押さえておきたいCMSの基礎知識
CMSの基礎知識
1990年代の後半に始まったインターネットの普及とともに、情報発信システムであるWebサーバーの数も、飛躍的に増加してきました。しかし、当時のWebサーバーの情報発信では、コンテンツ作成やシステムの運用管理、開発において、多大な時間が必要でした。そうした作業の効率化とシステムの改善を求め、多くのCMSが誕生し、今では、企業の情報ポータルから個人のブログまで、さまざまな情報発信の用途にCMSが使われるようになっています。このCMSとはどのようなシステムなのか、ここでは、まずCMSとは何かについての説明から始めます。
CMSとは
CMS(Contents Management System:コンテンツマネージメントシステム)とは、インターネットあるいはイントラネットでのコンテンツ(テキスト、画像、動画、サウンド)を配信、管理するコンピュータシステムのことを指しています。かつては、企業内の文書管理システムなどもCMSと呼ばれていた時期もありましたが、最近ではWebサーバーやデータベースサーバーとともに、コンテンツの管理・運用を行い、ブログサイトや情報公開サイトを構築するシステムのことを意味するようになりました。企業内の文書管理は、CMSの前にEが付き、ECMS(Enterprise Content Management System)と呼ばれるようになっています。
CMSが普及してきた背景には、いくつかの要因があります。まずは、情報の提供者がHTMLタグを付ける必要がなく、コンテンツの作成に集中し、注力できることです。次に、情報の管理システムとしても、デザインの変更や統一が容易であること、さらにバックアップ、セキュリティといった機能が組み込まれている(あるいは拡張可能な)ことなどが挙げられます。CMSの用途としては、ブログサイトや企業の情報公開ポータルが多いのは事実ですが、情報を管理、共有、交換するという観点からいえば、ネットの百科事典を支えるWikiやSNSなどもCMSの範疇に入るでしょう。
CMSの歴史
CMSの歴史はそれほど古くはありません。最も古いシステムでも、ほとんどが2000年以降に登場したシステムです。オープンソースのCMSを対象とすると、古参のシステムとしては、PHPNUKE(1998年)、これをベースにして開発されたXOOPS(2002年v1リリース)、BBSをもとに発展したDrupalなどが挙げられます(2001年にオープンソースプロジェクトが開始)。Drupalは2008年にオープンソースCMSアワードを受賞していますし、管理機能に優れた特徴を持つJoomla!(2005年リリース)など、いずれも数多くのユーザーがおり、海外の行政機関や大手企業で導入されている実績があります。その中でもWordPress(2003年に最初のバージョンがリリース)は、現在最も多くのユーザーが利用しているCMSであるといわれています(リリース年度は、Wikipediaから引用)。
最近のCMSは、ブログなどで利用される簡単なコンテンツの編集機能だけでなく、徐々にコンテンツの公開時間やユーザー権限の細かな設定まで行える、管理面における機能が充実してきており、こうした機能面での拡充が、多くの企業やシステムで採用された要因となったといえます。
名称 | 特徴 |
---|---|
Drupal | Eコマース、SNS、ブログサイトなどのモジュールが各種用意されており、動作が軽い。開発効率の高さと柔軟なカスタマイズに定評がある。APIが整備されており、モジュールの開発も容易。 |
Joomla! | エクステンションによって、カレンダーや掲示板、地図、Eコマースなどの拡張が可能。エクステンションの種類も充実している。日本での利用サイトは多くないが、海外ではビジネスサイトや公共サイトでの利用が多い。 |
WordPress | ユーザー数が多く、フリーで公開されているテンプレートや機能を追加するプラグインが豊富。インストールが容易なのも特徴といえる。 |
XOOPS | モジュールによる掲示板、投票、お知らせ、リンク集などの情報を一元管理するCMS。日本で開発されたため、国内のコミュニティが多く情報も豊富。 |
この記事のもとになった書籍 | |
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大月 宇美 著/できるシリーズ編集部 著 |
できるPRO WordPress -- Linuxユーザーのための構築&運用ガイド本書では、WordPressの導入と運用について、これから始めたいと思っている方を対象に、基本から応用へ、作業や操作を少しずつ、着実に進めていけるよう解説しています。 |
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