ストレスが引き起こす病気と症状

2008年7月25日(金)
三上 京子

大切なのは日ごろからのセルフケア

 「何か調子が悪いな」「いつもと違うな」と思っても放置していることはありませんか?また、「自分は大丈夫だと思う」「今まで元気だったからたぶんこれからも大丈夫だろう」という根拠のない自信はありませんか?

 私たちは人間です。ストレスや疲労がたまれば体調を崩すこともあります。にもかかわらず、「自分に限ってそんなはずない」と思っている人が実は多いのです。そして、そんなふうに考える人の中には、仕事や趣味、ファッションのことなど多くのことには関心があっても、自分自身のこと、特に心身の状態にはあまり関心を持っていなかったり、よく理解していない人が案外多いようです。

 そのような人の場合、いつもと違う状態やサインに気付くことができなかったり、気付くのが遅れたりするようです。また、病気になった時に自分の病気や症状に向き合うことができない人は、治療のすべてを医師任せにして、自らの生活態度やストレス対処などは棚に上げてしまうケースが多いのです。

 自分を知り、自分の状態に向け合わなければ、治療に時間がかかったり、ある程度体調がよくなっても後に再発してしまうことがあります。

 こころとからだの健康管理の基本は、「自分自身に興味を持つこと」から始まります。
「第1回:上手にストレスとつきあう秘訣(http://www.thinkit.co.jp/article/108/1/)」の中で紹介した「こころのサイン」「身体のサイン」「行動のサイン」に気が付くように普段から自分を知り、サインを見逃さないように心がけましょう。そして少しでも身体やこころの不調を感じた時は、ゆっくりして、自分自身をいたわってあげましょう。

 図3に簡単にできるセルフケアを紹介しています。体がリラックス状態にあると、呼吸は緩やかになり、心拍数も減少します。自律神経は副交感神経が優位になり、血圧降下作用が働き、脳波はα波を出すようになります。また、体がリラックス状態にあるということは、ストレス解消や疲労回復だけでなく、免疫機能を高め、自然治癒能力がアップするとも言われています。

病気の正しい知識を持ちましょう

 最近は病気に関するテレビ番組や雑誌の特集などが増え、多くの人が病気のサインに早く気付くことができるようになってきました。しかし、自分で医学情報の収集を行い、素人判断で「自分は○○の病気に違いない」という自己判断で行動したり悩んだりする人がいますが、これは要注意です。

 インターネットや医学書の知識だけでは病気の診断はできません。必ず医師など、専門家の意見を聞き、一緒に相談しながら自分に合った治療法を選択していきましょう。特にこころの病気は「こころの病気の専門家」でなければ診断が難しいものです。

 サインに気付いた時には、しっかり休養を取り、ちゅうちょすることなく専門家を受診し、正しい診断を得るとともに、治療が必要である場合には、いち早く治療にとりかかりましょう。いかなる病気も早期発見、早期治療の原則があてはまります。

 ストレスによる体調不良は誰にでも起こりうるものです。決して自分には関係ないと思わず、普段から自分のサインを見逃さないよう心がけていきましょう。

株式会社メンタルヘルス・リサーチ&コンサルティング
保健師・産業カウンセラー。自動車メーカーを皮切りに、大型小売業、コンサルタント会社IT企業などで産業保健スタッフとして勤務。そこで多くのビジネスマンのメンタルヘルスの対応や健康管理業務に携わる。2007年より現職。経験を生かし、幅広い業務を担当する。http://www.mhrc.co.jp/

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