自分の強みを知ることは仕事獲得の第一歩!フリーランスの「セルフブランディング」を考える
フリーランスが仕事を獲得する上で、「自分の強みをPRする」ことは非常に重要です。しかし、フリーランスになりたて、または、フリーランスに憧れている人の中には、会社員として与えられた仕事をこなすばかりで「自分ならではの強みがわからない」「自分には何もない」と思い悩み、新しい道を開拓できない人も多いようです。
去る7月19日、そんな悩みを抱える人にぴったりのセミナー「先輩フリーランスに学ぶ! 次の仕事につながるセルフブランディング実践術」が、レンタルオフィスとコワーキングスペースを融合した新しい形のワークスペース、大手町SPACESで開催されました。
当日の模様を、ラジオDJ・ライターの八木志芳(@ShihoYagi)がレポートします。
Warisフリーランスサロンとは
今回のセミナーは、女性の「働く」を支援する株式会社Warisが主催するフリーランスサロンの一貫です。このフリーランスサロンでは、現役フリーランスやフリーランスに興味がある女性を対象に悩みや情報を共有できる場としてスタートし、今回で6回目になります。今回の参加者は、会社員とフリーランスが約半数ずつで、職種もバラバラ。普段知り合うことのない参加者同士がグループワークでコミュニケーションを取りながら進めていくのが、このフリーランスサロンの特徴です。
大手企業からフリーランスへ。
強く感じた「ブランディング」の必要性
メインのゲストトークで登場したのは、マーケティングプランナーの河合優香理さん。
河合さんは、新卒で大手電機メーカーへ入社し、海外向けの商品企画を担当します。その後、より生産性の高い働き方を求めて大手外資系企業に転職、マーケティングを担当。その間に出産し、フルタイムのワーキングママになりました。
育児と仕事を両立させるため、自らの生産性を上げれば上げるほど「なんで自分ばっかり」「こんなに頑張っているんだから、もっと認めてほしい」と承認欲求ばかりが高まり、負のスパイラルに……。そんなときに出された人事異動をきっかけに自分のキャリアを見つめ直し、いかにこれまでキャリアを会社側に丸投げしていたかを深く反省。「自分の人生は自分で決める」と自立した働き方を求めてフリーランスへの第一歩を踏み出したそうです。
会社員とフリーランスの違いについて、河合さんは、次のように例えます。「会社員時代はパッケージツアーのようなもの。行き先もホテルも任せておけば安心だけど、可もなく不可もない。一方、フリーランスはひとり旅。道無き道を進み、時にはとんでもなく不味い食事を取るという大失敗もあるけれど、一歩一歩見える景色が違い、掛け替えのない出会いもあります」。
フリーランスになって、やりがいを感じながらも人との繋がりの大切さにも気づいた河合さん。信頼できる大切な仲間を獲得するためにも、セルフブランディングの必要性を感じたそうです。
「好き」から始めたフリーランス生活
ノープランで会社を辞めてフリーランスになったという河合さんが「どんな仕事をしようか」と考えたとき、「今までは会社の名前で仕事ができていただけで、自分には何もない!」と思ってしまったそうです。そこで、「何もないなら好きなことをしよう」と、興味のあることから仕事につなげていけないかと考えます。
河合さんは興味のあった団体にダメ元で「何かできることはないですか?」と相談を持ちかけ、早速、翌週に事務所に来るよう言われます。そこでは、通訳から事務作業まで、河合さんができることは何でも請け負った。そうしているうちに、自分が得意なこと/苦手なこと、好きなこと/そうでないことが明確になり、関連企業などからも仕事を受注するようになります。好きなことをきっかけに、人脈や仕事を広げて行ったのです。
ブランド力がある=ファンがいる!
ここまでのお話では順調に聞こえる河合さんのフリーランス生活ですが、そこは山あり谷ありで、その上で大事だと感じたのが「セルフブランディング」でした。
そもそも、ブランド力とは何でしょうか。河合さんは「『ブランド力がある』ということは『ファンがいる』ことだ」と話します。
知名度があるからブランド力があるわけではなく、その人にとって何ものにも代えられないものや、多くの人が共感する思想や哲学があることを「ブランド力がある」と定義されていました。つまり、ブランド力を強化するということはファンを作ることなのです。
個人を指名してくれるようなクライアントをファンだと仮定すれば、ファンから継続的に応援して(仕事が)もらえるだけでなく、他者と競争する必要もなく、仲間もできるようになります。
WHAT×HOW=セルフブランド!?
