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従業員を愛せば生産性は上がる(1)

2017年8月31日(木)
ReadWrite Japan

メモの用意はいいだろうか?わたしたちは未来に生きているわけだが、第4次産業革命(あるいはIndustry 4.0)の真っ只中であるにもかかわらず、過去の産業革命で見られたような生産性の向上をまだ目にしていない。

生産性の向上に対する病的なこだわりや、2007年第4四半期から始まった現在のビジネスサイクルで見られる数え切れないほどの技術的イノベーションがあったにもかかわらず、従業員の生産性の伸びは歴史的な鈍化を見せている。休暇日数は減っており、就業時間の増加はこれまでの長期的な傾向を上回る動きを見せている。

DeloitteのHR(Human Resources)理論リーダーのJeff Schwartz氏によると、技術がかつてないスピードで進歩し人間がすばやく順応する一方で、ビジネス生産性はムーアの法則に左右されていないのだという。

ではビジネス生産性と技術の進歩のギャップを埋めるために組織は何をしたらいいのだろう?答えは、 従業員と順応することだ。

技術の急速な変化や数を増やしつつあるミレニアル世代、ジェネレーションZの期待にリーダーや組織が応える手助けをする上でHRはユニークな役割を担っていると、Schwartz氏やDeloitteヒューマンキャピタルの同僚は確信している。先日、デロイトのInnovation Tech TerminalはZipRecruiter、WeFindと協力し、3回目となる人事部テクノロジーコミュニティミーティングをテルルアビブで開催し、人材テクノロジーのスタートアップ企業や投資家、企業が参加した。そこで話し合われたこととは、1) 将来の仕事とは、2)組織が直面する最大の課題、3)デジタル時代に向けて生まれ変わるために何ができるのか、である。

柔軟性を持つ

ミーティングで世界最大のフリーランス市場であるFiverrのCOO Vered Raviv-Schwarzは、組織がトップレベルの人材を求めるうえで、世界的に起こっている大きな変遷について語った。「米国の労働力の40%はフリーランスです。あなた達が挑戦しなければならない相手は競合他社だけでなく、自身のやり方自体でもあるのです」去年の後半に行われたアンケート「米国のフリーランス事情2016年」の結果も上のコメントを裏付けている。フリーランサーの63%が仕事を選んでおり、50%は給金を積まれても従来の働き方に戻らないと言っている。フリーランサーの多くが正規雇用の時より多く稼いでいるのがその理由だ。

Vered氏は次のように言う。「会社に求められているのは生活保障だけでなく柔軟性です。社員にあたかも自身が起業家である」かのように思わせることが求められています。世界的に有名なAmazonGoogleの例に習い、リスクをとることに寛容で、実験的な組織はその数を増やしている。ほかにも400名以上を抱えるWordPressやBufferなどはオフィスを構えず、全員リモートでの就業に移行しており、従業員はある意味まさに自宅にいるような労働環境を提示している。

ギグエコノミーに抗うのではなく、企業はむしろそれを受け入れることもできる。フリーランサーを雇うということは企業にとってプロジェクトの規模に応じた流動的な労働力の確保、高度な専門性を有する人材に幅広くアクセスできるなど、数多くの利点がある。定型業務や社内序列といったものは、会社がプロジェクトベースのチームネットワークに移行することで自然と無くなるだろう。非正規雇用社員は将来、企業の調整可能な労力を表すものになるのかもしれない。

従業員を愛せよ

第一次デジタル世代の目的意識を得るためには、就業規則に柔軟性を持たせる以上のことが必要だ。企業はより社員中心に、顧客に気遣うのと同じくらい社員への気遣いが求められる。Schwartz氏が言うには、このことは社員に対して会社の社風や魅力についてだけを提示するのではなく、雇用から退職に至るまでのビジョンを見せる必要に迫られるとのことだ。

それには社員の実績の評価基準の見直しも含まれる。年に一度個人の達成度を振り返ると言ったやり方は過去のものだ。常にフィードバックのループを回し、個人のチームに対する貢献に対する見返りを与え、そのチームが企業に対する貢献を評価するのだ。

Hibobの創業者でCEOのRonni Zehaviは、社員の経験に焦点を置いたプラットフォームが中小企業の人事部、社員にとって利益を及ぼすという。人事部向けのプラットフォームの多くはB2B主体であり、社員の観点が抜けている。月の支出の8割を人材に割く企業によると、「彼らは企業の成長のための最大の資産と資源です。その最大の出費と資源を管理するためには技術が必要です。SalesforceなどのようなCRMにお金を出して営業やマーケティングの管理を行いながらも、人材のことは何も対策をしないというのは全く意味がないことです。」

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MATAN BORDO
[原文4]

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