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アップルがTV自体の開発にもう一つ乗り気でない理由

2015年6月6日(土)
ReadWrite Japan

ウォール・ストリート・ジャーナルのおかげで一年以上前、我々はアップルが自社のTVについて明らかにするより先にその取り組みについて知ることが出来た。そのプロジェクトはお蔵入りになり、ジェーン・マンステールは自分の過ちを認めた。

この事は今日の技術関連の噂について、これまでとは異なる見方がありえる事を示した。噂は正しくあると同時に間違えてもいるかもしれないという点だ。言い換えれば、今後出てくると思われている製品についての推測が正しい事が、その製品が世に出てくることを保障するわけではないという事だ。例えばApple Carの場合はどうだろうか?

アップルが手を引いたシンプルな理由

これまでを振り返ると、アップルがTVに関するアイデアを引っ込めてしまった理由を考えるのは難しいことではない。9to5Macのあるコメントには以下の様にある。

TVスクリーンは高価なコモディティー品であり、異なったサイズや機能の製品を販売したり、製品保証用にジーニアスバーに配備しておくのは非常に大変なことだ。

つまりTVはかさばるうえ、スマートTVは在庫が捌けるよりも早く陳腐化してしまいやすいいうことだ。LGやソニー、サムスン、フィリップスなどが近年直面しているとおり、粗利は少なく利益を上げるのも大変だ。そう頻繁に消費者が買い替えるわけでもなく、アップルにとっても大きな収入となるものではない。

これらのポイントは全て、ここ数年売り上げの停滞を招く要素となっており、アップルの判断にも影響を与えたに違いない。

理由はこれだけではない

TVエンジニアリングの事情や市場に置ける現実のほか、アップルが手を引いたのは家庭内を占拠するこのデバイスで、他より際立ったものを作り出すアイデアを出せなかったからだという点も考えられる。

対照的に、スマートウォッチについてアップルはGOサインを出した。Apple Watchが大成功を収めるかどうかはともかくとして、これは他より目立つ、これまでのものを打ち砕くようなプレミアムな商品だ。アップルはこれくらいインパクトのあるTVを出すことが出来るだろうか?疑わしいといわざるを得ない。

MacBook ProやiMac、iPhoneなどはTVでジョニー・アイブが最高の仕事をしたとしても到達し得ない、象徴的かつ魅力を持ったキットだ。

超高解像度もスリムなベゼルや曲面を帯びたスクリーン、組み込みアプリにジェスチャーコントロールなどは既に他社のスマートTVが持っているものだ。アップルが新たに成し遂げる価値のあるものなどがどこにあるのだろうか?

確かにApple TVに組み込まれることで商品を競争力があるものに出来るものはある。スマートホームコントロールやライブTVストリーミング、SiriやApp Storeとの統合などだ。

Apple TVのあるべき姿とは

想像されていたApple TVがお蔵入りになったことで、Apple TVの本質に更なる注目が集まったことはおそらく偶然ではない。ティム・クックとそのチームはApple TVプロジェクトで得られた収穫は、これまで自分たちが手がけてきたものにフィードバックできる事に気づいたのかもしれない。

他社との競合にも目を向けてみても、グーグルやマイクロソフト、アマゾンなどは全てリビングルームのTVの近くに設置される装置を作っているものの、TV自体については興味を示していない。

TVとは突き詰めて言うと何かへの窓口だ。それに「スマート○○」といった機能を加えるに為に、アップルはそれをTVに組み込むのではなくホッケーのパックのような見た目をした別個のパッケージで提供したほうがより柔軟性があり、市場に訴えかけるものに出来ると気づいたのかもしれない。

トップ画像提供:Apple

David Nield
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

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