これからのビジュアル表現手法

2008年7月26日(土)
川村 有

マルチスクリーンとは?

 プロジェクターやプラズマTVの性能が上がり、値段も安くなったことも影響して、最近ではたくさんのプロジェクターやTVモニターを使った演出も増えてきています。

 例えば、6つのプロジェクターを横一面につなげて、見たこともないような横長の映像を出したり、4×4に積み上げた16個のTVモニターを自由に制御したり、今までは大きな企業イベント(例えば幕張メッセや横浜で開かれるようなショー)やビッグアーティストのコンサートでしか見ることのなかった演出を、比較的小さなイベントでも行うことができるようになってきました。

 マルチスクリーンは通常の4:3の画面比率とは違うため、それだけで珍しく、ほかでは見たことのない演出を行うことができます。また、視覚に収まりきらないほどの横長のスクリーンを作ったり、360度すべてを映像で囲ってしまえば、それだけで大迫力の映像演出を行うことも可能です。

 複数のプロジェクターやTVの画面を自由自在に切り替えるにはマトリックススイッチャーという機材を使います。この機材自体は古くからある機材なので、価格帯や機能もピンキリで存在しています。例えば、中古の「8入力/8出力」程度であれば、わずか数万円で手に入れることも可能です。

世界でもっとも手軽なマルチスクリーンシステム

 今までマルチスクリーン設備は、あまり一般的ではなかったため値段も高く、しかもそのほとんどが専用の送出システムを必要とします。そのため、システムに融通が利かず、当然普段使い慣れているVJソフトを組み込むことは不可能なのが業界の常識でした。

 しかし、最近発売されたTripleHead2Go(http://www.matrox.com/graphics/en/products/gxm/th2go/)(Matrox社)とVJソフトのmodule 8(http://www.garagecube.com/)を組み合わせて使えば、比較的手軽に手持ちの機材を使って3面スクリーンを実現することが可能になります。

 本当は教えたくないのですが、Think IT読者だけに手軽にマルチスクリーンシステムを組み上げる方法を紹介します。

 このTripleHead2Goはお使いのパソコンに、「ものすごい横長のセカンドディスプレー(3840×1024)が付いている」と認識させ、出力された映像を3つに分割するという、少し力業な機材です。そのためかビデオボードは、それなりに高性能なものが必要で、もし購入を検討している方は動作環境をチェックしてみることをおすすめします。

 ちなみに筆者は、MacBook Proの2.16 GHzで使っていますが、今のところ問題なく動作しています。この超横長の映像を、それぞれ3つのプロジェクターにつなげれば、大迫力の映像演出を行うことができます。

 大きな画面というのはそれだけで迫力があり、特にマルチスクリーンの威力はすさまじく、視界に収まりきらないほどの映像は見る者を圧倒させることができます。一度使ってみると、もう元には戻ることができないほどで、ちょうどハイビジョンの映像を始めて見た時の感覚と似ているかもしれません。

VJチーム M.M.M(エムエムエム)主幹。1999年結成。世界屈指のMIXテクニックを誇り、世界各地のイベントVJを担当。国内最大級のテクノミュージックフェスティバル「METAMORPHOSE」や「WIRE\'07」に出演。また、日本最大のVJサイト「GLOBAL AUDIO VISUAL JAPAN(http://www.audiovisual.jp/)」の運営やVJ ソフトウエアmotion dive.tokyo(http://www.digitalstage.jp/mdt/index.php)の開発など、その活動の幅を無限に広げている。VJ M.M.M:http://www.htmmm.com

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