データベース:サーバにデータを保存しよう
データを作成する
テーブルにデータを追加するSQL文は以下のようになります。
前半ではカラム名、後半では実際に登録するデータを指定しています。
PHPからデータベースにSQL文を渡すと実行した結果が返ってきますので、成功したかどうかをチェックします。
IDを連番にするには
上の例では「id」に「1」を指定しましたが、キーであるカラムでは同じ番号を重複できません。そのため新しいデータを作る際には、今あるデータ内で最大となるidの次の番号にしなければなりません。idを省略すると自動的にインクリメント(1を加算)して登録してくれるDBMSもありますが、ここでは次の番号を求めるメソッドを使いましょう。どのデータベースライブラリにも、このような機能はついているはずです。
セキュリティ対策(SQLインジェクション対策)
ユーザーから入力された情報などを登録する場合、入力されたデータは変数に入っているので、以下のようにSQL文を$sql変数に代入したいかもしれません。
しかし、もしも「$name」に「ホットケーキ」ではなく次のようなデータが入力されていると、recipeテーブルのすべてのデータが削除されていまいます。
「--」はSQL文のコメントで、PHPにおける「//」と同様です。
このように任意のSQL文を挟み込まれてしまう攻撃を「SQLインジェクション」と呼びます。SQLインジェクションを使うと、データベースに登録されている他人のパスワードを盗み見たり、データを破壊したりすることができます。
これを避けるためには、SQL文と判断される文字列をカラムの値として設定できないようにします。上の例では、nameカラム用のデータのところでシングルクオート(')が閉じられてしまったことが問題です。そこで、登録するデータをエスケープするように変更します。PHPにはSQL用のエスケープ関数がありますが、ライブラリの「プレースホルダ」を使用したほうが確実です。
SQLに直接変数を埋める代わりに「?」で代用し、「?」に入る内容は配列($placeholder)で指定します。こうすると、SQL文で使用される特殊文字「'」「"」「\」などがエスケープされ、文字列の場合は引用符(')で囲われます。
今度は、$nameの中身がそのままnameカラムに登録されます。データはエスケープされていますが、取得したときに元に戻るので問題ありません。
どのデータベースライブラリを使用しても、SQL文を実行する手順は以下のようになります。
- 登録するデータを用意する
- SQL文を用意する
- SQLインジェクション対策としてプレースホルダを使い、データがエスケープされるようにする
- SQL文を実行したら、成功したかどうか結果をチェックする
データベースライブラリの中には、登録するデータを配列に入れるだけでSQL文を自動で作成してくれるものもあります。
このようなライブラリでは、SQLインジェクション対策であるデータのエスケープなども自動で行ってくれます。
データを更新する
テーブルのデータを更新するSQL文は、以下のようになります。
SET句で更新するカラムとデータを指定し、WHERE句で更新対象になる条件を指定します。
WHERE句で用いる条件式
WHERE句で指定できる条件式には以下のようなものがあります。ほとんどのDBMSでは文字列の置換などの関数も利用できます。
条件式 | 意味 |
---|---|
a = b | aとbが等しい |
a != b | aとbが等しくない |
a b | aとbが等しくない |
a > b | aがbより大きい |
a >= b | aがb以上である |
a | aがbより小さい |
a | aがb以下である |
a IS NULL | aが空である |
a IS NOT NULL | aが空でない |
a IN (b, c, d) | aがb、c、dのいずれかである |
a LIKE 'b%' | aの文字列にbが前方一致する |
a LIKE '%b' | aの文字列にbが後方一致する |
a LIKE '%b%' | aの文字列にbを含む |
「id > 10」も「10
またこれらの条件式は、「AND」や「OR」で複数つなげることができます。
このSQL文をPHPで実行するには以下のようにします。基本的にはデータの作成と同じ流れになります。
データを削除する
テーブルのデータを削除するSQL文は、以下のようになります。
PHP側は、データの更新と同じように書くことができます。
データを検索する
テーブルのデータを検索するSQL文は、以下のようになります。
このSQL文の実行結果は以下のようになります。
id | name | category_id | author_id |
---|---|---|---|
2 | 卵焼き | 1 | 1009 |
5 | ほうれん草の胡麻和え | 1 | 1011 |
PHPでSELECT文を実行すると、結果を配列やオブジェクトで取得できます(ライブラリによります)。
ORDER BY句
リレーショナルデータベースのテーブルでは、データの順番に関する情報を持っていません。ですが、何らかのデータ一覧を表示したい場合、順序というのは重要です。掲示板であれば新しい投稿から順に表示したいですし、会員名簿であれば五十音順がいいかもしれません。
ORDER BY句では、取得したデータを並び替えるための条件を指定します。条件はいくつでも指定することができ、先に書いたほうが優先されます。
ORDER BY句 | 第一条件 | 第二条件 |
---|---|---|
id | idの昇順 | なし |
id ASC | idの昇順(ASCは省略可) | なし |
update_date DESC, author_id | update_dateの降順 | author_idの昇順 |
LIMIT句、OFFSET句
データの一覧画面には、ページングの機能がよくありますよね。たとえば「3ページ目:全76件中、21件~30件を表示中」というようなものです。ページングでは、データベースから全データを取得し、そのうち一部分のみを画面に表示しているわけではありません。全データを取得してしまうと、PHPで使用するメモリが膨大になり、処理が重くなってしまうからです。このような場合は、データベースから条件に合うデータのうち一部のみを取得します。その場合に使用するのが、LIMIT句とOFFSET句です。
LIMIT句では、最大で何件のデータを取得するのかを指定します。10件ずつ表示したい場合は、「LIMIT 10」と指定します。
OFFSET句では何番目以降のデータを取得するかを指定します。10件ずつ表示して3ページ目ならば、「OFFSET 20」となるでしょう。OFFSET句を指定しない場合は、「OFFSET 0」と同じ意味になります。
getAll:検索結果をすべて取得する
getAllメソッドを使用すると、SQL文の実行結果をすべて取得できます。取得したいカラムは、SELECTに続けて指定できます。
SELECT対象 | 意味 |
---|---|
id | idを取得します |
id, name | idとnameを取得します |
id, category_id + 1 | idと、category_idに1を足したものを取得します |
* | すべてのカラムを取得します |
id | name | category_id | author_id |
---|---|---|---|
2 | 卵焼き | 1 | 1009 |
5 | ほうれん草の胡麻和え | 1 | 1011 |
getRow:検索結果を1件のみ取得する
データを1件のみ取得する場合、SQL文で「LIMIT 1」と指定してもよいですし、getRowメソッドを使うこともできます。getRowメソッドを使用すれば、「LIMIT 1」以外は共通している既存のSQL文を流用できます。
id | name | category_id | author_id |
---|---|---|---|
2 | 卵焼き | 1 | 1009 |
getOne:検索結果を1カラムのみ取得する
データを1カラムのみ取得する場合、SQL文で対象カラムを指定してもよいですし、getOneメソッドを使うこともできます。getOneメソッドを使用すれば、対象カラム名以外は共通している既存のSQL文を流用できます。
id |
---|
2 |
5 |
データベースライブラリによって細部は異なりますが、同じような機能を提供しているはずです。
おわりに
いかがでしたか。データベースやSQLについては、分厚い本を一冊書けてしまうくらい様々な機能があります。今回紹介したのは、そのうちの「データのエスケープを行う」「実行結果の成否判定を行う」などの基本的なことのみです。また、リレーショナルデータベースの最大の特徴は、複数のテーブルの連結や、統計的な検索などができることですが、ここでは触れていません。ぜひ専門の書籍などで勉強されることをお勧めします。それではまた。