フリーランスとしてオランダに移住した理由とその実際
はじめに
私がフリーランスとしてオランダに海外移住して1年。良かったこと、大変だったこと……移住前はまったく想像していなかったことがたくさん起こりました。
今回は、「そもそもなぜ海外移住をしようと思ったの?」「なぜオランダを選んだの?」と聞かれることが多いので、オランダに移住をした理由や、実際に1年住んでみて移住はどうだったのかについて紹介します。
海外移住を考えた理由
まず、私が海外移住を考え始めた理由について説明します。
もともと私は大学2年生まで一度も海外旅行をしたことがありませんでした。学生の頃に学校のプログラムで交換留学や海外研修もありましたが、全く興味がなく参加せず。英会話の授業も真面目に受けていませんでした。
そんな私が初めて海外旅行に行ったのが大学2年生のときです。居酒屋さんなどに「ピースボートで世界一周」というポスターが貼ってあるのを見かけたことはありませんか? そのクルーズに参加して、3ヶ月で20カ国をまわる旅に出かけました。
そして、この旅行がきかっけで他の国に興味を持つようになりました。中高の6年間、校則の厳しい私立の女子校にいたので、海外に出て(しかも船旅!)開放的な気持ちになり、頭のネジが飛んでしまったのかもしれません。そして帰国後にアメリカへ留学している先輩の話を聞いて「いつか海外に住みたい」と強く思うようになったのです。
しかし、特に留学してまで学びたいことがあるわけでもなく、就職先も海外転勤のない会社でした。社会人になってから英語が公用語の楽天に転職したものの転勤のない部署だったため、なかなか海外との繋がりができないまま、フリーランスとして独立しました。
転機は、あるWebメディアから流れてきたオランダ移住に関する記事。「オランダは日本人がビザを取りやすく、住みやすい」と書かれていました。そこで、2016年にオランダへ下見を兼ねて旅行に行くことにしたのです。
こうして軽い理由……特に深い理由もなく、好奇心から海外移住を決めました。「日本以外の国の人たちはどんな価値観を持っていて、どんな仕事やプライベートの時間を過ごしているんだろう。フリーランスになるための手続きも日本と全く違いそう」。こんな興味を持っていました。フリーランスは周りにたくさんいましたが、海外に住んだフリーランスの知り合いはおらず、私からすると未知の世界だったことも大きいです。
海外移住のねらい
ねらいというほど戦略は立てていませんでしたが、「日本語が通じない海外移住は大変そう。ちょっとのことではへこたれない力がつきそう」とぼんやり考えていました。
英語は継続的に勉強するようにしていましたが、なかなか日常で英語を使う機会がないのが悩みでした。「社会人になってから一番英語力が伸びたのはいつだろう?」と振り返ってみて、楽天への転職を思い出しました。「あと20点スコアを上げないと入社できない」と言われ、1週間弱でスコアを過去最高の100点アップ。「自分は追い詰められないと本気で勉強しない」と悟りました。
日本語が通じない環境に来てしまえば、嫌でも英語を話すだろうと思ったのも海外移住を考えた理由のひとつです。
また、海外でフリーランスとして働けたら、自信とスキル、経験がつくと思ったことも大きいです。2年ほど日本でフリーランスとして働いてみて、ある程度会社に依存せずに働ける自信がつきましたが、このままずっと同じ仕事をしていても成長が鈍い気がしていました。いっそのこと海外に出てフリーランスとして働けたら、不確実な状況を打破する力がつき、自信とスキルがアップするのではと考えたのです。
私には「将来会社を持ちたい」「自分のプロダクトやサービスを持ちたい」という夢があります。海外で未知のものを見たり経験したりすることで、将来の起業アイデアも生まれるのではと思っていました。
オランダを移住先として選んだ理由
日本人フリーランスが移住をしている国として、ヨーロッパではオランダの他にドイツも有名です。また、アジアではバリ島などに移住をしている方もいます。
これまでに挙げた以外にも、私が移住先の候補が多くある中でオランダを選んだ理由はいくつかあります。
英語が通じる
オランダ人はオランダ人同士でも英語で話していることがあります。小さい頃からテレビで英語が流れていたらしく、国民のほとんどが英語を話している印象です。
また、住民登録をした際に配られたブックレットには、アムステルダムには180の人種がいると書かれていました。移民を寛容に受け入れていることもあり、みんな英語に慣れているのかもしれません。
日本人がビザを取得しやすい
日本人とアメリカ人は、オランダと特別な条約を結んでおり、ビザを取りやすいと言われています。
実際、商工会議所にビジネス登録に行った際、特にビジネスプランにはツッコミが入らなかった上に、質問は「へー、日本人なんだ。あ、コーヒーに砂糖いる?」のみでした……。私は現地の移民弁護士さんに依頼をして商工会議所や移民局へのアポイントを取り、面接練習をしていたので、「日本人に甘すぎる!」と拍子抜けしたほどです。
コワーキングスペースで出会ったアメリカ人女性も「アメリカ人と日本人は、ビザ取りやすいよね!」と言っていました。
400年の友好国
学生時代は歴史が好きだったので、日本とオランダが貿易を行っていたことも知っていました。400年も友好関係が続いており、過去に結んだ条約がいまも生きているなんて面白いと、この点でも興味がわきました。また、オランダは貿易の国と知っていたので、色々な国の人がいて多様性がありそうというのも興味を持った理由の一つです。
剣道の道場がある!
