幸せなフリーランスになるために求められるものとは

2018年7月25日(水)
株式会社Waris

「フリーランス」という働き方に満足していますか?

今、フリーランスという働き方を選ぶ女性が増えています。ランサーズ株式会社が行った「フリーランス実態調査2018」によれば、日本国内における広義のフリーランス人材は1,119 万人にのぼるそうです。

では、実際にフリーランスとして働いている人たちは、現在の働き方にどれくらい満足しているのでしょうか。

今回は、Warisが行った「活躍フリーランスの幸せ実態調査」の結果から、フリーランスとして働く女性たちのリアルな「幸せ実感」を見ていきましょう!

【調査対象となったフリーランス女性の平均的なイメージ(注1)】

☑会社などの組織で働いた経験を持つ子育て中の女性
☑ワーク・ライフバランスの充実やキャリア形成、自己実現などの理由で、自らフリーランスという働き方を選択している
☑共働きで、生計を立てるための収入を得る役割はパートナーと分担。家計を背負う唯一の働き手ではない

(注1)フリーランスのリアルライフアンケート」>調査結果を基に設定

  • 調査時期:2016年12月5日~28日
  • 調査対象:Waris ご登録者を中心とする一般回答者(有効回答者 n=155)
  • 調査方法:インターネット
  • 平均年齢:40 歳

「時間と場所は自由」だが「報酬に波がある」フリーランス

アンケートに回答した女性の実に9割以上が、今の働き方に満足していることが分かります(図1)。

図1:「活躍フリーランスの幸せ度実態調査」(Waris Innovation Hub)P.7【図2】より

「フリーランスになってよかったこと」を問う質問では、過半数の人が「働く時間と場所が自由である」「ワークとライフのバランスがとりやすい」「仕事を選択できる」などをメリットとして挙げています。

一方、「フリーランスになって大変なこと」を問う質問では、「報酬が不安定である」「社会保障が会社員に比べて脆弱」「仕事を自ら取ってこなくてはいけない」などを挙げる人が多い結果に。

この結果から、自由と自己責任が表裏一体の関係にあるフリーランスの実態が浮かび上がってきます。

日本人平均を大きく上回る、フリーランス女性の人生満足度

同調査では、フリーランスと「幸せ」の関係をより深く掘り下げるため、科学的アプローチから幸せの研究をしている慶應義塾大学・前野隆司教授の助言のもと、フリーランスの幸せ度合いを「人生満足尺度」という指標で測っています。

5つの質問に対する回答の合計点から心の幸せ度を導き出すこの調査で、日本人の平均値は35点満点のうち18.9点(注2)。一方、フリーランス女性の平均値は25.9点と、かなり高い値になりました。

ただ、前述したように、このアンケートの回答者は「夫や子どもを持ち」「生活費を自分の収入のみで支えなければならない状況にない女性」が多いことに留意する必要があります。今回の調査結果をもって「フリーランス=人生の満足度が高い」と言い切ることはできませんが、「就業経験があり、子供を持つ既婚女性にとってフリーランスという働き方は一定の満足が得られるワークスタイルになり得る」可能性が高いと言えそうです。

(注2)前野教授らが2011年に実施したWeb調査結果。15歳~70歳までの日本人男女 1,500人に対して実施。

「収入」や「働く時間の長さ」は人生満足度に関係ない?

仕事と幸せの関係を考えるとき、多くの人が思い浮かべるのは「収入」や「働く時間の長さ」といった尺度ではないでしょうか。

同調査では、人生満足尺度と年収、働く時間の関係についても踏み込んでいます。年収400万円を超える層では極端に人生満足度が低い人は少なく、働く時間が長くなるほど人生満足尺度がわずかに低くなる傾向がありましたが、基本的には人生満足尺度と年収や働く時間に目立った相関関係はありませんでした。

どのくらいの収入を得て、週に何時間くらい働けば幸せを感じられるのか、その基準は人によってさまざまです。それぞれの希望に見合った働き方を選択することが、人生満足尺度を上げる鍵になりそうです。

フリーランスが「幸せ」を感じて働くための4つの鍵

では、具体的にどのような要因が、フリーランスとして働く人の幸せにつながるのでしょうか。前出の前野教授の分類によると、多くの日本人が幸せを感じる要因には、大きく分けて4つあるのだそうです。

幸せの鍵(1) 今の自分が本当になりたかった自分かどうか

同調査では、アンケートに回答したフリーランス女性を、人生満足度の高さによって3つのグループに分けています。そして、グループごとに「幸せの4因子(表)」の平均点を算出。その結果をチャートで示したものが図2です。

