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医療で言語サービスが必要とされる3つの理由

2017年12月27日(水)
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これまでに何度も、英語が喋れない人や聾唖の患者が健康に生活し医療を受けられるよう、法規制がなされてきた。こうした規制は病院が患者の生まれや文化に関係なく、あらゆる層の患者に同じレベルの医療を提供することを促してきた。病院にとってこうしたことを保証するための手段の1つが言語サービスの提供だ。

言語サービスが提供されることにより、英語ができない患者の満足度は向上し、コミュニケーションや経過の向上が見られた。彼らの健康に関する情報が明瞭に提供されることにより、そのケアプランに対してより前向きに取り組んでもらえ結果、より短い入院期間が短くなり再診率の低減に繋がる。

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言葉の壁を無くすことで患者の居心地は大きく改善する

患者の居心地は満足度や結果と直接関係しており、病院が一番気にすることであるのも無理はない。また満足している患者ほど病院と良い関係性を築く傾向があり、居心地の良さはしっかりとしたヘルスケアに関する情報、プラン、手続きの上に成り立つものである。このことから、英語が喋れない人や聾唖者にも情報を適切に伝えることができる医療に通じた通訳介助が提供されるべきである。必要な時にこうした助けが提供されることを保証するため、病院は受け入れ段階で患者が何語で喋るかを把握し、対応できる言語をよく見えるところに表示しておくことだ。

意思疎通を明瞭にすることで不要な手続きや検査を無くす

言葉の壁は患者にとって危険な影響を及ぼすこともある。通訳なしの場合、医者が誤診をすることもあり得る。資格のある通訳の介助を通すことでコミュニケーションの行き違いや、不要な手続きや検査を行うリスクを減らすことができる。

受け入れ時に適切なコミュニケーション手段が提供されなかった患者は、必要以上の長期入院になる場合や30日以内の再診の割合が高いということが分かっている。マサチューセッツ工科大の研究によると、医療に通じた通訳を使うことで、コミュニケーションに難のある患者の滞在期間はほぼ一日で済むことが分かっている。こういった患者の滞在期間が短くなる事で医療コストは大幅に削減される。

確かなコミュニケーションが治療結果に繋がる

病院は患者に対して行われる治療や検査、手続き、それに伴うリスクや効果などあらゆる情報を開示しなければならない。加えて患者はその情報を理解し、病院側の説明だけでは無く自分自身で判断できることが必要である。それができるかどうかは言葉の壁や聞きこぼし、身体障害に大きく左右される。

国立衛生研究所の近年の研究によると、通訳サービスや書類の翻訳サービスを利用できているのは45%に過ぎないという。医療現場で言語サービスが利用されていないことを表す数字だ。インフォームドコンセプトが本当に徹底されるために、医療機関は言語サービスを提供する前にどういった言語のニーズがあるのかを評価する義務がある。多くの施設で提供されているドキュメントは英語で病院の通訳によって需要の高い言語に翻訳されている。また患者の言語で理解してもらうため、通訳が口頭でのサマリーを行うこともある。言語サービスの助けがなければ病院は患者への説明に妥協が生まれ、結果患者はより高いリスクにさらされることになる。

こういった行き違いは質の高い通訳を用いることで回避できるものだ。医療に通じた通訳であれば、文化的背景が医者と患者との関係に悪影響を及ぼすことが起きた時も早急に気づき、シームレスなコミュニケーションと十分な医療効果を成立させられる。

技術の裏にあるもの

さまざまな言語で優秀な通訳に需要は高まっているが、テクノロジーはこの需給バランスの差を埋めるのにますます役立つようになっている。医療で提供される言語サービスには三つの形態がある。現場でのオンサイト通訳、ビデオ通話での通訳、そして電話越しでの通訳だ。どれも技術の進歩に大きく影響されている。ビデオ通話での通訳はオンサイトと電話越しの利点を組み合わせたものだ。ボタン一つで通訳者の顔を見つつ話ができる。電話越しの通訳は電話やヘッドセット、携帯などがあればどこからでもサービス可能だ。どちらもオンサイト通訳と異なり手配や移動の手間が省ける。オンサイト通訳についてもアプリを使って周辺地域にいる優秀な通訳に発注を飛ばすことができ、手続きを簡略に、より効率よく利用できるようになっている。

英語を喋れない人口が増加している中、言語サービス業界においてテクノロジーは重要なものではないことが明らかになってきている。しかし通訳のためのリソースが限られている場合、テクノロジーは非英語圏の患者に、より幅広い適切な医療サービスを提供するのに役立つだろう。

著者の経歴: David氏はStratus Video社の言語サービス部門で戦略を統括しており、ヘルスケア情報のテクノロジーやサービス企業に26年以上携わってきた。Stratus Videoに入社する前はヘルスケア業界に特化した収益サイクルマネジメントのためのソフトウェアを扱うMDeverywhereを設立、代表も務めていた。

DAVID FETTEROLF
[原文4]

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