WordPressを仮想マシンで利用するメリット
仮想マシンの導入方法
Linuxマシンでサーバー構築といえば、かつては専用のPCを利用するのが当たり前でしたが、最近ではCPUのマルチコア化、メモリの低価格化、ハードディスクの大容量化により、個人のPCでも、4コア〜8コアといったCPUに、数GBのメモリ、数TBのディスクを備えるPCも珍しくありません。こうしたハードウェアであれば、Windows上の仮想マシンでWordPressを稼働させることも難なく実現できます。本書では、仮想化ソフトウェアに、Oracle VM VirtualBox(以下、VirtualBox)を使用し、WordPressの実行環境を構築します。
仮想マシンとは
仮想化ソフトウェアとは、物理的なハードウェアとOSの間(あるいはOSの上)に、ハードウェアとは分離された擬似的なコンピュータ環境を用意するソフトウェアのことをいいます。この仮想的なコンピュータ環境のことを、仮想マシン(Virtual Machine)と呼びます。
本書では、LinuxマシンをWindowsの中に作成し、そこにWordPressをインストールしていきます。仮想マシンというと何やら難しそうですが、実体はWindowsアプリケーションとして動作します。Windows環境でPCのハードウェアをエミュレートして、擬似的なハードウェア環境を作り出します。これも使ってみればすぐにわかります。
仮想マシンの方式
仮想化ソフトウェアの実装方法によって、ハイパーバイザー方式とホストOS方式があります。ハードウェアの上に仮想化を実現するソフトウェアのレイヤを構築し、複数のOSを利用することができるのが、ハイパーバーザー方式です。これに対してOS上に仮想ハードウェアをアプリケーションとして実現し、その仮想ハードウェアの上にOSをインストールして実行する方式をホストOS方式と呼びます。VirtualBoxは、ホストOS方式の仮想化ソフトウェアです。
仮想マシンを利用するメリット
仮想マシンを利用する方法は、これまでに述べてきた方法と、どう違うのでしょうか。いずれの方法も一長一短があるのですが、メリットとしては、まずは気軽に手元のWindowsマシンで始められ、VirtualBoxを利用するのであれば、事実上無償で利用可能です。また、最近はクラウドサービスの利用も一般化しており、将来外部への公開やリソースの増大に対応する必要が出てきたときでも、仮想マシンを使っていれば、仮想マシンのイメージをそのままクラウドサービスに移行することもできますし、Vagrantのような仮想環境用のツールを使えば、運用も容易になります。
クラウドサービスの移行までは本書の解説範囲ではありませんが、柔軟に対応可能な状況にしておくことは、悪いことではありません。逆にデメリットは、ほかの手段と比べると、WordPressをインストールする前の、環境を準備するのは多少面倒です。ですが、いったんゼロからインストールする方法を把握しておけば、のちのち、あらゆる場面で応用が利きます。
この記事のもとになった書籍 | |
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大月 宇美 著/できるシリーズ編集部 著 |
できるPRO WordPress -- Linuxユーザーのための構築&運用ガイド本書では、WordPressの導入と運用について、これから始めたいと思っている方を対象に、基本から応用へ、作業や操作を少しずつ、着実に進めていけるよう解説しています。 |