では、他者と差別化したブランディングをするためには、どうすれば良いのでしょうか。河合さんは、セルフブランディングするために「WHAT 何ができるか?(スキル・経験)」を明確にし、さらに、それを「How どうやってやるか?(人間力)」を考え、WHATとHOWのかけ算をすることで「自分のブランド」を見つけるという方法を実践しました。
ここからは、グループワークで河合さんが実践したセルフブランディング確立術を体験して行きます。
まずは「WHAT(スキル・経験)」の洗い出しです。はじめに、参加者個人が自分のスキル、つまりできることを書き出し、そのスキルを「得意/不得意」と「好き/嫌い」に分けます。そしてグループで「WHAT」を共有します。ここで大切なのが3つの視点。「ライフワーク(生涯かけてやりたいこと)」「ライスワーク(食べるための仕事)」「プロに任せられるもの」に分けること。
フリーランスは何でも器用にこなしてしまう人が多く、「ライフワークに時間を割けない」という本末転倒状態にならないよう、自分がやらなくて良いことは思い切って他人に任せることも大事なのだとか。
続いて、「HOW(人間力)」の洗い出し。ここで、再び参加者個人が自分の思う強みを書き出し、その強みをグループ内で共有、参加者同士で相手の思う強みを掘り下げて行きます。「自他共に認める強み」「自分しかわからない強み」「他人が思う強み」に分類し、自分が思っている強みと、他人から見える強みのギャップを埋めることで強みが明確になっていくそうです。
最後に、明確になった「WHAT」と「HOW」から、それぞれがどのようなボジションに向いているかを、グループ内でディスカッションします。チームの一員なのか、リーダーなのか、CEOの右腕的な立ち位置なのか…自分に向いているポジションを見つけることでターゲットがわかり、営業がしやすくなります。
ちなみに、「自分ブランドをPRするにはどうすれば良いか」という点において、河合さんは「自分のスキルを相手に体感させることだ」と話します。フリーランスの身軽さを生かして発注先と1対1で話したり、短期間でも一緒に働く機会を作ったりすることで自分の強みを納得してもらうのだそうです。
ブランド力を強化するには、常に自分自身に問いかけること
河合さんは、フリーランスとして仕事をする上で一番大事なことは「WHY」の視点だと話します。「なぜこの仕事が必要なのか」「将来どうなりたいのか」を常に自分自身に問いかけることで自分の理念が確立され、その理念に共感した仲間がどんどん集まり、仕事が増えていったそうです。
今回の「WHAT」や「HOW」に対しても、常に自分自身に問いかけることで自分を客観視できますし、「考えることを止めてしまうと成長も止まる」と言われているように感じました。
おわりに
私も、ラジオDJとしてフリーになったばかりの頃、所属事務所から「自分の強みは何だ」「個性は何だ」と何度も質問され、自分の強みがわからず、自信をなくすことがしばしばありました。
私のような職業の人間だけでなく、全てのビジネスマンにブランディングが求められる時代。今回の河合さんが提案したワークを実践することで、何もないと思っていた人でも、自分の経験やスキルを見つめ直し、自信が持てるようになるのではないでしょうか。
具体的な例とユーモアのあるトークで、とても分かり易かった河合さんのセミナーに、私をはじめ参加者達もたくさんのものを持って帰れたのではないかと思います。
最後に河合さんが何度もおっしゃっていたことですが、「フリーランスとして生きて行くには仲間が大切」です。参加者の皆さんには、今回のご縁を繋げて未来あるキャリアを形成していってもらいたいと思いました。
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- ロジカルシンキングで「自分の強み」を発見!Warisフリーランスサロン参加レポート
- クライアント案件のゴールは「卒業すること」「伝承すること」Warisフリーランスサロン レポート
- 会社員→フリーランス→会社員⁉ 自由な働き方を実現した女性たち—Warisフリーランスサロン レポート
- 6年目フリーランサーに学ぶ! 仕事を獲得し続けるために必要な3つの秘訣とは
- ある日、妻がフリーランスに。そのとき夫は、家族はどうなる?
- 大企業の「ビジネス系フリーランス」活用事例―カインズ、GEヘルスケア・ジャパン
- 幸せなフリーランスになるために求められるものとは
- DevRelの学び方
- ビジネス系フリーランスになるために、会社員時代からやっておきたい「10」のこと
- 和田卓人、倉貫義人、萩本順三「会社に頼れない時代」の技術屋が知るべき6つのこと