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システムとユーザビリティ

2008年9月30日(火)
三宅 涼

入力値のゆらぎをシステム側で吸収する

 エラーの適切な通知は大切なことですが、根本的に入力エラーというのはユーザーにとって愉快なものではありません。であれば、よりエラーになりにくいフォームができればユーザビリティの向上につながると考えられます。

 この課題に対するシステム的なアプローチとしては、「ユーザーの入力値のゆらぎをシステム側で補正する」というものがあります。次の例は、システム側で自動変換することで吸収可能なゆらぎです。

・全角文字と半角文字
・ひらがなとカタカナ
・アルファベットの大文字・小文字

 多くの場合、ユーザーにとって「ふりがなのひらがな・カタカナ」や「電話番号の全角・半角」は意味をなしません。ユーザーが「(読めるんだから)どちらでもいいだろう」と思ったとしても、それは自然なことです。

 たとえ「カタカナで入力」「半角で入力」などの注意書きがあったとしても、ユーザーの関心が低ければ、それとは違うフォーマットで入力される可能性も高いはずです。

 それに、こうしたゆらぎをシステム側で吸収することは決して難しくありません。であれば、こうした「サービスを提供する側の都合」による制限は行わず、ユーザーの入力は柔軟に受け付け、システム側で管理したい形式に変換した方が親切ではないでしょうか。

 ただし、このようにシステムによる入力値の補正を行う場合でも、基準となる(=変換後の)フォーマットは明示しておくことが望ましいです(図2)。そうすれば、ユーザーはシステムがどの文字種を受け付けるのかで頭を悩ますこともありません。また、別の文字種で入力したものが自動変換された場合でも「指定の文字種に自動変換されたのだ」と理解しやすくなることがある程度期待できます。

 注意点としては、こうした処理は「ユーザーの入力内容の改変」にもつながるため、どんな場面でも使えるわけではありません。導入に際しては単純に「便利だから」というだけではなく、ビジネス要件を踏まえて検討する必要があります。

 また、ユーザーにより慎重を期した入力を促したい場合にも、あえて受け付ける範囲を制限して、間違いが起こらないようにするということもあるでしょう。

 特に確認画面を挟まないような画面フローの場合、ユーザーはシステムによって補正された値を確認する機会がありません。このような場合はより慎重さが求められるでしょう。submit時ではなくリアルタイムに入力値に補正をかけるアプローチも検討する価値があるかも知れません。

 このほか、システム側での効果的な処理としては「前後の空白を自動で削除する」などが挙げられます。メールアドレスなどを別のところからコピー&ペーストした時に、末尾に空白が入ることがあります。入力値の先頭や末尾のスペースを自動で削除することで、こういったケースに対応できます。この機能はサーバサイドではなく、JavaScriptで実装してもいいかも知れません。

入力をサポートするサブシステム

 このほかにも、システムによってより積極的にユーザーを支援することもできます。最も代表的なものは、郵便番号からの住所の自動入力でしょう。

 「ricollab 郵便番号検索(http://zip.ricollab.jp/)」のような公開APIもあれば、「AjaxZip 2.0 - Ajax郵便番号→住所自動入力フォーム(CGI不要版)(http://www.kawa.net/works/ajax/ajaxzip2/ajaxzip2.html#download)」のように自分でサーバに設置して使うタイプのものもあります。

 これらは、日本郵便が提供する「郵便番号データダウンロード(http://www.post.japanpost.jp/zipcode/download.html)」を元に作成されており、このデータを活用することでさまざまな入力支援が可能となります。既存のAPIや配布スクリプトだけでなく、このデータを元に独自のシステムを構築するのも面白いでしょう。

 フォームの入力を支援するシステムではありませんが、「高速郵便番号検索(http://post.clonedoppelganger.net/)」のような住所検索を活用したWebサービスも、住所入力の方法を考える上で参考になるかと思います。

1978年生まれ、京都出身。ウノウ株式会社などを経て、現在はフリーランスとして活動中。「選択も集中もせず」を信条に、サーバ構築・アプリ開発からデザインまで一人で日々奮闘中。ブログ:Lism.in * blog(http://d.hatena.ne.jp/studio-m/

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