表:「活躍フリーランスの幸せ度実態調査」(Waris Innovation Hub)P.12【図8】より

図2:「活躍フリーランスの幸せ度実態調査」(Waris Innovation Hub)P.12【図9】より

この図からは、4つの因子のうち「やってみよう(自己実現と成長)」因子が人生満足度の違いに最も大きな違いを生み出していることが読み取れます。

さらにアンケートの回答を細かく見ていくと、「やってみよう」因子の中でも「今の自分が本当になりたかった自分かどうか」が人生満足度に大きな影響を与えていることが分かりました。

“自分は何をしてどうなりたいのか”という人生観を養い、具体的なビジョンやゴールを持って過ごすことが、なりたい自分に近づく歩みであり、人生の満足度を押し上げることに繋がるのではないでしょうか。

幸せの鍵(2) ポジティブ思考

2番目に人生満足度に影響を与えていたのは、「なんとかなる(前向きと楽観)」因子でした。

「ものごとが思い通りにいく」「失敗や不安な感情をあまり引きずらない」など、未来に対してポジティブな思考を持ち、過去の失敗にとらわれずに乗り越えることが、フリーランスとして幸せを感じて働く上で重要なようです。

幸せの鍵(3) つながりを大切にする

人生満足度の点数に関係なく、アンケートに回答したフリーランス女性に共通していたのは「ありがとう(つながりと成長)」因子の高さでした。

「人の喜ぶ顔が見たい」「私を大切に思ってくれる人たちがいる」「人生において感謝することがたくさんある」「他者に親切にし、手助けしたい」など、フリーランスで働く人たちは周りから大切にされること、そして周囲の人を大切にすることを意識し、人との絆を大切にしていることがうかがえます。

幸せの鍵(4) 社会に対する貢献の気持ち

フリーランスが幸せに働くためのヒント、最後の鍵は「社会に対する貢献の気持ち」です。

アンケートの回答で、人生満足度が非常に高く、クライアントからも高い評価を受けている6名のフリーランス女性に、生き方や仕事に関するインタビューを行いました。

その結果、幸せ度の高いフリーランスは、ビジョンや人生観の中に自分個人のことだけではなく、家族などの身近な人、さらには社会に向けて「意義のあることをしたい」という気持ちを強く持っていることが分かりました。

自分のビジョンや人生観を個人から身近な家族や友人、そして社会全体に広げていくことが、フリーランスが幸せを感じて働くための、ひとつの道しるべになるのではないでしょうか。

「バランス型フリーランス」という新たな選択肢

今回の調査結果を読み解いていく中で、「バランス型フリーランス」とも呼ぶべき、新たな働き方の形が見えてきました。総合職あるいは専門職としてキャリアを積んできたものの、ワークライフの充実や、やりたいことを実現するためにフリーランスへ転向し、「週4日・1日4~5時間程度、豊富なスキル・経験を活かした非定型・高度知的業務」で働き、クライアントから高い評価を得ている女性たちです。

もちろん、フリーランスは働き方の選択肢のひとつに過ぎず、すべての女性にとって最適な働き方と言えるわけではありません。ただ、長時間労働と会社への高いコミットメントが求められる従来型の総合職は、結婚・出産・介護・パートナーの転勤などの多様なライフイベントによって環境が大きく変化する女性にとって、難しさがあることも事実です。

フルタイム・フルコミット・フル常駐にこだわらない「バランス型フリーランス」的なワークスタイルは、女性がスキルや経験を活かして働き続ける上で、大きな可能性を秘めていると言えそうです。

クリアなビジョンを持ち、幸せに働く

30~40代で「バランス型フリーランス」を選ぶためには、20代をどう過ごすかがとても重要です。ヒアリング調査でも「バランス型フリーランス」として満足度高く働いている女性たちは、20代のうちに総合職・専門職として豊富な実務経験を積み、コアとなる経験やスキルを身に付けていました。

厚生労働省発表のレポートでは、今後「プロジェクト型ワーク」に従事する人が増えると予測されています(注3)。これからの時代を生き抜くために会社員時代からプロジェクト型ワークを経験し、「疑似フリーランス状態」を体験することでフリーランスに求められる「プロスキル」を身に付けることができるのではないでしょうか。

(注3)厚生労働省「働き方の未来2035」より

どのようなワークスタイルが心地良いのか、本当にやりたいことは何なのか。「自分がどうありたいのか」というクリアなビジョンを持つことが、これからの時代にフリーランスとして幸せに働くための鍵となりそうです。

おわりに

次回も、同じく2018年にWarisが発表した「変革型フリーランス実態調査」から、幸せに、かつ「活躍する」「企業から必要とされる」フリーランスになるために必要な要素を開設しながら、会社員時代からやっておくべきことについて紹介します。

多様な生き方・働き方を創出する人材サービス企業。広報・マーケティング・人事等のプロスキルを持つ女性と企業とのマッチングサービスを展開するほか、一度離職したキャリア女性の復職支援サービス等も展開。http://waris.co.jp

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