実際に移住する場合は、剣道ができるかどうかも重要でした。日本にいるときも週3~4回稽古をしていたため、稽古環境がないと運動不足で調子が狂いそうだと思っていたからです。実際に下見にいった際に稽古もしたのですが、施設もしっかりしていて稽古環境はとても良いと感じました。
運動が盛ん
オランダ人は健康志向が強いのか、よく走っています。また国民1人あたり自転車保有台数が多く、みんな自転車に乗っており健康的です。私も運動が好きなのでこの国の雰囲気は合うように感じましたし、実際住んでみて「やっぱり合う!」と感じました。
街並みが綺麗
オランダは街並みが綺麗です。アムステルダムには昔ながらの建物があり、素敵なコワーキングスペースもあります。歴史的な建造物を使用しているので外観も内装も趣があり、使い心地も良いです。
アムステルダムの中心街から少し離れると自然もあります。私はアムステルダム・ノードとアムステルフェーンに住んでいましたが、どちらも自然が豊かで住みやすい街でした。
1年住んでみて、実際に移住はどうだったのか
オランダに1年住んでみて、実際に移住はどうだったかのかと言うと、移住してすぐに40度の高熱を出したり、なかなか友達と打ち解けられなかったりと、大変なこともたくさんありました。良いことも悪いことも含めて、1年住んでみた感想をまとめます。
事業を2つ持つことになった
これは想像もしない出来事でした。私はもともとライター業やオンラインマーケティング、特技の剣道を活かした剣道用品の販売を事業内容として商工会議所に登録していました。
しかし、2017年の秋、剣道友達に「剣道の専門誌の記事を翻訳できないかな」と持ちかけられ、雑誌「剣道時代」の英語版メディアを立ち上げることになったのです。友人と二人で事業を行うため、自分が持つ事業とは別の事業として登録することになりました。
英語は上達したのか?
英語には慣れていましたが、残念ながら上達したとは言えません。日本とのリモートワークが中心のため、日常会話でしか英語を使う機会がないためです。ビジネスレベルにはまだまだ遠い……。
ビザも取得し、仕事も落ち着いてきたので、2018年は英語の勉強時間を確保することが目標です。
キャリアアップにはなったのか?
新しい仕事はいくつか始めましたが、胸を張って「キャリアアップした」「新しいスキルを身に着けた」とは言い難い状況です。英語の勉強と同じで、目の前の仕事をこなすことや生活に慣れることに精いっぱいだった1年かもしれません。
ライターとしては新しい仕事も始めたので、今育てているスキルをさらに伸ばしていけたらと考えています。
ライフスタイルはどうか?
オランダではなかなか友達ができず、剣道という趣味があるものの、馴染むまでに1年かかりました。最近は、オランダの剣道友達と一緒に他のヨーロッパの国に出稽古に行ったり、試合でチームを組んだり、ようやく輪の中に入れたかなと感じます。
また、偶然にも中高の同級生がフリーランスとしてオランダに住んでいたり、前職の同僚が転勤でアムステルダムに来ていたりと、日本人の友達とも会うようになりました。
アムステルダムは街並が美しく、少し郊外に出れば自然もとても綺麗です。大変なことも多々ありますが、総じて気持ち良く毎日を過ごせています。
これからのこと
オランダに来た当初は大変でしたが、少しずつ生活と仕事の基盤が出来上がってきました。これから一年かけて、まずはライターとしてたくさんの記事を書いていこうと思います。オランダに関することだけではなく、自分が見聞きしたことや新しい価値観、取り入れたら日々の暮らしや心がパッと明るくなるような記事をお届けしたいです。
また、剣道の英文メディアは、できるだけ購読者を増やすことが目標です。サイトを運営する過程でメディア運用の知見も積んでいければと思います。
次回は、オランダで起業するための「フリーランスビザ」の取り方について紹介します。
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