ファッショニスタ

コンサバティブ

ここで横井氏の話は「なぜデジタルネイティブの成長速度が速いのか」となり、リーン生産方式やアジャイル、クラウド、BizDevOpsで俊敏性を維持していると語った。

なぜデジタルネイティブの成長速度が速いのか

しかし、ビジネス側と、IT側の視点はあまりにも違っていることが少なくない。ビジネス側はプロフィットセンターとして会社の利益など、経営戦略視点で課題をとらえ、ITはコストセンターであるために、ガバナンスや現状の維持を目標とするKPIが立てられていることが多いからだ。しかし、「デジタルマスター」企業になるためにはこの課題は越えなくてはならない課題となる。

デジタルマスター企業になるために超えるべき課題

ここで、”CCoE”が重要になる。CCoEは1人ではなく、指導的立場でBiz / Dev双方がモダナイズされたシステムのポテンシャルを最大化するために、お客様の組織内でビジネス、技術双方に深い知見と能力を持つ人材群 (=Cloud CoE) を見据えた人事戦略なのだ。

CCoE戦略

CCoEモデルのメリット

その構成について「メンバーを1人ずつ出せば良いというのでは無理。社内の1部門や課題の一部にのみ対応しても、会社全体のオペレーション戦略で見た場合、単なる部分最適化になってしまえば、むしろ害になってしまう。SIパートナーと連携してシステムを運営している企業などでは、パートナーも巻き込み、全体を見る構成にすることもある」と横井氏。「ここで重要なのが経営戦略と、オペレーション戦略双方の理解と、その整合性を理解した上でIT戦略に落とし込むかということだ。従って、IT部門はコストセンターではなく、ビジネス側、プロフィットセンターとしての視点で自らの仕事を見直していくことが重要」。日本でも、ここ数年でこのように経営戦略 – オペレーション戦略 – 人事戦略を包含して考えている企業が出始めてきており、成功を収めているという(出典 : 令和元年5月17日 独立行政法人情報処理推進機構調査より)。

マイクロソフトでは、クラウド時代にどのように自社のクラウドセキュリティ設計の標準化や各ビジネス部門の利用指針を策定するかや、コストと統制などをとらえるべきかをこれまでの様々な企業の経験などに基づき “Cloud Adoption Framework (CAF)” としてまとめ、公開した。CAFとCCoE人事戦略の合わせ技で、クラウドネイティブ開発を実現する育成プログラムを企画しているという。

Azure Cloud Adoption Framework

横井氏はCoEのタイプも紹介した。

CoEのタイプ

最後に、横井氏はBizDevOps実現を目指すプログラムとして、3日間のハッカソンと、社内CCoE育成支援のAzure Meisterの2つのプログラムから構成される「Azure Light-up」プロジェクトを紹介。今回第二部で登壇した JFEエンジニアリングもこのプロジェクトによるものだという。プロジェクトに含まれる2つのプログラムは個社の課題やニーズに合わせて組み合わせを変えることができる。「やってみたいと思われる方は、ぜひ弊社営業に相談してください。一緒に相談に乗らせていただきます」(横井氏)」。

「Azure Light-up」プロジェクト

「Azure Light-up」プロジェクトのプログラム内容

「Azure Light-up」プロジェクトのモデルケース(1)

「Azure Light-up」プロジェクトのモデルケース(2)

横井氏の軽快な講演は参加者を惹きつけていた

お知らせ : ホワイトペーパー “Building a Digital Operating Model with Microsoft Cloud Adoption Framework” 公開中(無償)

https://azure.microsoft.com/ja-jp/cloud-adoption-framework/#overview

(本ページ下方のURLリンク先をご参照ください)

DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するには、ビジネス戦略と従来のIT戦略とシームレスに融合させることが不可欠ですが、2つの間にはなかなか深くて暗い谷が横たわっている、という組織はいまだに多数派です。しかし、ITとビジネスが融合しない状況は、現在企業が "困っていない" としていても、長期的な戦略としては適切ではありません。マイクロソフトだけでなく、他の有識者も含め、いかにして企業はクラウドなどの最新のテクノロジーで変革を行うべきか、ビジネス側と技術担当側双方の視点で語られています。300ページを超すサイズで読み応えがありますが、海外の先行企業での様々な例を基に原理原則をまとめていますので、必ず役に立つとお勧めできる内容です。ぜひ、ご覧ください。

* * *

DXという言葉や「すべての企業がソフトウェア企業になる」という主張をしばしば目にするようになった。これはすべての企業にソフトウェアの、それもWebサービスの開発スピードが求められるということでもある。そのためには、ビジネス部門と開発・運用部門が、ウォーターフォールのような直列でなく、一体となって進めるBizDevOpsが求められる。中でも「ビジネスを速く回さなければアジャイルやDevOpsをやってもしかたない」という榊原氏の言葉が印象に残った。

今回のラウンドテーブルで語られた内容について詳細を知りたい方は、ぜひ下記の事務局へお問い合わせいただくか、URLリンクの情報を参考にしてほしい。

【Azure Light Up プログラム またはCCoE短期育成支援プログラムについてのお問合せ先】
Microsoft Azure Light Up Program 事務局 (Email: azurelightup@microsoft.com)

【Microsoft Cloud Adoption Framework for Azureの詳細はこちら

フリーランスのライター&編集者。IT系の書籍編集、雑誌編集、Web媒体記者などを経てフリーに。現在、「クラウドWatch」などのWeb媒体や雑誌などに幅広く執筆している。なお、同姓同名の方も多いのでご注意。

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