米Databricksが「Spark 2.0」正式版をリリース、仮想化ソフト成長率が鈍化― IDC調査、ほか

2016年7月29日(金)
吉田 行男
分散処理フレームワークの「Apache Spark 2.0」正式版のリリースが、開発元の米国Databricks社から26日に発表されました。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

今週は5月にリリースが噂されていたSpark 2.0が2か月遅れでようやく公開されました。昨年あたりからSparkに対する期待が盛り上がっていることもあり、今後の展開が期待されるところです。

今週もOSSに関する注目すべきトピックをとりあげましたので、ゆっくりとご覧下さい。

「Apache Spark 2.0」正式版がリリース。ANSI SQL標準サポート、10倍以上の高速化など

分散処理フレームワークの「Apache Spark 2.0」正式版のリリースが、開発元の米国Databricks社から26日に発表されました。Spark 2.0で最大の新機能は、新しいSQLパーサーを採用したことによるANSI SQL(SQL 2003)への対応です。ビッグデータのベンチマークの1つであるTPC-DSの99種類のクエリがそのまま実行可能と説明されており、プログラマが慣れ親しんだ一般的なSQL文はすべて実行可能になります。またバージョン1.5から導入された実行エンジンのTungstenをモダンコンパイラとMPP(大規模並列処理)の技術を用いてさらに改善することなどにより、前バージョンと比べて10倍の速度向上を実現したとのことです。

(参照記事:http://www.publickey1.jp/blog/16/apache_spark_20ansi_sql10.html

オープンソースのインメモリNoSQLデータベースとして好評のRedis Labsが、シリーズC $14Mの調達へと成長

インメモリKVSのRedisをオープンソースで提供している米国Redis Labs社が21日、米国Bain Capital Ventures社と米国Carmel Ventures社が率いるシリーズCのラウンドで1,400万ドルを調達したと発表しました。Redis Labsは現在の成長市場であるインメモリデータストアで、その成長に乗じて業績を上げている典型的な企業のひとつです。同社は最近、高価なRAMではなくSSDを利用するRedisデータストアとして「Redis on Flash」をローンチしました。IoTに注目する企業が増え、リアルタイムのデータ分析の高効率化が求められるようになると、Redisのような高速なデータストアへのアクセスがますます重要になります。

(参照記事:http://jp.techcrunch.com/2016/07/22/20160721redis-labs-raises-14m-for-its-in-memory-nosql-database-services/

CephとGlusterの2つのSDSを売り分ける― レッドハットがSDSに新版

レッドハットは22日、同社が提供する2つのSDS(Software Defined Storage)のアップデートを発表しました。8月中旬に提供を開始する予定のCephの新版ではオブジェクトアクセスに利用するAmazon S3互換のウェブAPIの互換性を高め、オブジェクトのバージョン管理や一括削除が可能になりました。またテクニカルプレビュー版として分散ファイルシステム「CephFS」を含めています。Glusterの新版ではDockerコンテナを使ったPaaSクラウド基盤「Red Hat OpenShift Container Platform」と統合し、同環境での動作を保証しました。Cephは、オブジェクト/ブロックアクセスをベースとする多機能ストレージで、OpenStackを中心としたクラウド環境での使用を想定。一方のGlusterはNAS(CIFS/NFS)ストレージで、WindowsからCIFSで直接マウントできることから、非構造化データを扱うWindowsシステムでの使用を想定しています。

(参照記事:http://japan.zdnet.com/article/35086289/

仮想化ソフト成長率が鈍化― OpenStackやDocker周辺がSIの主軸へ:IDC調査

IDC Japanは25日、2015年の国内仮想化ソフトウェア市場規模実績と2020年までの予測を発表しました。国内バーチャルマシン/クラウドシステムソフトウェア(一般的にはハイパーバイザ)市場の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:)は6.0%で、2005年から2014年までの10年間にわたって二桁の前年比成長率を維持していましたが、2015年はそれを達成することができませんでした。IDCは「仮想化ソフトウェア市場の成長が落ち着いてきたということは、ユーザー企業のデータセンターにおいて仮想基盤がしっかり形成されたことの表れでもある」と指摘し、次のステップは仮想基盤にコントロール機能を付加したクラウドネイティブシステムへの拡張としています。ソリューションベンダーは「OpenStackやDockerなどのクラウドシステムソフトウェアを活用したソリューションを主軸にすべき時期に来ている」と説明しています。

(参照記事:http://japan.zdnet.com/article/35086382/

Firefox、特定のFlashコンテンツを遮断へ 脱Flashを加速

米国Mozilla財団は20日、Webブラウザの「Firefox」で8月からユーザーには見えない特定のFlashコンテンツをブロックすると発表しました。Flashを巡っては脆弱性を突く攻撃が絶えないことから、主要ブラウザで脱Flashの動きが加速しています。Mozillaによると「Firefoxではここ数年間に、かつてはプラグインでしか実現できなかった音声や動画の再生とストリーミング、クリップボード、高速2Dおよび3Dグラフィックス、WebSocketネットワーキング、マイクやカメラの利用といった機能をWeb APIの実装によって実現してきました。8月からブロックするのは「ユーザーエクスペリエンスにとって必須ではない特定のFlashコンテンツ」で、これによりセキュリティの強化やバッテリー持続時間の向上、ページ読み込みの高速化、ブラウザ反応性の改善を目指す」としています。

(参照記事:http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1607/21/news062.html

編集後記

いよいよ、来週の8/5から「リオデジャネイロオリンピック2016」が始まります。地球の裏側での開催ということでTV中継は深夜が中心となり「寝不足になるのではないか」と今から心配しています。
また、8/7からは全国高校野球選手権大会も始まり、本格的な暑い夏を実感することになると思います。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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