これからのビジュアル表現手法
マルチタッチデバイスとは?
Apple社のiPod touchやiPhoneに、マルチタッチディスプレーが採用されたことから業界的に注目を集めていますが、VJ業界でもマルチタッチへの注目が集まりつつあります。
今まで、マルチタッチに近いデバイスと言えば、KAOSS PAD(http://www.korg.co.jp/Product/Discontinued/KPE1/)(KORG社)のXYタッチパッドやCG-8(http://www.roland.co.jp/video/visual_syn/CG-8.html)(Roland)のDビームなどがありました。しかし、どれも多点認識ではなく単点のみの認識なので、同時に2つのことを制御することは不可能でした。より直感的な操作するために多点認識(マルチタッチ)は必須の技術となります。
JazzMutant社の「Lemur」(http://www.jazzmutant.com/)という機材を使うと、自由自在にマルチタッチに対応したコントローラーを自作することができます。
このLemurには専用のカスタマイズソフトが付属しており、手軽な操作で自分専用のインターフェースを組み立てることができるようになっています。つまり、自分のプレイスタイルや機材構成に合わせて、フェーダーやツマミの数を増やしたり、位置を変えたりしてオリジナルのコントローラーを作れるということです。
コントローラー自体は自照式なので暗闇でも操作でき、MIDI信号で通信できるため、VJソフトのmodule 8(http://www.garagecube.com/)やArKaos(http://www.pianiq.com/products/arkaos/)と組み合わせることも可能です。
詳しい情報はオフィシャルホームページのビデオギャラリー(http://www.jazzmutant.com/lemur_gallery_videos.php)をご覧ください。
インタラクティブ(双方向性)とは?
Adobe Flash(http://www.adobe.com/jp/products/flash/)やprocessing(http://processing.jp/)で作られた滑らかな3Dコンテンツやカメラ認識を取り入れたインタラクティブな作品にも注目が集まっています。
従来のVJ演出は、映像を見せるといった点ではアーティストからの一方通行的な側面がありました。しかし映像ソースをプログラムで生成することで、まるでTVゲームのようにユーザーが映像を操作することが可能になります。
自分自身が映像世界の中に入り込めることはそれだけで面白く、人によっては3時間!?ほど作品の前に居続ける人もいるほどです。主に野外で開催されるような大きなフェスティバルやメディアアートを展示している文化施設でこのようなインタラクティブ作品に触れることができます。
インタラクティブ作品に触れることができるイベントや文化施設を3つ紹介します。
1つ目は、2008年8月23日に開催されるMETAMORPHOSE(http://www.metamo.info/)(メタモルフォーゼ)という、日本最大のオールナイト野外ミュージックフェスティバルイベントです。
2つ目は、2008年8月16日に開催されるSOUL MATE ミュージックフェスティバル’08(http://www.soulmatefes.com/)という、筆者が出展する新宿の国立競技場で行われる野外音楽フェスティバルです。
3つ目は、東京オペラシティタワー4Fにある未来型文化施設、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で2008年4月19日~2009年3月8日までの期間で開催されている、オープンスペース 2008(http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2008/Openspace2008/index_j.html)です。入場は無料になっております。
夏休みなどを利用してインタラクティブ作品に触れてみてはいかがでしょうか。
筆者自身もVJ活動と共にRe:vise(http://www.re-vise.com/)(リバイズ)というチームでインタラクティブ作品を発表しています。カメラを使い、ユーザーを映像の中に取り込むことで、映像に変化を与えたり、ユーザー自体を加工したりすることで疑似体験をしてもらうことが目的で、VJとはまた違った作品アプローチをすることができます。
この分野はマルチタッチデバイスと共にこれからますます注目が高まるでしょう。
いかがでしたか?全4回の連載を通してVJの世界をご紹介しました。今回紹介したものはVJの世界のほんの一部にしかすぎません。VJはクラブの大爆音の中、自分で目で見て体感するのが一番です。アンダーグラウンドな場所でもありますが、決して危険な場所ではないので、ぜひ今週末はお友達を誘ってクラブイベントに足を運んでみてください。それではまたどこかの機会で。