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連載 [第1回] :
  KubeCon China 2019レポート

KubeCon China開催。DPDKとCI/CDのプレカンファレンスを紹介

2019年8月20日(火)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
2019年6月にKubeCon China 2019が上海で開催。初日はプレカンファレンスとして多くのミニカンファレンスが開催された。

China Mobileが描く未来のChina Mobile像とは

最後にChina MobileにおけるCI/CDの実装というユースケースを紹介したい。これはFu Qiao氏による「OPEN-AUTO, China Mobile's Strategy and Steps for future Cloud CI/CD」というセッションだ。

プレゼンテーションを行うQiao氏

プレゼンテーションを行うQiao氏

Qiao氏はChina Mobileの将来の姿として、NFVを実装した複数のリージョナルなデータセンターとその上で実行されるソフトウェアベースのネットワーク機能、そしてそれを集中的に管理するオーケストレーターという構成を想定しているようだ。

CNCFはバルセロナのKubeConでKubernetesをベースにしたCNF(Cloud Native Network Function)を発表し、OpenStackなどによって実装されていたテレコムオペレータのネットワーク機能(Virtual Network Function)を、仮想マシンベースのモノからコンテナベースに移行していくことを想定しているようだ。しかしChina Mobileのこのスライドからにまだ「VNF」という用語が使われているところから推測すると、OpenStackをベースにしたこれまでの投資を止めるつもりはないのではと思うのは無理もないだろう。実際に今年の5月にデンバーで行われたOpen Infrastructure Summitでは、China Mobileの5Gのトライアルシステムは、OpenStackベースで構築されていることがセッションとして発表されている。

China Mobileの考える将来のシステム

China Mobileの考える将来のシステム

しかしハードウェアからソフトウェアベースに移行するとは言っても、その実装方法や利用するソフトウェアの選択肢には数え切れないほどの組み合わせがあり、一概に何が正解とは言えないのも事実だ。

専用ハードウェアから汎用サーバーとソフトウェアベースに

専用ハードウェアから汎用サーバーとソフトウェアベースに

CI/CDという意味ではChina Mobileは多くの選択肢を持っており、一つのツールですべてのニーズを満たせるとは思っていないようだ。実際にOpenStack FoundationがホストするZuul、AT&TとSK Telecomが開発をリードするオープンソースのソフトウェアスタックAirship、OPNFV、OpenStack-Ansibleなどが、検討のリストに挙がっているということだろう。

China MobileのCI/CDツールの候補リスト?

China MobileのCI/CDツールの候補リスト?

しかしOPNFVについては、方向性が見えないなど若干悲観的な見方をしていることもわかる。

OFNFVやOPNFVから出てきたXCI(Cross Community CI)などにも言及。

OFNFVやOPNFVから出てきたXCI(Cross Community CI)などにも言及。

ユーザー主導のOpen-AUTOにシフトするChina Mobile

そして現状は、China Mobileが主導するOPEN-AUTOと呼ばれるパートナーシッププログラムにおいて、マルチベンダーのツール、プラットフォームを統合するための活動にシフトしていることが発表された。

China Mobileの推進するOpen-AUTO

China Mobileの推進するOpen-AUTO

これはベンダー主導ではなく、ユーザー主導でモバイルネットワークを実装するプラットフォームを検証しようという試みのようだ。

設計から実装までを自動化する試み

設計から実装までを自動化する試み

すでにChina Mobileの中では使われているとして、ハードウェアインテグレーションに実行され、30分で168台のサーバーと28台のスイッチの検証が完了し、641の問題点を検出したという。

China Mobileでは一部ですでに使われているOpen-AUTO

China Mobileでは一部ですでに使われているOpen-AUTO

ここで紹介された数値を良く見る限り、確かに多くの手作業が省力化され短縮されていることがわかる。China MobileとしてはCI/CDという狭い領域ではなく、モバイルネットワークのコアな機能の自動化が進んでいるということを強調した形になった。CD.Foundationのセッションとして妥当だったのかどうかは疑問だが、中国国内のエンジニアに対してはChina Mobileの先進性を訴求できたのではないだろうか。ただセッション終了後に質疑応答は一切なく、その点においては残念であった。

なおプレカンファレンスはKubernetesのコントリビューターが参加するKubernetes Contributor Summit、OpenSDSのカンファレンス、Tencent Cloudが主催するServerlessのワークショップなど多くのトピックに分かれていたが、その中でも注目すべきはKubeCon ChinaのStrategic Sponsorとして最上段に名前を掲げるファーウェイが、複数のミニカンファレンス、ワークショップ、Meetupなどを主催していたことだろう。

昨今、ハードウェアベンダーとしてはトランプ政権からは冷たく扱われているファーウェイだが、ここKubeCon Chinaでは大きな存在感を示していた。サービスメッシュのミニカンファレンスが開催前にキャンセルされたことに比べて、ファーウェイが開発し、後にApache Software Foundationに寄贈されたServiceCombはマイクロサービスの実装としてMeetupが開催されていた。ServiceCombは、欧米ではほとんど話題にならないプロジェクトではあるが、中国国内では事情が違うようだ。この辺からも、中国国内で利用されているソフトウェアが他の国とはようすが違うというのは理解できるかもしれない。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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