【写真で見る】Money 20/20会場に見るITとFinanceの融合
ITとファイナンスのカンファレンス、Money 20/20の連載、最終回は出展各社のブースを紹介しよう。Money 20/20が特徴的なのは、ユーザー企業である銀行や証券会社などもブースを構えていることだろう。さしずめOpenStack SummitにKDDIや楽天などがブースを出す、モーターショーにレンタカー会社がブースを出す、そんな感じかもしれない。
またもうひとつの特徴が、中国系のベンダーの多さだろう。特に中国との越境ECや送金サービスなど、中国の規制の多さを逆手に取ったサービスを展開する企業が出展しているのだ。最近流行りの人工知能、機械学習などについても、各社が力を入れているトピックだ。
銀行や証券会社のブースはサロン的な造りがメインで参加者がくつろげること、そして対話が弾むことを目的としているように見える。
HSBCはブースの真ん中にカフェカウンターを設置して、カフェラテやエスプレッソなどを提供していた。
JPMorgan Chaseも対話のためのスペースがメイン。要はMoney 20/20に来場する顧客をもてなすのが目的だろう。
MasterCardのブースはもっとあからさまに、上客は2階の特別なスペースで打ち合わせができるように設計されている。
NCRなどの老舗ITベンダーも出展していた。NCRは元の名前が「National Cash Register」であることを考えると、金融のイベントに出るには相応しいかもしれない。
またアメリカでは「知らないビジネスマンはいない」と言い切れるIntuitもブースを出展していた。
IntuitはQuickBooks、TourboTax、Quickenという会計ソフトなどで有名だが、今回のMoney 20/20 2017においてはTurboTaxという税申告のためのソフトウェアと、2009年に買収した資産管理のMintを統合したTurboというサービスを発表した。これは個人の税申告だけではなく、支出の管理から資産管理全般に手を出そうという意志の表れだろう。
ここではある個人が自動車を買おうとする際に、いくらまで借りられるか? を予想するTurboの機能を紹介するスライドが映し出されていた。
サムスンも大きなブースを構えていた。中で紹介されていたのは、GalaxyとGalaxyに搭載されたBixbyだ。もちろん2階の特別スペースもあり、接待に使われていたと思われる。
ペイメントに特化したサービスを展開しているベンダーもブースを出展していた。彼らのここでの目的は、パートナーのリクルートだと思われる。
また変わったところでは、イスラエルのベンチャーが揃って出展していた。ひとつひとつの会社は小さいが、セキュリティに強いイスラエルの特徴がハマれば、大化けする可能性もある。
また機械学習では、金融業界に特化したベンダーとして昨年も出展していたFeedzaiが大きめのブースで存在感をアピールしていた。
小さなブースでは日本でもおなじみのTwillio、Boxなどが見受けられた。さらに、最近注目が集まっている機械学習を自動化するベンチャーであるDataRobotもブースを構えていた。
電子決済のPayPalは、自社ブースというよりも会議スペースとして参加者同士が打ち合わせを行えるBraindateというスペースを提供していた。これは「ブラインドデート(Blind date)」のもじりで、参加者の得意な領域と知りたい内容を、アプリケーションを通じて書き込むことでマッチメイクを行い、時間を合わせて打ち合わせができると言うサービスだ。ここで入力されたデータは、PayPalにとっても大いに意味のあるデータであろう。
もちろんPayPalのサービスを知らない業界人はいないわけで、ここではサービスの情報提供を行うよりもスポンサー費を支払ってでもこのカンファレンスに参加する個人の情報を得られるとすれば、やる意味はあったように思える。
Braindate at the PayPal Lounge
こんなところでも、対話するというアクションが重要視されているのがわかる。
新製品や新機能の紹介、リアルタイムのデモが重要視されるIT系のイベントとは異なり、対話することが基本で、その中で何かを持ち帰ってもらおうという意図が十二分に伝わるイベントであった。初対面の人とはなかなか打ち解けられない日本人には、かなり難易度の高いイベントであることは間違いない。だが、中国からの参加者も多数見受けられたし、出展している中国系ベンダーの元気の良さは、日本の金融及びIT業界人も見習うべきだろう。
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